至高のプリンと、最悪の来客
ギルドの天井修理費を払い終え、一行はようやく宿屋のテーブルを囲んでいた。
中央には、三途の川の特産品——神々しい輝きを放つ『極楽浄土のプレミアム・カスタードプリン』が鎮座している。
カイト:「ついに……。10回死んで、ようやく手に入れた俺の命の輝き(プリン)……!」
ノアール:「(こめかみをピクつかせながら)……あんたの命、プリン1個分なのね。さあ、さっさと食べて。見てるだけでMPが減りそうだわ」
アイリス:「おお、これが伝説の……。スプーンを持つ手が震えるな。……あ、手が滑ってスプーンが天井に刺さった」
ルナ:「……カイト様、おめでとうございます。私、緊張して指から火花が出そうです……」
カイトが震える手でスプーンをプリンに差し込もうとした、その瞬間。
宿屋の壁がドォォォォン!!と粉砕された。
出現したのは、甘い匂いに誘われて街に侵入したランクDモンスター『シュガー・スネーク』。
バジリスク:「(そのプリン……よこせぇぇ!!)」
カイト:「あああっ!? 俺のプリンに蛇のヨダレがーーー!!」
ノアール:「(ブチ切れ)ちょっと!! 宿屋の修理代を払った直後に壁を壊すんじゃないわよ!! アイリス、止めて! ルナ、焼いて!!」
アイリス:「任せろ! 騎士の意地を見せて……わわっ!? 床のワックスが利きすぎている!」
アイリス、突進するバジリスクを華麗にスルーし、そのまま厨房の鍋の中にダイブ。
ルナ:「カイト様、危ない! ……【フレア・バースト】!!」
ルナの放った火炎弾。しかし、当然のようにシュガースネークの横をすり抜け、直角に曲がってカイトの持つ「スプーン」に直撃。
カイト:「(アチィィィ!!)」
熱されたスプーンがカイトの手を焼き、驚いたカイトがのけぞる。その拍子に、テーブルの脚が折れ、宙に舞うプレミアムプリン。
カイト:「プリンーーーっ!!」
カイトは空中でプリンをキャッチしようとダイブ。しかし、その口の中に飛び込んできたのはプリンではなく、シュガースネークが威嚇で吐き出した「猛毒の石化ブレス」だった。
カイト:「(ガチガチガチ……)」
プリンを抱えたまま、カイトは完璧な「プリンを死守する石像」と化し、その重みで床を突き破って階下へ。
ノアール:「カイトーーー!! 石像になっても死ぬんかーーーい!!」
三途の川
カロン:「……おかえりなさい、カイト様。死因、『石化による窒息、及び落下死』。……プリン、まだ持ってるんですか?」
カイト:「(石像のまま、執念でプリンを離さない)……カロンさん……一口、一口だけでいいから食べさせて……」
カロン:(呆れ果ててスタンプを捺す)
「はい、12個目。……あ、現世でノアール様が『石像をハンマーで叩き壊して中身を引きずり出す』って言いながら呪文の準備してますよ。粉々になる前に戻ったほうがいいです」
ノアール:(瓦礫と化した宿屋で、ハンマーを肩に担ぎながら)
『――甘い匂いに釣られたトカゲと、食べ物に執着して石になった愚か者に等しく裁きを。プリンごと粉砕される前に、分子レベルで再構成されなさい。……【いい加減にしろよこの食い意地バカイトォォォ・リ・コンストラクション(再構築)】!!!』
バキバキバキィィィン!!(石像が爆発してカイトが飛び出す)
カイト:「(着地と同時にプリンを一口飲み込む)……あ、甘ぁぁぁい!!」
ルナ:「……よかった。カイト様、幸せそうです……(背後で黒焦げになったシュガースネークを見ながら)」
ノアール:「(白目)……次は、プリンじゃなくて『毒消し草』にするわよ……」




