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第1話 土曜日が変わる日

土曜日の配信を終えてから数日後のことだった。


理美のスマートフォンが鳴る。


母親が自転車で転び、肩を骨折したという連絡だった。


急いで病院へ向かうと、母親は思っていたより元気そうな顔をしていた。


「心配かけてごめんね。」


そう笑う母親に、理美はほっと胸をなで下ろす。


手術は無事に終わった。


しかし、しばらくは一人暮らしは難しいという。


話し合った結果、母親は理美の家でしばらく生活することになった。


退院後は、理美の家の近くの病院へ通いながらリハビリを続ける。


ただ、母親には一つだけ譲れないことがあった。


「土曜日だけは家に帰りたいの。」


畑や花の様子が気になる。


近所に住む妹へ世話は頼んである。


それでも、自分の目で見ておきたい。


家も長く空けたくない。


理美は、その気持ちがよく分かった。


実家までは車で片道約一時間。


土曜日に母親を実家まで送り、一泊して、日曜日に一緒に理美の家へ戻る。


そんな生活が始まることになった。


その日の夜。


いつもの配信が始まる。


「こんばんはー。ソフィーです。」


常連のリスナーが次々と集まってくる。


いつもの雑談。


いつもの笑い声。


少し落ち着いたところで、理美は話し始めた。


「今日は、みんなにお知らせがあります。」


コメント欄が静かになる。


「実は母が自転車で転んで、肩を骨折しました。」


驚きのコメントが流れる。


「手術は無事終わって、今は大丈夫なんだけど、しばらくうちで一緒に暮らすことになったの。」


理美は続ける。


「それでね、土曜日は実家へ泊まりに行くことになったから、しばらく土曜日だけ配信をお休みします。」


「平日は今までどおり配信するからね。」


コメント欄には、


「お母さんお大事に。」


「無理しないでね。」


そんな言葉が並んだ。


理美は一つひとつに礼を言いながら、いつも通り配信を終えた。


配信を終了し、スマートフォンを手に取る。


Instagramを開く。


常連リスナーとは相互フォローになっている。


画面を少しスクロールして、一人の名前で指が止まった。


――JIN。


毎週土曜日、必ず配信へ来てくれる人。


土曜日だけしばらく休むことになる。


ちゃんと伝えておこう。


理美は初めて、JINへのDMを開いた。

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