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巻き込まれただけなので、逃げようとしたけど失敗したようです  作者: みん


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6/10

6 状況把握

召喚に巻き込まれてから1週間。


異世界人の3人と、オルグレン王国の事がある程度分かって来た。


オルグレン王国


人間の国で、特にこの数年で他の国よりも魔獣の出現率が高くなっている。過去の文献でも、全世界で魔獣の出現率が高くなったり、淀みが生まれたりするのではなく、限られた国だけに起こるようで、起こった国だけで対処する事もあれば、友好国で助け合って対応したりするそうだ。

今回は、周期的に早い淀みの現れと、魔獣の出現率が一気に高くなった事で対処に遅れが出たそうで、友好国にも援助をお願いしているとの事だった。

ただ、今回に限っては、他の国でも淀みが発生しているそうだ。アルミリオンもそうだ。

イレギュラーな事もあるようで、各国が慎重に見極めながら対策を練っているらしい。



異世界人の3人


“聖女モカ”

鑑定の結果、筆頭聖女クラリーチェ様よりも魔力量が多かった。治癒の力と浄化の力は大陸一のレベルなんだそうだ。


“剣士ハルキ”

召喚された翌日。仕える相手を選ぶと言われている聖剣に選ばれた。それからすぐに訓練が始まったけど、もともと体を鍛えていたようで体力は問題なく、もう剣を振っている。


“魔法使いライオネル”

鑑定の結果、火水風土属性の魔力持ち。2つの属性持ちでも珍しいのに、まさかの4つ持ちだった。それでも、もともと魔法の無い世界から来たようで、今は1から魔法についての勉強をしている。


流石は神々に選ばれて召喚されただけあって、3人ともレベルが高かった。




モカは、最初は筆頭聖女クラリーチェ様の事を怖がっていたけど、今は少し落ち着いている。そのモカには、護衛として神殿から派遣された聖騎士がついた。


“ルーベン=トリスタン”

黒色の髪と瞳をしていて、モカの国の人達と容姿が似ていて実力もあるという事で選ばれたらしい。

『婚約者が居ます』という事に、モカが異様な程に反応していたのは、少し気になるところだ。ちなみに、3人には恋人も婚約者も居なかったそうだ。



そして、私はというと──

相変わらず人型に戻れず、ずっとモモンガのまま。獣化したままだと魔法も使えないし、モカ以外の人達との意思疎通も無理。周りの人達は、私が普通のモモンガだと思っている。常にモカと一緒に行動させられている。お世話もしっかりされていて、可愛がられている。必要以上に可愛がられているお陰で、逃げ出す隙がない。モカが離れた隙に何度か脱走を試みてみたけど、追跡魔法をかけられているのか、すぐに捕まってしまう。


ー皆、どうしてるんだろう?ー


1週間も経ってしまった。皆心配して必死に探してくれてるはず。でも、おそらく手掛かりなんて何も無いだろう。自分でも、何故こんな所に居るのか分からないのに。


唯一の救いと言えば、モカに笑顔が増えた事。『マヒナは私の癒やしよ』と、毎晩寝る前に、その日1日の話を私に語った後、必ずそう言いながら私をなでまくって来る。その時のモカの笑顔が可愛い。


モカは頑張り屋さんだ。慣れない魔法の訓練に四苦八苦しながらも毎日頑張っている。容姿ももともと可愛らしいから、貴族の令息達から声がかかる事も増えた。ただ、モカはそういう相手をするのに慣れていないようで、笑ってやり過ごす事が多くて、それを気に食わないと思っている令嬢が居るのも確かだ。

だから、少ししつこい感じの令息が近付いて来た時は、私が威嚇するようにしている。



今のところ、特にトラブルはなく、3人とも元気に過ごしている。



「貴方が、聖女モカ様?」

「え?あ……はい。そうです」


今日の3人は休養日で、ハルキとライオネルは街に出かけていて、モカは王城内にある図書室で本を読んでいた。そこへ、鮮やかな赤色の髪の毛の令嬢がやって来た。初めて会うご令嬢だ。


「初めてお目にかかります。私、ジェンナ=カサンドラと言います」

「あ、ご挨拶、ありがとうございます。私、モカ=シミズです」


神々に選ばれた聖女は、どんな位の貴族よりも上の立場になるから、モカが頭を下げて礼をする必要はないけど、慣れない事もあって、モカはいつも誰に対しても低姿勢だ。


「いつも、私の婚約者のルーベン様がお世話になっております」

「婚約者……ルーベン様……あぁっ!!トリスタンさんの!婚約者!!こっ……こちらこそ!いつもお世話になってしまって!本当にすみません!!」

『モカ!?落ち着いて!』


何故か必死に謝るモカ。何も悪い事なんてしていない。


「何故聖女様が謝るのですか?何か、後ろめたい事が──」

「後ろめたい事なんて一切ありません!微塵もありません!!えっと……私に何かご用がありましたか?」

「いえ……たまたまここに、聖女様がいらっしゃると聞いたので、挨拶をさせていただいただけです。お邪魔をしてしまってすみませんでした。それでは、失礼します」

「あ、はい、ありがとうございました」


そうして、ジェンナ様は去って行った。





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