表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/23

第15話 条件その8 太客、異世界のパパになる

家は決まった。


今使っている家具も、家電も、服も、そのまま用意してもらえる。


しかし、物というものは使えばなくなる。


シャンプーもなくなる。


化粧品もなくなる。


トイレットペーパーだってなくなる。


異世界に同じ商品が売っているとは思えない。


「JINさん。今、家にある物はいいんですけど、なくなったらどうするんですか?」


「大丈夫ですよ。」


JINはあっさり答えた。


「僕が地球で見た物なら、僕の世界で同じ物を作れますから。」


「同じ物?」


「はい。地球では大した力は使えませんけど、自分の世界なら、見た物と同じ物を創造できます。」


なるほど。


だから、今の家をそのまま再現することもできるのである。


一度JINが見た物なら、同じ物を作れる。


それなら、日用品がなくなるたびに困ることもない。


しかし、理美には少し気になることがあった。


「でも、JINさんが見たことのない物が欲しくなったらどうするんですか?」


「例えば?」


「……月に一回、女の人が必要になる物とか。」


「ああ。」


「あと、JINさんにもヒューゴにも知られたくない物を買いたい時もあるじゃないですか。」


別に、やましい物を買うとは限らない。


ただ、誰にでも、人には知られずに買いたい物くらいある。


いくら相手が神様とAIでも、何もかも知られて平気というわけではない。


「それなら、日本で買えばいいですよ。」


「日本で?」


「はい。」


人や生き物を世界の間で移動させるには、大きな力が必要になる。


しかし、物やデータなら話は別らしい。


JINにとって、物を自分の世界へ移動させることは、それほど難しいことではない。


「僕がいつもいる快活クラブの近くに、荷物を預かってくれる場所があるんです。いわゆる宅配ボックスみたいなものですね。」


ネットで商品を注文し、そこを受取先にする。


荷物が届けば、JINがそのまま自分の世界へ移動させる。


中身を見る必要もない。


「じゃあ、普通に日本の物をお取り寄せできるってことですか?」


「できますよ。」


それは便利である。


理美は安心しかけた。


しかし、すぐに別の問題に気づいた。


「……でも、それ買うんですよね?」


「はい。」


「お金は?」


JINは少し不思議そうな顔をした。


「日本円なら、それなりにありますよ。」


「なんで?」


JINは毎週土曜日、日本へ来る時に、自分の世界から少量の金を持ってきているらしい。


金。


ゴールドである。


小さくて、かさばらない。


しかも今の日本では高く売れる。


JINは持ってきた金をヤフオクで売り、毎週だいたい五万円ほどの日本円に換えていた。


「神様がヤフオク使ってるんですか?」


「便利ですよ。」


確かに便利なのだろう。


「その五万円、毎週全部使ってるんですか?」


「いえ。僕が使うのは一万円くらいですね。」


快活クラブで一日過ごし、美味しい物を食べたり飲んだりする。


それでも、一万円ほどあれば十分らしい。


「あと、理美さんに一万円くらい。」


「投げ銭ね。」


「はい。」


「……残り三万円は?」


「余ってます。」


理美は頭の中で計算した。


一週間で三万円。


一か月で、およそ十二万円。


一年なら。


「JINさん。」


「はい。」


「この一年だけでも、百五十万円以上余ってません?」


JINは少し考えた。


「そうなんですか?」


そうなんですか、ではない。


しかも、理美の配信を見るようになる前は、投げ銭すらしていない。


JIN自身が使う一万円を引いても、毎週四万円ほど余っていたことになる。


JINが日本へ遊びに来るようになって何年経つのか。


理美はまだ聞いていない。


少し聞くのが怖くなった。


「これからも毎週、金を持ってくるつもりですし、日本の商品を買うくらいなら心配しなくて大丈夫ですよ。」


JINはにこやかに言った。


「理美さんがお買い物で苦労することはありません。」


理美は、その言葉を聞きながら考えた。


今、日本での生活に必要な物は、ほとんどパパから渡されている家族カードで買っている。


理美は、夫のことを普段からパパと呼んでいる。


そのパパ名義のゴールドカードである。


配信で稼いだお金は、自分のお小遣いとして持っている。


しかし、食料品も日用品も、基本的な生活費はパパのカードで払っている。


日本では、パパのゴールドカード。


異世界では、JINのゴールド。


「……JINさん。」


「はい。」


「異世界では、JINさんがパパみたいなもんですね。」


「……パパ?」


毎週一万円を投げていた太客、異世界のパパとなるwww

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
新手のパパ活始まる笑笑笑笑笑笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