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乙女ゲームのヒロインに転生したけど、攻略対象から逃げていたらモブに助けられました  作者: 春樹凜


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5/20

5.●ただのモブ……のはず



 あの日、裏庭でヒロインを助けたのは偶然だったはずだ。

 けどあの時以来、なぜかヒロインの危機に遭遇するようになった。


 今日だってそうだ。

 彼女が角を曲がってジナーンから逃げてくる直前に、なんとなく胸がざわっとした……と思ったら、偶然そこにアリアナが来た。

 いやいや、これ本当に偶然なのか!?


 他にも、図書館に入った瞬間胸騒ぎを覚えて足を進めたら、棚から出ている腕に掴まれたアリアナを見つけてしまった。

 あまりにもホラーで衝撃的すぎる光景に腰が引けつつ反対側を確認したら、腕を伸ばしていたのは、薄ら笑いしていたメガーネだった。

 同じ眼鏡キャラの風上にも置けない。


 風に飛ばされたプリントを取りに裏庭に行ったら笑顔でにじり寄るキッシと、怯えるアリアナがいたりってのもあった。


 しかもだ。

 同じことが何度も続くのだ。


 最近にいたっては、アリアナやヤンデレ四天王がどのあたりにいるのか分かるようになっていた。

 で、アリアナがその中の誰かと接近していると分かると、俺の足は自然とそちらへ向き、アリアナを助ける日々。


 さすがに、見て見ぬふりは、俺はもうできなかった。

 アリアナが本気で逃げたがってるのは分かったしな。


 けど、おかげで彼女の安寧の日々を保てているとはいえ、その精度が高すぎて、勘がいいとかのレベルじゃないだろうこれ、と一人でツッコミを入れていた。

 こちとら前世では、警察でも探偵でも軍人でもなく、ただの学生だったんだぞ?

 秘められし能力が開花した、なんてのもなかったし。


 絶対おかしい。

 でも理由が分からない。


 だがある日、いつものようにアリアナを助けた帰り道で、昨日の放課後のように、唐突に記憶の奥に沈んでいた声が蘇った。


『お兄、 聞いてよ! オージはね、角、ヒロインが角曲がると絶対出てくるの!』

『角が好きなお年頃なんじゃないのか?』

『ジナーンもね、建物の角なの! 角で遭遇するの! 角角角、あいつら角好きすぎ。 角兄弟だよ!』

『角兄弟ってなんだそりゃ』

『あのイベント時はね、メガーネは図書館の左の棚。ヒロインが本を抜いた瞬間、腕伸ばしてヒロイン掴んでくるの』

『ホラーすぎるぞ、その展開』

『キッシは裏庭。なにかあるたびに裏庭に潜伏してるから! 特にあのイベントの時はヒロインが花に水やりしてる時に現れて、逃げ切れなかったら三日間くらいキッシのおうちから出してもらえないから』

『……むしろその後出してもらえるんだな』


 ――妹のゲーム実況という名の怒鳴り散らしを、何時間も何日も何週間もぶっ通しで聞かされていた記憶。


 ……あれだ。

 つまり俺は、あのうるさい実況を魂レベルで覚えていた、ってことなんだろうか。

 記憶では忘れたつもりでも、身体は覚えていたと、そういうことになるのか。


 にしても、角角ってあいつ連呼しまくってたな。

 確かにあの王子兄弟はやたらと角でのイベント発生率多かったけどさ。

 他の二人からアリアナを助けた時も同じような思い出し方をした。


 まあそんな理由から、俺は四天王の出現位置が自ずと分かるらしい。

 その後俺は、大体全ての四天王のイベントを思い出した。


 というか妹よ、あいつはどんだけ俺を脅しながらゲーム語ってたんだよ。

 おかげでアリアナは命拾いしてるんだけど。


 しかも今日、さらに妙なことを思い出した。

 ある時、妹がゲーム画面を見ながら目を真ん丸にして、口をぽかんと開けていた。

 これ、本気で妹が驚いている時の顔だ。

 昔からの癖なんだよな。

 

 理由を聞くべきか放置すべきかと悩んでいたら、俺の存在に気づいた妹は、こっちの体をすさまじくゆすりながら大声で叫んでた。


『あっ、お兄、大変なことが分かった! モブAってさ、実は隠しキャラで……』


 あれって、俺のこと、なのか?


 …………。

 いやいやいや、ありえない。

 俺はノーランド家の三男。地味で平凡なモブだ。


 だけど胸の奥がざわつく。

 モブAが隠しキャラ。

 

 ってことは俺ももしかして攻略対象の一人とか?

 もしくはお助けキャラ的な感じなのか……。

 妹があの後何を言っていたか思い出せたらいいんだが、残念ながらそこまでは無理だった。

 というか、霧がかかったみたいに、そこから先がどうしても思い出せない。

 

 結局、俺はいったい何者なんだ?

 分からない答えに思考がぐるぐるする。


 が、ふいにアリアナの笑顔が脳裏に浮かぶ。


 まあ、今はいいか。

 そのうちに、四天王のことみたいに色々と思い出すんだろうし。

 とりあえずあの子を助けるのが先だな。

 

 しかしだ。 

 ここから先の俺の人生が、ただのモブでいられるはずがないなんて、この時の俺はまだ知らなかった。



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