☆23 ヒーリングドラゴン
アウロラさんの合図でお昼休憩が始まった。
執事のクマムさんが、イスを地面に並べ、鍋でスープを作ろうとしていた。
クマムさんは、火魔法が使えるみたい。
ジュリアさんやもふもふガールズは、地面に直で座り、何の肉か分からないが干し肉と硬そうなパンを口に入れ食べていた。
アルファーの街からベータの街までの道のりは近くに川が流れているため、水は馬車に最低限しか乗っていないみたいだ。
エリルさんと、リィサさんが水くみをしにいっていた。
「あのー、アウロラさん、ソファー使われますか?」
僕とシャルだけ、ソファーを使い、目上の者であるアウロラさんより上質な物を使うのは憚れるため、問うた。
「ソファーですか?それは、どこにあるのですか?」
アウロラさんは、辺りを見回す。
僕は、アイテム袋を所持していないし、アウロラさんが馬車の中にソファーなど大きいものを見落とすわけはない。
「よいしょっと、これです」
後ろには背もたれが、左右には肘掛けがあり、座面や背もたれなどの部分はやわらかく快適で、5人が座ってくつろげるようになっているソファーをだす。
「おぉー、これは立派なソファーですね」
「りっぱー」
アウロラさんに続いて、エリィサちゃんが感想を述べる。
「座ってみてください」
アウロラさん親子に促す。
「では、失礼します」
「失礼します」
座った瞬間に目を開き、その後ふにゃーっとした顔をする親子。
その気持ちは分かる、落ち着くソファーなのだ。
このソファーは、ヒーリングドラゴンの羽毛と木などでできている。
このヒーリングドラゴンは、羽毛自体に魔力を帯びており、触っているだけで幸せな気分になるというマジックアイテムのようだ。
ヒーリングドラゴンのモンスターランクはSランクと強いらしい。
ヒーリングドラゴンの涙や唾液などは、欠損をも治すとモンスター図鑑に書かれていたので昨日、探した。
生息地がアルファーの街の森の奥地であったためだ。
知能が高く普通に話すことができたため、生え変わりの抜け毛をいただき、収納魔法で増やしたというわけである。
ヒーリングドラゴンの唾液ももらった。
今は、僕回復魔法使えないからね。
いざというとき困るし。
「これは、すごいです。アクアさん、ぜひ、アルファーの街に戻った際はお売りください、ぜひぜひ」
「ぜひぜひー」
アウロラさん親子は気に入ってくれたみたいだ。
アウロラさんたちの分のソファーを出したあと、少し高さを下げた2人がけのソファーを何個か出した。
馬車に乗ってたみんなの分である。
「どうぞーお食べください」
そして、そのソファーの前に四角いテーブルを出し、そこに、ジャガイモンのポテトティップス、塩味と醤油味を木の容器にのせて、置いた。
僕とシャルのところには、ジャガバターとフレンチトーストもある。
ポテトティップスは、おやつで、ジャガバターはお昼ご飯だ。
「いただいても良いのですか?」
アウロラさんが、僕に聞いてくる。
「はいっ、大丈夫ですよ。あっ、毒味しますよね?クマムさんお願いします」
クマ厶さんは、僕が手に持った木の容器からポテトティップスを右上右下左上左下最後に真ん中を掴み食べる。
「大丈夫のようです。それに、これは美味しゅうございます」
クマ厶さんが、嬉しい感想を述べてくれた。
「普段から、毒味をしているあなたがそういうのなら、美味しいのでしょうね。いただくとします」
『パリッポリッ』
アウロラさんが、手でつまみポテトティップスを口に入れ咀嚼する。
「美味しいです。これは、止まりませんね。エリィスこの食べ物は美味しいわよ」
アウロラさんがポテトティップスをつまみエリィスちゃんの口に放り込む。
「おいしいです。おかあさま」
エリィスちゃんも喜んでくれたみたいで良かった。
『アレンジストレージ』レベル5
原材料の最終的な状態を知っている場合に魔力を消費して作ることが可能となる。
例として、アニス草は『油』になる、本来ならいろいろと作業を行わないといけないが、アレンジストレージを使い魔力を消費することにより、変換することが可能。
と『プロストレージ』をたくさん使用して、いろいろと昨日のうちに作った。
わざわざ、ジャガイモンを包丁で切って油の中に入れて揚げ、塩と醤油をかけたりなどの作業は行っていない。
アレンジストレージで完成させた
物と物とを組み合わせ、最終的な状態を知っている僕だからできることだ。
魔力量も半端ないし、普通の魔法使いならできない。
『パリッパリッ』
と、もふもふガールズさんとジュリアさんも口に入れ食べ始める。
女性や男性にも受けたみたいで、あっという間にテーブルの上においたポテトティップス2種は無くなった。
「なぁ、アクア。なんでアクアが出した食べ物は温かいんだ?おかしいぞ?」
意外にも、ガサツなハンマー使いのカーナさんが最初に気づいた。
「確かにおかしいですね。アイテム袋なら入れたものは温かいままなどできないですし、昨日現れた収納魔法でも、そのような効果があるという情報はありませんでした」
エリルさんも話に入ってきた。
みんな、興味があるのだろう、僕の言葉を待っているみたいに『ジーッ』と見ている。
「あー、収納魔法、レベル6のストップストレージという技です。収納する前の状態をキープすることができるんですよ」
みんな、初めて知りましたーと各々に言葉を発していた。
収納魔法について、いろいろと説明した。
それで、分かったのだが収納魔法を覚えれていたのは、執事のクマ厶さん、レベル2。シャル、レベル1。そして、普段荷物持ちをしているらしいルンスさん、レベル2。
そして、驚いたことにシャルは回復魔法レベル1、風魔法レベル1、収納魔法レベル1と僕が新技を作った魔法をいつの間にか覚えていた。
シャル自身普段から、ステータス画面を見る習慣がないため、いつの段階で覚えたのかわからないとのこと。
因みに、ポテトティップスの油はアニス草から取り、ジャガイモンは、街で購入した。
「野営でこんな温かい食べ物が食べれるなんて幸せです。いつもは干し肉と硬いパンを食べてますから」
いつの間にか、僕の隣に座っているエリルさんが、僕の肩に頭を乗せ寄りかかってきながら、言葉を発っする。
シャルは、エリィスちゃんの隣で座って話をしている。
同い年ということもあり打ち解けるのも早いみたいだ。
因みに、僕とシャルだけが食べる予定だった、フレンチトーストとジャガバターもみんな食べている。
もちろん、一人1つ渡したよ。
フレンチトーストには、メイプルシロップもかかっており甘い。
甘いということもあり、女性陣は大喜び。
エリルさんから抱きしめられた。
『アレンジストレージ』で木からメイプルシロップを作った。
メイプルシロップの木は偶然にも発見した。
シャルが『この木、甘い香りがする』と木を指さしていたので、ストレージに取り込んでみたところ、メイプルシロップの蜜となることが分かった。
ヒーリングドラゴンに、メイプルシロップをプレゼントしたら大変喜ばれた。
なんか、お礼に金銀財宝っぽいのをくれたよ。
お読みいただきありがとうございます




