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勘違いだらけの異世界転生生活 〜スキル【勘違い】だけで何をしろと? 最弱なので助けてください〜  作者: 杜鵑
第4章:神様(クソ爺)にクレームを入れに行ったら、うっかり全神話の創造主(トップ)に祭り上げられた件
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第58話 仲間たち(メリル・アリス・ルナ)との共闘〜俺の逃走ルートが奇跡の解決策になる〜

「ふざけんな! なんで俺が無給で宇宙のバグ取り(デバッグ)しなきゃいけないんだよ!」


完全にローポリゴン(カクカク)の世界と化した、神界の元・VIPルーム。

俺は『全次元のIT土方(無給)』という、ブラック企業も真っ青の称号を押し付けられ、頭を抱えていた。


抜けたコンセントを刺し直した結果、宇宙は『セーフモード』で再起動してしまった。

そのせいで、視界に入るすべての物が、初代『VRチャ〇ト』の初期アバターのようにカクカクしている。


「ひぃぃぃ! ワシのブリーフが、ただの白い逆三角形になってしもうたぁぁ!」


元・最高神(クソ爺)が、己の股間を見つめて絶望の涙を流している。

だが、嘆いている暇はなかった。


突如、六畳間の空間に、ノイズ交じりの不気味な警告音が鳴り響いたのだ。


ピガガガッ!


『警告。セーフモード稼働に伴い、次元の隙間から【重大なエラーバグ】が発生しています』


システム音声と共に、割れた窓(次元の裂け目)から、無数の赤いブロック状の化け物が這い出してきた。

どう見ても、昔のレトロゲームに出てくる『インベ〇ダー』みたいなウジャウジャしたドット絵のバグである。


「うわぁぁぁっ!? なんだよアレ! キモいしデカいし絶対ヤバいやつだろ!」


俺のHPは相変わらずの『1』だ。

あんな粗いピクセルの塊に少しでもカスれば、俺の存在データは一瞬で文字化けして消滅する。


「……ジン。あの赤いバグ、レアな暗号資産(N〇T)として高値で売れるかも。……捕獲する」


ルナがポリゴンの虫取り網を取り出し、仮想通貨の亡者と化してバグの群れに突撃していく。


「……お兄さん、あの赤い四角、美味しい。……イチゴ味のグミみたい」


アリスはアリスで、迫り来るシステムエラーを口いっぱいに頬張り、物理的なバグ退治(捕食)を始めている。


「お前らバカ! 宇宙のエラーコードを勝手に売り捌いたり食ったりするな! 絶対お腹壊すぞ!」


ポンコツどもがカオスを極める中、俺は一目散に『逃走ルート』を探した。


とにかく安全な場所に隠れて、この面倒くさいIT労働からサボりたい。

俺は六畳間の隅にある『押し入れ(旧・神界の宝物庫)』の襖を勢いよく開け放った。


「俺はもう無理! お前らで適当にバグ処理しといてくれ! 俺はここで寝る!」


俺はそう叫び、暗い押し入れの中へ現実逃避のダイブを敢行した。

完全に、嫌な仕事から逃げて引きこもるだけの「ダメ人間の逃走劇」である。


だが、俺が押し入れに飛び込んだその背中を見て、メリルがまたしても聖剣を震わせた。


「(……ッ! 押し入れ(=システムの中枢・バックドア)へ自ら突入し、バグの発生源を直接叩くおつもりか!)」


メリルはドット絵のように粗い涙を流し、感動のあまりその場に跪いた。


「(我々に雑魚(表面上のエラー)を任せ、ご自身は最も危険な深淵(裏口)へと単騎掛けをなさるとは……!)」


「違う! ただ押し入れに引きこもってサボりたいだけだよ! ドラ〇もんみたいに寝たいだけ!」


「いざ共闘の時! マスターが退路(裏口)を絶ってくださる間に、我々はこの防衛線を死守しますッ!!」


俺の悲痛なツッコミは、狂信者の耳には一切届かない。

こうして俺の情けない逃走ルートは、宇宙を救うための『奇跡の決死行(共闘)』として、勝手に幕を開けてしまったのだった。



「……ゲホッ、ゲホッ! なんだここ、ホコリっぽくて息苦しい!」


俺は真っ暗な押し入れ(旧・神界の宝物庫)の中で、涙目で咳き込んでいた。

ここはローポリゴン化しているせいか、ホコリまで巨大な四角いブロックになっていて、顔に当たると地味に痛い。


「おい誰か! 外の襖を少し開けて換気してくれ! あと暗くて何も見えないから、スマ〇フォンのライトでもいいから貸して!」


俺は押し入れの奥から、ただの『換気と照明の要求』を叫んだ。

しかし、その小市民的な愚痴は、外でバグの群れと対峙しているメリルの耳には『悲壮な決意表明』として響いていた。


「(……ッ! マスターは今、光すら届かぬシステムの深淵(暗闇)で、お一人で致命的なバグの源泉と戦っておられる!)」


メリルはカクカクの聖剣を振るいながら、感動の涙をまき散らした。


「(しかも『息苦しい(=致死量のエラーをその身に受けている)』状況でありながら、我々には『少しの換気(=最小限の援護)』しか求めない……! これぞ、絶対神の孤独と慈愛!)」


