第2話 最初のDM
配信を終えたあと、理美はスマートフォンを手に取った。
Instagramを開く。
常連リスナーとは相互フォローになっている。
その中から、一人の名前を選ぶ。
――JIN。
毎週土曜日、欠かさず配信へ来てくれる人。
理美は少しだけ緊張しながら、初めてDMを開いた。
『母が骨折してから、しばらくうちで一緒に暮らしています。
ただ、母がどうしても実家のことが気になると言うので、しばらくは毎週土曜日に実家へ帰って一泊することになりました。
そのため、しばらく土曜日の配信をお休みします。
毎週土曜日に来てくださっているので、ちゃんとお伝えしておこうと思いました。』
送信ボタンを押す。
これが、JINとの初めてのやり取りだった。
返信は、なかなか来なかった。
理美は、ときどきInstagramを開いてしまう。
「急にDMなんて送って迷惑だったかな。」
そう思うこともあった。
「返事を期待するものでもないし。」
そう自分に言い聞かせる。
そんな日が続き、気がつけば土曜日になっていた。
理美は母と一緒に実家へ来ていた。
車で片道約一時間。
この日も一泊して、翌日また自宅へ戻る予定だった。
早寝の母は、いつものように先に寝室へ入ってしまった。
理美は一人、居間でスマートフォンを眺める。
時計を見る。
午後八時。
「今頃、配信してる時間だな。」
ふと、そんなことを思う。
そのときだった。
通知音が鳴った。
Instagram。
送り主は――JIN。
理美は思わず画面を開く。
『今からお話ししたいんですけど、お時間大丈夫ですか?』
「えっ……。」
理美は少し驚いた。
Instagramの通話でもするのかな。
そう思いながら返信を打つ。
『いいですよ。』
送信。
その瞬間だった。
突然、まばゆい光が理美を包み込んだ。
「なんじゃこりゃあああぁ」
視界が白く染まっていく。
何が起きたのか分からないまま、理美の意識は光の中へ飲み込まれていった。




