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巻き込まれただけなので、逃げようとしたけど失敗したようです  作者: みん


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37/43

37 久しぶりの──

ブレイン様は“痒いところに手が届き過ぎる”ような存在だと思っている事は、私の胸の中だけに仕舞っておく。


「ブレイン様、ありがとうございます」


ブレイン様ほどの魔道士なら、これぐらいの結界なら簡単に通れるだろうけど、ディンベル様が1人で頑張っているのなら、私だって自分の力で頑張りたい。


「でも、私の力だけで頑張りたいんです。迷惑はかけない──と言い切れないところもあるかもしれないですけど、何かあった時の為に見守ってもらえますか?」

「勿論!」


ブレイン様が少し下がって待機してくれたのを確認した後、改めて結界を見渡す。結界は無色透明だったり、少し白っぽかったりする事が多いけど、目の前の結界は薄っすらと赤みを帯びている。


「オレンジ色……まさか!?」


結界を完全に破るにはそれなりの魔力量が必要になるし、結界を張った者よりもレベルが上じゃないと破れない。私の魔力量はそれ程多くないし、この結界を張った人よりレベルは下だろう。そういう場合は、結界の綻びや隙間を探して、そこからくぐり抜けて行くしかない。勿論、その訓練もみっちり受けた。たまに、自分が騎士になりたいのか魔道士になりたいのか、分からなくなる時があった。


「見付けた」


見付けたその綻びは、モモンガサイズぐらいの大きさ。“見付けて入って来い”と言わんばかりのサイズ。


「ブレイン様、中に入りますね」

「了解です!気を付けて!」


笑顔で手を振っているブレイン様。全て了承済みだという事なんだろう。


「行ってきます」


そう言ってから、私は魔法で綻びに穴を開けてからモモンガになり、その穴から結界の中に入って行った。




「うーん……魔道士じゃない事が残念だなぁ……」


と、ブレインが苦笑した。







「リア!!」

『キュッキュッ!!』


結界に入るとすぐ、私が予想していた人が目の前に居た。鮮やかなオレンジ色の長髪と瞳で、190cm近くもある身長で筋肉と言う名の鎧を纏っているイケオジ。モモンガの私からすると、色んな意味で白木蓮の木のような存在。大きくて安心できる大好きな場所。


「本当に心配したんだぞ!?見付かったと報告があった時にすぐに迎えに行きたかったけど、皆に止められて……あぁ、リア、本当に……」


まさか、異国の地で会えるとは思ってもみなかった。クレマチスに帰るまで会えないだろうと思っていた。オルフェオ兄さんとリナルド兄さんが、オルグレンに来た事でさえ異例だと驚いていた。それがまさか──


ポンッと人の姿に戻って、背中に手を回してギュッと抱きつく。


「お父様!!」


エドアルド=クレマチス──


アルミリオン王国南辺境地のクレマチス辺境伯。虎獣人。

咄嗟に人に戻って抱きついても、微動だにしない。抱きついてもゴツゴツしてて、ちっとも気持ち良くない──のに、安心感はとんでもなく大きい。


辺境伯となれば、領地を出る事も難しい事を知っている。


「どうしてここに?」

西辺境伯(ウルス)北辺境伯(ヴェリヤ)東辺境伯(アーレント)が、私の留守の間騎士を寄越してくれると言ってくれて、ここに来る事ができたんだ。それと、国を跨いで魔法での転移の許可もおりて、アルミリオンの魔道士が迎えに来てくれたんだ」


その魔道士は、きっとブレイン様だ。


「それに、聖女モカが、国王陛下に嘆願してくれたそうだ。『私のせいで帰れないから』と」


ー後で、モカにはお礼を言わないとねー


「その聖女モカが、リナルドの恋人だとは思わなかったがな」

「本当にビックリだよね!?」

「本当に……ビックリしたのは……リアにも相手ができたという事だったがな……」

「ソウナンダ………」


お父様、口は笑っているけど、目が笑ってないのは気のせい──にしたい。


そこで、改めて周りに視線を向けると、オルフェオ兄さんが、少し離れた所にあるベンチに座って手を振っていた。

そんなオルフェオ兄さんから横に視線をずらすと、リナルド兄さんとディンベル様が並んで立っていた。


ー久しぶりのディンベル様だー


最後に会った時よりも、少し痩せた──引き締まった感じがする。顔にも傷がある?駆け寄って聞きたい事もあるけど、ぐっと我慢する。


「お父様は……私とディンベル様の事は反対なの?」

「反対……なんて事はないよ。リアが選んだ相手なら間違いはないだろうからね」

「それじゃあ──」

「それでも、リアよりも弱い……のは仕方無いとしても『横に並んで立ちたい』と言うなら、それなりの実力が必要だろう?」


とニッコリ笑うお父様。


「それで……ディンベル様は……」

「この1ヶ月、よく頑張ったかな?まだまだ足りないが、折角リアが会いに来てくれたからね。私はこれから国王陛下との約束があるから、また後でゆっくり話をしよう」

「勿論!また後でお父様の所に行くわ」


そのタイミングで、ブレイン様がやって来て、お父様と一緒に国王陛下の所へと行ってしまった。



「オリアナ、久しぶりだな」


それは、久しぶりに聞くイケボだった。




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