「違う! ただのハウスダストだよ! アレルギー性鼻炎になりそうなんだよ!」


俺の魂のツッコミは、分厚い襖に阻まれて全く外に届かない。

さらに、押し入れの外からは、ルナの電卓を叩く音と不穏な交渉が聞こえてきた。


「……ジン。押し入れの中のポリゴン、換気するついでに外に出して。……手数料は五割でいい」


「お前は仲間が(ハウスダストで)苦しんでる時に、まだ火事場泥棒しようとしてんのか! そもそもここ、ホコリとガラクタしかないぞ!」


俺は暗闇の中で手探りしながら、周囲のガラクタを適当に払いのけた。

だが、そのやり取りを聞いていたブリーフ一丁の神様(クソ爺)が、外でガチガチと歯を鳴らした。


「(ガ、ガラクタじゃと!? ワシが数万年かけて集めた神聖な武具データを、一蹴しおった!)」


クソ爺は、俺が『神の宝具すら役に立たない高次元の戦い』をしていると勝手にビビり散らしている。


「(あの男、バックドアに潜む巨大バグを相手に、己の拳一つで立ち向かう気じゃ! ワシの宝物庫が、神々の最終決戦場になってしまうぅぅ!)」


「勝手にアツい展開にするな! 俺は今、足元に落ちてた丸いプラスチックを踏んで悶絶してるだけだから!」


俺は暗闇の中で『レ〇ブロック』のような硬い突起物を踏み抜き、一人で涙を流していた。

すると、今度は襖のすぐ向こうから、不気味な咀嚼音が聞こえてきた。


「……お兄さん、この赤いバグ、ちょっと飽きてきた。……押し入れの中の丸いヤツ、食べていい?」


「アリス! お前は絶対に入ってくるな! 俺の唯一のパーソナルスペース(押し入れ)を食い破る気か!」


外の状況は完全にカオスだ。

だが、俺の足元に転がっていた『丸いプラスチック』は、ただのガラクタではなかった。


「……ん? なんだこれ、防虫剤か? 『タ〇スにゴ〇』って書いてあるけど……」


俺はホコリまみれの防虫剤(のようなポリゴン塊)を拾い上げた。

その安っぽいカプセルこそが、神界の宝物庫の最奥に封印されていた、恐るべき『システム強制排除プログラム』だとは知る由もなかった。



「痛ぇなもう! こんな硬いプラスチックの塊、押し入れに入れとくなよ!」


俺は足の裏の激痛にキレて、拾い上げた『タ〇スにゴ〇』を適当に放り投げた。

ただの八つ当たりである。防虫カプセルは押し入れの襖の隙間を抜け、外の六畳間へと飛んでいく。


「……あっ、お兄さんが丸いお菓子投げた。……あむっ」


外でバグを捕食していたアリスが、飛んできたカプセルを空中でパクッと咥えようとした。

だが、カプセルは彼女の硬い前歯に弾かれ、カーンと甲高い音を立てて反射する。


跳ね返ったカプセルは、今度はルナが叩いていた『電卓の=(イコール)ボタン』に直撃。

そのままビリヤードの球のように鋭角に曲がり、部屋の中央で蠢いていた『一番巨大な赤いバグ(親玉)』の口の中へとスポッと収まった。


「(あーあ、外にゴミ投げちゃった。後で大家さん(俺だけど)に怒られるかな……)」


俺が押し入れの中で呑気に考えていた、その直後だった。


ピガガガガガッ!!


