完璧な布陣!……のはずが、カイトホイミングの衝撃
ギルドの天井修理費(カイトの爆死代)を稼ぐため、一行は高ランクモンスター『キラーベア』の討伐に向かっていた。
ノアール:「いい? 今度こそまともに戦うわよ。アイリスさんが止めて、ルナちゃんが遠くからドカン! カイトは……そのへんの木に自分を縛り付けておきなさい! 死なないように!」
カイト:「ひどいなノアール。俺だって新メンバーに良いところ見せたいんだぜ!」
アイリス:「安心しろカイト殿。私がこの盾で、君に飛んでくる羽虫一匹通さん!」
アイリスが自信満々に一歩踏み出した瞬間、道端の「たんぽぽ」に目を奪われて足がもつれる。
アイリス:「わわっ!? 止まらん、慣性制御が……!」
アイリス、そのまま高速回転しながらカイトを弾き飛ばし、茂みの奥へ消えていった。
そこへ運悪く(カイトにとっては通常運転)、巨大な爪を持つキラーベアが出現。
ルナ:「あ、あわわ……敵です! カイト様がクマの爪の間に挟まってます! 助けないと……えいっ!」
ルナが杖を振るい、超高火力の火球『フレア・バースト』を放つ。
真っ直ぐクマに向かうはずの火球。しかし、空中で不自然なカーブを描いた。
ルナ:「えっ!? 魔法が……曲がった!?」
カイト:「え、ちょっ、こっち来な――」
ドガァァァァァン!!
クマの鼻先をかすめ、火球は木に縛り付けられていたカイトの脳天に直撃。カイトは消し炭となり、ついでに爆風でクマもひっくり返った。
三途の川
カロン:「……おかえりなさい、カイト様。死因、『味方の魔法の誘導』。……あなた、魔力に対する磁石にでもなったんですか?」
カイト:「……ルナちゃんの魔法、温かかったなぁ(遠い目)」
カロン:「(ため息をつきながらスタンプを捺す)……はい、11個目。プリンの次は『三途の川の優先搭乗券』ですよ。……あ、ノアール様が今、地面を叩き割りながら呪文を練り上げてます」
ノアール:(黒煙の上がる森の中で、もはや魔王のようなオーラを放つ)
『――磁石のように不幸を引き寄せ、味方の魔法に自分から当たりに行くマゾヒスト。プリンの味を忘れる前に、さっさと土の中から這い出してきなさい。……【いい加減にしろよこのカイトホイミング・レザレクション】!!!』
ズガシャァァァン!!(もはや落雷)
カイト:「(ガバッ!)……ただいま! ……って、ノアール、なんか魔法の感触が『痛い』んだけど!」
ノアール:「(襟首を掴んで)当たり前でしょ! MPの代わりに私の殺意を込めてるんだから!
ルナちゃん! なんでカイトに当てたのよ!」
ルナ:「(泣きながら)ごめんなさい……カイト様が『当ててくれ』って言ってるみたいに、魔法が吸い込まれていくんですぅ……」
アイリス:「(茂みから戻ってきて)……すまない、道に迷って今戻った。……む? クマが死んでいるではないか! さすがカイト殿、自らを囮にして魔法を誘導するとは……まさに騎士の鏡!」
ノアール:「褒めないで! 癖になるわ!」
結局、カイトの「死(爆発)」の余波でクマを倒したことになり、一行はなんとか報酬をゲット。
カイト:「よーし、これで修理費も払えるし、帰ったらプリン食べようぜ!」
ノアール:「……その前に、あんたを絶縁体でグルグル巻きにする儀式を行うわ。準備しなさい」




