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輝魅  作者: 雨宮 苺香
以下改稿中〜少々お待ちください〜
6/9

試作品

 今日はきれいなクレープ生地が焼けて上にかけるチョコレートもいい感じにテンパリングできた。チョコレートが固まるまでノートにメモをする。でも前作った時と特に何も変えていないのに何で今日はあんなに上手に出来たのだろう。分からないままできたケーキをもって店長の所へ向かう。



「店長!ミルクレープにチョコレートをかけたケーキです。たべていただけますか?」


「おぉ、きれいに艶がでてるな。いただきます」


 フォークを通すとパリパリと音を立ててチョコレートが崩れる。口に運ぶ店長の手元を見ていた。目を合わせられないのは緊張するからだ。



「うん、美味しい。でもこれなら冬に出した方がいい。これから迎えるのは夏だから濃厚なチョコレートよりもさっぱりとした酸味のあるチョコレートの方がいいと思う。あと見た目、王道だけど金箔を乗せたらどうかな?高級感がでていいと思う。お中元としてケーキを買う人もいるからね」



 店長はすごい。1口でいい所も悪い所も季節も売行きも考える。



「わかりました。もう少し考えてみます。食べていただきありがとうございます」



 と言って片付けをする。思っていたより厳しかった。きっと紺野さんが背中を押してくれなかったら今頃心が折れていたんだろうなと思いながらノートに案を書いた。




 次の日のバイトは誕生日ケーキ作成を手伝った。店長の腕を目の当たりにして向上心が湧く。ケーキの箱を取りに行くとパートさんと紺野さんが話していた。どうやら去年作ったカーネーションのチョコレートが乗ったチーズタルトのことを話しているらしい。ケーキを見る紺野さんはぼーっとしていた。具合でも悪いのかと思ったら



「先輩はなんでも出来て凄いですね」



 と微笑みながら言う。でもその顔は見たことない顔だった。偽の笑顔だ。顔に出やすいんだなと思いながら



「褒めても何も出ないよ」



 と声をかける。少し慌てた顔、やっぱり素直な子だ。



「そのケーキ、今日売れ残ると思うから持ち帰って食べて」



「え!悪いですよ」



 とわたわたしているところに



「食べてあげてよ。せっかくだしさ」



 とパートさんが言ってくれたので申し訳なさそうにしながらももらってくれた。



「でもこれ試作段階のやつは食べさせられない味でしたよね」



 できた頃が懐かしくてパートさんに話しかける。



「そうね。味が定まんなくて何日も試作したし店長も一緒に作ってたわね」



 そう、俺一人じゃ完成出来そうになくてありがたいことに店長が毎日付き合ってくれた。

 パートさんと話している時もどこかぼーっとしていたので



「この完成品はちゃんと自信作だから食べて元気出してね」



 と声をかける。



「え!元気ですよ?」



 彼女はハッとした様子でそう言う。



「元気でその顔ならさらに心配するんだけど?」


「そんな酷い顔してますか?私」



 無自覚みたいだ。より心配になる。



「無理してるように見えるけど?」


「大丈夫なので気にしないで下さい」



 と笑顔を見せる。やっと見せた笑顔に少しドキドキして



「ならいいけど」



 なんて優しくない言葉をかけて店長の所に戻る。




 店長の所に戻ると



「遅い。てかなんでそんな顔赤いんだ?」



 と言われ焦る。



「すみません。え、そんなに赤いですか?別になんでもないですよ」



 と答える。すると店長が



「紺野さんでしょ」



 と耳元で言う。



「ちがっ······くないですけど、ただやっと笑顔になってくれたので嬉しかっただけですよ!」



 何かに慌てながらそう言う。



「ふーん。それだけで終わらないのが男だぞ」



 と言われた。



「いやいや!ハムスターみたいで可愛いなと思うだけで、それで!」


「それで?」



 えっと······



「紺野さんは笑ってる方がいい!」


「そうか」



 と言われた。その後店長にため息をつかれたので真面目に仕事しようと思い、業務に務めた。


 家に帰って試作品のことを考える。どうしたらいいか、どうしたいのか。目を瞑って思い浮かんだのは紺野さんの顔だった。母のために作りたかったケーキなのになんでだろう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 先輩が少し意識し出していますね。 二人は両片想いって所でしょうか……。 続きが気になりますね! [気になる点] 脱字です。 「店長!ミルクレープにチョコレートをかけたケーキです。たべてい…
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