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「アスティーに会えるのは、嬉しいです」
そうして、会えることへの感想を述べるにとどめた。彼もまた、「半年」分の成長を遂げているだろう。学校生活の話も聞きたい。
「退けられんのか、そんなんで」
「え?」
背もたれに両肘をかけて座るシェダルは、大柄なだけにソファと一体化しそうな様相だ。しかしその表情は何かを量ろうとするもので、サクラは彼の意図を探ろうと瞳を強くする。
「また何思い悩んでんだか知らねえが、あいつら守りたきゃもちっと腹据えてかかれ。パッシバルは老獪だぞ。娘も底意地が悪ぃ。まず気迫でもって押し返せなけりゃ、甘く見られて隙を突かれるだけだ。いいか。セルシアってのは王と同じに大地の世界の頂点だ。しかも世界の意志はセルシアにある。使える力を畏れんな」
初対面のときと同じ、唐突ながら何もかもを把握した上でのような発言に、サクラはシェダルを見つめた。
「なんの覚悟もなく引き取った訳じゃねえだろ。パッシバルがアスティーに何をやらせてたのか、少なくともあんたはわかってるはずだ。そういうヤバめのヤツから守るつもりなら、揺らぎなんか気取られんな。むしろ自分のものに手ェ出すなら領地を滅ぼしてやるぐらいの気概を示せ」
ぎょろりと大きな目の圧に、サクラは「はい」と頷く。
「そんで攻撃しかけてくるなら、それを相手すんのは従騎士の役目だ。そこの若造に陰険な対抗策考えさせとけ」
人聞きの悪い、とクレイセスが半眼を寄越すが、シェダルはふん、と鼻を鳴らしただけだ。
そこにノックがして、すぐにがしょん、と激しい音を立ててドアノブが回される。しかし一度ではうまく行かず、二度三度と音がした。イリューザーがラツィアを連れて戻って来たのだろう。クレイセスがすぐに動いて招き入れれば、ラツィアが少し、緊張した面持ちで入って来た。




