第1話、追放。
貴族学園の卒業パーティーだ。
「エメラルド・ハイランド公爵令嬢。 婚約を破棄する」
フレッド王太子が大きな声で言った。
「真実の愛に目覚めたのだ」
「王太子妃ひいては国母には、教会に聖女の力に目覚めたと認められたフェリシア伯爵令嬢がふさわしい」
隣には小柄だが胸部装甲の立派なピンクブロンドの女性。
私はすらりとした高身長である。
スレンダーな体型。
王太子より若干背が高い。
王太子の好みから外れているのだろう。
「それは王陛下や父である公爵は知っているのですか?」
母譲りの見事な、”金髪縦巻きドゥー・リー・ル”をゆらす。
翠色の瞳を向けた。
三百年前の建国から支えてきた名門、ハイランド公爵家。
フェリシア伯爵令嬢。
それを疎ましく思っている派閥の伯爵家令嬢。
聖女ということは教会と手を組んだようだ。
「ふんっ、王も公爵も魔獣討伐で遠征中だ」
魔獣がたくさんいる土地に建国した。
「そして、フェリシア伯爵令嬢に嫌がらせをしたな」
「ノートを破られたり、靴を捨てられたり嫌がらせを受けました」
フェリシア伯爵令嬢だ。
「さらに、嫉妬に狂って彼女を階段から突き落として殺そうとしたな」
「……この婚約は政略ですわ」
――ハイランド家を王家につなぎ留めておくための
実際、シュッとした美男子の王太子は私の好みではないのですの。
「婚約破棄は受け入れますが、痛がらせや突き落したりはしていないのですわ」
「そんな……罪を認めてあやまってください」
キャッ
「また、学園の時のようににらまれました」
涙目のフェリシアが王太子にしなだれかかる。
色々押し付けた。
「よしよし」
フレッドがフェリシアの頭をなでながら、
「お前には王都追放の刑と処す」
「つれていけっ」
「や、やっていませんわ」
どうやら伯爵家や教会の息のかかった近衛兵にその場で連れていかれた。
王都追放の刑。
転移門から魔獣の森に転移させる。
戦うすべのない貴族、特に令嬢には事実上の死刑であった。
「待ってくださいましっ」
床に丸く光輝く転移術式。
異例の速さの追放劇であった。




