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第五章 いつの間にか②
あれから二週間ほどが過ぎた。
夏はさらに深まり、都心では連日のように最高気温の更新がニュースになっていた。
朝から照りつける日差しに、駅へ向かう人たちの足取りもどこか重い。
湊もここしばらく仕事に追われていた。
帰宅する頃には遅い時間になり、本を数ページ読んでは眠る。そんな日が続いていた。
璃子も忙しいらしく、連絡はほとんど取っていない。
朝、駅へ向かう途中。
信号待ちでスマートフォンを取り出した湊は、ふと最後にバーへ行った日を思い出した。
もう二週間になる。
画面を開く。
少しだけ指を止めてから、短い文章を打った。
(璃子おはよう。最近暑いけど体調には気を付けて。)
送信する。
信号が青に変わった。
湊はスマートフォンをしまい、そのまま人の流れに混ざっていった。
電車を降り、会社へ向かって歩いているとポケットの中が震えた。
(おはよう☺️ありがとう!ほんと毎日暑すぎるね!湊もちゃんと水分とって、無理しないでね!)
湊は歩きながら画面を見る。
少し笑って、
(ありがとう。今日も頑張ろう。)
と返した。
しばらくして、
(うん☺️ 今日も頑張ろー!)
短い返信が届いた。
湊はスマートフォンをポケットへ戻した。
強い日差しは相変わらずだった。
それでも、会社へ向かう足取りは少しだけ軽くなっていた。