バグの親玉が、断末魔のような激しい電子音を上げた。

そして、飲み込んだカプセル(タ〇スにゴ〇)から、凄まじい勢いで『白い煙(防虫成分)』が噴き出し始めたのだ。


「な、なんじゃこりゃあぁぁっ!?」


パンツ一丁のクソ爺が悲鳴を上げる中、白い煙は瞬く間に六畳間を埋め尽くす。

実はその煙こそ、神界最高レベルの『アンチウイルス・プログラム(強制初期化ガス)』だった。


煙に触れた赤いバグたちは、ファミコンのバグ画面のようにチカチカと点滅し、次々と光の粒子ポリゴンとなって消滅していく。


「ゲホッ、ゲホッ! なんか外から殺虫剤の匂いがするんだけど!?」


俺が襖の隙間から咳き込みながら顔を出すと、バグの群れは完全に全滅していた。

そして、煙が晴れた部屋の中央で、メリルが膝から崩れ落ちて震えていた。


「お、お見事ですマスター……! まさか『防虫剤(タ〇スにゴ〇)』という名の最強の浄化魔薬を、仲間を経由させて敵の中枢に撃ち込むとは……!」


「違う! 足踏んで痛かったからゴミ投げただけだよ!」


「ええ、分かります! 味方の位置、敵の挙動、空間の反射角……。そのすべてを完全に計算し尽くした『神域の玉突き(ビリヤード)』!!」


「だからそんなプロみたいな計算してないってば!」


メリルの狂信翻訳は、完全にウイルス駆除の英雄譚へと昇華されていた。

だが、事態はこれで終わらなかった。


「……ジン。バグが消えたあとに、大量のレアアイテム(ドロップ品)が落ちてる。……全部拾う」


ルナが煙の中で光るブロック(元バグ)を、猛烈な勢いでマジックバッグに詰め込み始めている。


「やめろルナ! ウイルスの残骸を集めて市場に流そうとすんな! 二次感染起きるだろ!」


「……お兄さん、この煙、美味しい。……ミント味の空気がする」


「アリス! お前はアンチウイルスソフトを直接吸い込むな! 胃袋が初期化されるぞ!」


バグは消え去ったが、俺の仲間たちのポンコツ具合は、いかなるウイルス駆除ソフトでも治せないのだった。



「ゲホッ、ゴホッ……! もう嫌だ、全身ホコリまみれだし足の裏は痛いし最悪だ……」


俺は真っ暗な押し入れ(バックドア)から這い出し、カビ臭い六畳間の畳の上に崩れ落ちた。


投げた防虫剤(タ〇スにゴ〇)の煙はすでに晴れ、カクカクだった視界も少しだけマシになっている。


どうやらウイルス駆除が成功し、システムが通常モードに復旧しつつあるらしい。


「終わった……? もうバグは出ないよな? 俺、マジで寝ていい?」


俺が畳に突っ伏して安堵の息を吐いた、その瞬間だった。


「おおお……! ご覧ください皆様! 我が主が、無事に深淵から生還なされました!」


メリルが感極まった大声を上げ、俺の足元に猛烈な勢いでスライディング土下座をキメた。


「(たったお一人でシステムの裏側に潜り、自らの身を挺して全次元のウイルスを駆除されるとは……!)」


メリルの銀髪が、俺のホコリまみれのジャージを神聖な布で拭うようにスリスリと擦りつけられる。


「(どれほど過酷な死闘だったことか! 我々が表層の雑魚に手こずる中、マスターはたった一つの魔薬で根源を絶ったのです!)」


「違う! 俺はただ暗い押し入れでサボりながら、足踏んで痛かったゴミを投げただけだよ!」


俺の悲痛な叫びは、またしても狂信者の耳には一切届かない。


さらに、部屋の隅でブリーフ一丁で震えていた元・神様(クソ爺)が、畏敬の念を込めて平伏した。


「(ま、まさかワシが数万年封印していた『禁断の防虫宝具』を、あんなに完璧な軌道で使いこなすとは……!)」


「(この男、やはりワシを超える真の創造主……! 一生、下僕としてパンツ一丁で仕えさせていただきます!)」


「お前のパンツ一丁の忠誠心なんか一ミリも嬉しくないから! 早く服を着てくれ!」


俺が神様のおぞましい宣誓にツッコミを入れていると、背後からチャリンチャリンと景気のいい音が聞こえてきた。


「……ジン。バグのドロップ品、裏ルートの買取業社に全部売却した。……総額、国家予算の三千倍」


「お前はいつの間に宇宙の業者と取引してんだよ! その金で早く俺を日本に帰す方法を探せ!」


「……お兄さん、この残った赤いブロック(バグの死骸)、カニカマみたいで美味しい。……モグモグ」


「アリス! お前は絶対に地面に落ちてるウイルスの残骸を食うな! 腹壊して俺に看病させる気か!」


守銭奴と腹ペコの日常カオスは、次元の危機が去っても全く変わっていなかった。


俺の周囲には、狂信的な剣聖、莫大な裏金を抱えた盗賊、バグを食う大魔導士、そしてブリーフの爺さん。


「(もう嫌だ……。元の世界に帰って、平和な六畳間で一人でゲームしたい……)」


俺が激しい胃痛を覚えて畳に突っ伏した、その瞬間だった。

脳内に、いつも通りふざけきった無機質なシステム音声が鳴り響いた。


『ピロン♪』

『条件を満たしました。称号【全次元のIT土方(無給)】が【深淵のバグハンター(防虫)】に進化しました』


「どんな最悪な進化だよ! 俺はただ押し入れに引きこもって防虫剤投げただけだぞォォォッ!!」


俺の魂の叫びは、またしても誰の耳にも届くことなく、神界のボロアパートに空しく響き渡るのだった。

いつもお読みいただきありがとうございます!

押し入れに逃げ込んだだけなのに、なぜか「深淵のバグハンター」として宇宙を救ってしまったジン。

『タ〇スにゴ〇』が神界最強のアンチウイルスソフトとして活躍する、見事なピタゴラスイッチが決まりました!

「防虫剤強すぎw」「ブリーフ一丁の神様どうにかしろw」と笑っていただけましたら、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、ジンの胃痛が少しだけ和らぎます!

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