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おばあちゃんは心配で、心配で、安らかに眠れません!  作者: ariya


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024 コンスタンス⑥


「いやー、今回は私の手柄だな」


 離れのプラムブロッサムに住み着く精霊は満足した。


「ええ、プラムのおかげでコンスタンスを助けられたわ」


 ネリーネイオミはお礼にと、プラムにお菓子をご馳走していた。


 公爵家お抱えのパティシエのスコーンと木苺のジャムは絶品である。


 今回の、呪いを解明する際はプラムが役立った。



 ◆


 まずは授業の様子を知りたくて、教室にプラムを配置した。

 目立たないように教室の端に飾られた置物のように見せかけて。


 そして、授業でコンスタンスがブラウン夫人から浴びている言葉をそのままネリーネイオミに報告した。



 内容を聞いただけで、ネリーネイオミは腹を立てた。そのまま殴り込みに行きたいとさえ思った。



「あと、気になるものを見たんだが……」


 ネリーネイオミの様子をみながら、忘れないようにとプラムは報告を続けた。



「あの部屋には、呪詛の道具があったぞ。不眠を促す、弱いもので、嫌がらせ程度にしかならないやつだ」


 それを聞いてネリーネイオミは殴り込みを止めた。


 公爵家の跡取りが利用する部屋に微細なものであっても呪いの道具が置かれたのなら大事だ。


「アレクに相談して、呪詛に詳しい魔術師を呼び寄せましょう」


 それと、ネリーネイオミは思い出した。


 コンスタンスの寝室にあるものを。


「プラム、もう一つ確認して欲しいものがあるの」


 ネリーネイオミの新しい頼み事。

 コンスタンスの小説を調べて欲しいというものだった。


 プラムはコンスタンスの寝室に入り、例の小説に触れた。


「ネネの言う通り、あの本は呪詛が忍ばせてあった」


 まさかとは思いながらも出たピースがぴたりとはまった感覚を覚えた。


 ネリーネイオミは証拠を確保するために動き出した。


 ◆



「ブラウン夫人……エリザベスが信頼する同級生というから、安心して任せていたのが失敗だったわ」


 まさか、幼いコンスタンスを呪詛で追い詰めるなど。


 一番許せなかったことは、コンスタンスに捨てられるかもしれない恐怖を植え付けたことだ。


「こんなに一緒にいたのに気づけなかったなんて……」


 ネリーネイオミは自分の不甲斐なさを悲しんだ。

 この数年、コンスタンスはどれだけの孤独に耐えていたのだろう。


 そば近くにはネリーネイオミも、アレクサンダーも、カレンもいたというのに。


「自分を責めるのはやめなさい、ネネ」


 いつの間にか庭園にやってきたアレクサンダーがネリーネイオミに声をかけた。


「あなた……ブラウン夫人の尋問は」

「あらかた終わったよ」


 部下の報告を聞いた後、あらゆる処理を済ませた後だった。


「ブラウン夫人はとんでもない妄想に囚われていた」


 アレクサンダーは庭園を眺めながら深くため息をついた。


「彼女は自分の子を、シルヴィウスの子だと思い込んで……コンスタンスを精神的に追い詰めて、いずれは取り替えっこを模索していたようだ」


「ちなみにブラウン夫人の子はシルヴィウスの子だったの?」


 ネリーネイオミの質問にアレクサンダーは答えた。


「数年前亡くなったブラウン男爵の子で間違いないよ。ブラウン男爵の両親が当時の出産記録を元に証明書を作成してくれた」


 ネリーネイオミはため息をついた。


「どうやら、ブラウン夫人は随分と妄想癖があったようだ。おまけに嫉妬深く、表向きではエリザベスの友人として振る舞っていたがいつ陥れようかと考えていたようだ」


 寄宿学校時代は仲が良いと聞いていたが、随分なしたたかさを持っていたようだ。

 人を疑うことを知らないエリザベスは彼女の悪意に気づきもしなかった。


「そのエリザベスが、ラニテル公爵家嫡子と結婚したのはかなり悔しかったようだ」


 アレクサンダーは目を閉ざす。


 今も金切声で叫ぶブラウン夫人の声が響いてきそうで不快だった。


——「シルヴィウス様に愛されていたのは私なの! 可哀想なシルヴィウス様はエリザベスと無理やり結婚させられて、せめてもの最後の思い出にと私は彼と……だから、あの子は閣下の孫でもあるの! 本物はあの子なのよ」


 ネリーネイオミの耳に届けることも嫌悪する言葉だったようだ。思い出すだけでもアレクサンダーの眉間に皺が寄っていた。


「自分の子がシルヴィウスの子と妄想するようになったそうだ」


「それは小説の影響かしら」


「元から妄想に囚われていたのか、呪詛の影響で現実と混同してしまったのか……それはわからない。……仮にブラウン夫人の子がシルヴィウスの子であろうと、コンスタンスを傷つけていい理由にはならない」


 アレクサンダーの言葉にネリーネイオミは頷いた。


「彼女の処分は……」


「本来なら公爵家嫡孫を呪詛したのだから死刑にするのは可能だろう。だが、あの精神状態では責任問題が出る。死刑までいかなくても、神経科対応の収容所へ送る。どちらにせよ、二度と外へ出ることは許されない」


 それを聞いてネリーネイオミは安堵した。


 コンスタンスが二度とブラウン夫人に出会うことがないのであればそれでいい。

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