第11話 条件その4 やっぱり我が家が一番
異世界で暮らすことを考え始めた理美は、どんなところで暮らすのが一番快適なのだろうと考える。
最初は、シモンズのベッドが置いてあるような、あまり広くない高級ホテルの一室くらいがあれば十分かなと思った。
寝るだけなら、それで何も困らない。
しかし、ふと思う。
たまには家庭料理が食べたくなることもあるかもしれない。
そう考えると、やはりキッチンは欲しい。
そこまで考えた時、理美の中で答えは決まっていた。
やっぱり、今の家が一番なのである。
豪華な家に住みたいわけではない。
理美は、異世界でも今と同じ暮らしを続けたいのである。
「JINさん。」
「はい。」
「四つ目の条件なんですが。
今、日本で住んでいる家を、そのまま異世界に用意していただけませんか。」
「もちろん可能です。」
「あと、できれば追加でお願いしたいことがあるんですが。」
「何でしょう。」
今では子供たちも独立し、家を巣立っていった。
子供部屋だけが、ガランとしたまま残っている。
異世界へ来てしまえば、日本で通っていた美容室やスーパー銭湯、カラオケボックス、マッサージ店などへ行くことはできなくなる。
「そのガランとした部屋なんですが。
必要な時だけ、美容室やスーパー銭湯、カラオケボックス、マッサージ店など、私が日本で通っていた場所の一室のような空間に変えられるようにできませんか。」
JINの表情がぱっと明るくなった。
「もちろん可能です!
部屋の広さが足りない場合は、一時的に空間を拡張しましょう。
外から見れば普通の子供部屋ですが、中へ入れば、その用途に合わせた広さになります。」
「おお!」
理美は思わず声を上げた。
「それ、よく異世界転移ものにあるチートじゃないですか!」
JINは嬉しそうに頷いた。
「ようやく異世界の神様っぽいことができます。
草津の旅館の露天風呂だって再現できます。
……室内ですが。」
中二病っぽい理美と、異世界の神様JIN。
二人とも、少しくらいは異世界転移もののテンプレらしいこともやってみたいのである。




