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婚約破棄、辺境伯登場、王都追放、王都崩壊。  作者: トウフキヌゴシ


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2/5

第2話、救出。

「まずいのですわっ」

 目の前には、角の生えたうさぎ。

 ホーンラビットだ。

 弱い魔獣ではあるが無手の令嬢には十分脅威である。

「しかも、群れるのですわっ」

 もともと魔獣の住処に創られた王国である。

 魔獣のことを教える授業もあった。

 千体単位で群れると、”ホーンラビットサウザンドレギオン”と呼ばれるエリアボスになる。

 とりあえずハイヒールを脱いだ。

「囲まれているのですの」


「ああっ、ホーンラビット・サージェント(軍曹)ッ」


 ホーンラビットの後ろに、二本足で立ち、ななめに眼帯、手に葉巻をくゆらせた特殊個体がっ。

「カ、カンパニー(軍隊)を組んでいますのっ」

 臆病なうさぎたちが、上位個体ホーンラビット・サージェントの指示で、じわじわと寄ってくる。

 ゆっくりと後ろに下がると大きな木を背中に背負った.

「そうですわっ」

 ――うさぎは木に登れませんの

 大慌てで後ろの木に登った。

  くいっと軍曹が指を動かす。

 ガツッ

 ぎりぎりでうさぎに角の攻撃をかわし木に登れた。

 何とか太い枝に座り、幹にしがみついている状態である。

 木の上から見ると完全に囲まれている。

「どうしましょう」

 いつまで待っても、ホーンラビット・サージェントに支配されたうさぎたちはいなくならない。 

 婚約破棄とまでは言わないが悪い予感があったのだ。

 比較的シンプルなドレス、首には宝石のついたネックレスを選んでいた。

 キラキラと宝石が光を反射する。


 ズン


「なんですわ?」


 ズン


「ピッ」

 小さな悲鳴のような鳴き声を出してホーンラビットたちが逃げる。


「あ、あああ」

 こちらに近づいてくる巨大なイノシシ。

「タイタントゥースボアですわ」

 Aランクの魔獣、正規(六人)の人数の二パーティーで対応するものだ。

 ――授業で習ったのですわっ

 木に前足をかければ届く。

「ブヒッ」

 かけた。

 固まって動けない。

 口に生えた鋭い牙がこちらに。

「な、南無三っですわっ」

 その時だ。

「(ペンダントの)光はあそこだ」


 ヒイイイイン


 甲高い魔獣寄せの音を出しながら、三本の矢がイノシシの横顔に当たる。

 残念ながら矢は硬い毛皮を貫通出来ない。   

 だが、


「ブヒイイイイ」

 

 ヘイトを買うことには成功した。

 二本足で走る騎竜が三騎。

 森の中で馬は無理だ。


「チャージをかけるっ、援護せよっ」

 先頭にいた騎士がハルバートを構え突撃。

「「はっ」」

 後ろの二騎が矢を構え援護射撃。


 ガツッ


 飛び出した騎士はハルバートをわざと大猪の牙にぶつけた。

 脳震盪を狙ったものである。

 効果があった。


「ブ、ブヒイ」

 イノシシがふらふらと逃げていく。

「追い打ちは?」

「放っておけ、それよりも」


 木から降りましたわ。

 白いシルクの靴下が少し破れて血がにじんでいますの。

 カーテシーをしながら、

「ハイランド公爵家が娘、エメラルドですわ」


「むむ」

「普通の令嬢なら……」

「武の名門ハイランド家」

「ハイランダーの末裔の姫だ」

 後ろの騎士たちが思わずつぶやく。


 助けていただいた騎士様が大慌てで騎竜から降りましたの。

 身長、190センチはありますわ。

 兜のバイザーをはね上げ、利き手である左手をこぶしを作りながら胸へ。

「略式の礼で失礼。 ”ギルベルト、ベアサーク”辺境伯だ」 

「まあ、辺境伯様でしたか」

 わたくしの驚きの声。

「この度はありがとうございましたわ」

 カーテシーをくずしませんの。

「いや、礼には及ばない、それより周りは危険です、ぜひ我が城へ」

 騎竜の乗られましたの。

「失礼」


 ヒラリ


「きゃっ」

 片腕をウエストにまわされ軽々と膝の上へ。

 横抱きで腕の中に入りましたわ。

 わたくし、貴族令嬢としては高身長の170センチはありますの。


「帰るぞっ」

「「はっ」」


 タッタッタッ


 と、倒木や木々の間を騎竜がかけていきますわ。

 こっそり見上げますの。

 茶色い瞳に茶色い髪。

 しっかりとした太い眉毛。

 頬の横には傷がありますの。


 ――か、かっこいいのですわ~~

 ――まさにおとこ益荒男ますらおっ、益荒男ますらおですの~~

 ――鍛え上げられた筋肉っ

 ――細い令嬢のウエストくらいの太さがある二の腕っ


 ハイランド家は武の名門。

 父も兄も周りの男たちも筋骨隆々の男たちだ。

 筋肉には一家言いっかげんあるエメラルドである。


「ハ、ハイランド嬢?」


 ポ~~と頬を染め、そっと胸に顔をよせるエメラルドであった。

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