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勘違いだらけの異世界転生生活 〜スキル【勘違い】だけで何をしろと? 最弱なので助けてください〜  作者: 杜鵑
第4章:神様(クソ爺)にクレームを入れに行ったら、うっかり全神話の創造主(トップ)に祭り上げられた件
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第54話 ついにクソ爺を発見!〜キャバクラで豪遊中のところを現行犯逮捕〜

「……なんで俺、神界まできて借金取りならぬ『借金まみれの神々』から逃げてんだよォォォッ!!」


神域・第七階層。

本来なら清らかな神気が漂うはずの黄金のストリートを、俺は涙目で全力疾走していた。


事の発端は、数十分前。

ルナが神界トップの鍛冶神から全財産と権利書をカツアゲし、宇宙の経済を完全に牛耳ってしまったことだ。


「……ジン。神々からの融資依頼、現在三万件待ち。……利子百倍、審査はジンの仕事」


「ふざけんな! なんで俺が神様相手にア〇ムの窓口業務やらなきゃいけねえんだよ!」


俺たちの泊まる超高級ホテルの前は、もはや地獄絵図だった。

「どうか我が下界に融資を!」「おこぼれを!」と群がる神々が、ゾンビ映画さながらの勢いで押し寄せてきたのだ。


中には窓ガラスにへばりつき、「頼むゥ! 世界樹の維持費が払えないんだァ!」と血走った目で叫ぶ豊穣神までいる始末。

完全に世紀末だ。俺のHP『1』じゃ、あんな神の群れに揉まれた瞬間にチリとなって消滅する!


「……お兄さん、この虹色の金塊、美味しい。……チョコの味」


「バカ! それは金貨チョコじゃなくて本物の神気インゴットだろ! 腹の中がブラックホールか!」


アリスが国宝級のインゴットをむしゃむしゃと平らげ、ルナが札束でタワーを作っている隙を突くしかない。

俺は「ちょっとトイレ」という古典的な言い訳を残し、窓から裏路地へとダイブした。


とにかく追っ手の神々から隠れられる、薄暗くて治安の悪い場所を探さなければ。

息を切らして逃げ込んだ先は、神界の裏通り。


ネオンの看板がギラギラと輝く、どこからどう見ても『神域・歌舞〇町』としか思えない歓楽街だった。

怪しげな客引きの天使たちが、ピンク色のチラシを配り歩いている。


「はぁ、はぁ……ここなら、お堅い神様たちも追ってこないはず……」


俺は膝に手をつき、荒い息を吐く。

目の前には『神キャバ・ヴァル〇ラ〜今夜、あなたを昇天させます〜』という、色んな意味でアウトな看板が輝いていた。


「よし、とりあえずあの店に入って、ほとぼりが冷めるまで安い酒でも飲んでサボろ……」


俺が現実逃避の扉を開けようとした、まさにその時。

背後から、ガチャリと重厚な金属音が響いた。


「――流石です、ジン様」


振り返ると、そこには聖剣を抜き放ち、なぜか感極まって涙を流しているメリルが立っていた。


「め、メリル!? なんでこんな所に……じゃなくて、違うぞ! 俺は決してキャバクラに行こうとしたわけじゃ……!」


「ごまかさなくて結構です! 私には、貴方様の深遠なるお考えが痛いほど伝わっております!」


メリルはピンク色のネオン看板を、まるで邪悪な魔王の城でも見上げるかのような鋭い眼光で睨みつけた。


「我々が『欲に塗れた偽神どもの処理』などという些事に気を取られている隙に……。

貴方様はただ一人、すべての元凶たる『神の気配』を完全に追跡しておられたのですね……!」


「……は?」


「ええ、分かります! この卑猥で堕落したネオンの光……。

その最奥底にこそ、我々を異世界に突き落とした『諸悪の根源(クソ爺)』が潜んでいると!」


「いや、俺はただ信者の群れから逃げてサボりたかっただけで……」


「いざ、最終決戦の地へ! ジン様が切り拓いたこの『神の魔窟キャバクラ』!

私メリルが、一番槍を務めさせていただきますッ!!」


俺の言い訳など完全に無視し、メリルは聖剣から神々しいオーラを吹き上がらせた。

やめて! ただでさえ面倒なことになってるのに、これ以上事態をかき回さないでェェェ!!



「ちょっと待てメリル! 頼むからその物騒な剣をしまえ!」


俺は半泣きになりながら、神々しいオーラを放つ聖剣の柄にすがりついた。


「俺はただ、融資を求める神様のゾンビ軍団から隠れて、静かにサボりたかっただけなんだ! 諸悪の根源とかマジで関係ないから!」


必死の説得だった。

だが、俺の「安酒でサボりたい」という小市民的な本音は、メリルの狂信フィルターを通ると、とんでもない神託へと変換されてしまう。


「(……ッ! 欲に駆られた愚かな神々を『ゾンビ』と切り捨て、あえてこの俗悪な魔窟に身を隠すことで気配を絶つおつもりか!)」


メリルは感極まった表情で、美しい銀髪を震わせた。


「(すべては、最奥に潜む『絶対悪』の不意を打つため……! 神界の経済すら囮に使うマスターの深き御心、私のような未熟者には到底計り知れません!)」


「何も計るな! そのポンコツ翻訳機(脳内)を今すぐハンマーで叩き割れ!」


俺の悲痛なツッコミが神界の歓楽街に空しく響いた、その時だった。


「お、おいアンタら! うちの店の前でゴチャゴチャ騒ぐんじゃねえ! ここはあの創造主様も御用達の超高級店だぞ!」


ピンク色のネオンが輝く店の奥から、黒服を着た屈強なボーイが出てきた。

背中には四枚の羽が生えている。どう見ても戦闘特化の上級天使だ。


「ヤバい! 店員さんが出てきちゃったよ! 営業妨害で警察(神界防衛軍)呼ばれたら一貫の終わりだ!」


俺のHPは相変わらずの『1』だ。

こんな屈強な黒服天使にデコピンでもされたら、一瞬で三途の川をバタフライで泳ぐことになる。


「あ、あの! すいませんッ! うちの連れがちょっとテンション上がっちゃって!」


俺は0.1秒の速さで腰を90度に曲げ、完璧な『サラリーマン式・平謝りの構え』をとった。


「決して冷やかしとか、タダ飲みしようとか、そういう他意はないんです! だからどうか、通報だけは勘弁してくださいィィィ!」


俺は両手を高速で擦り合わせ、もみ手で必死に命乞いをした。

しかし、その低姿勢すぎる態度は、黒服天使の目には『あり得ない光景』として映っていた。


「(……な、なんだこの男は……!?)」


黒服天使は、俺の背後でルナが牛耳っている『神界経済の総資産データ(という名の異常なプレッシャー)』を幻視し、サングラスの奥の目を限界まで見開いた。


「(鍛冶神様を屈服させ、天界の全財産を握ったという、噂の『至高神』!? そ、その経済の支配者が、なぜ一介の黒服である私に頭を下げているのだ!?)」


俺の「平謝り」は、黒服天使にとって『宇宙崩壊のカウントダウン』に等しいプレッシャーだった。


「(ま、まさか……! あえてへりくだる事で、私の『傲慢さ』を試しているのか!?)」


黒服天使の額から、滝のような冷や汗が噴き出す。


「(ここで少しでも不敬な態度を取れば、私だけでなく、この歓楽街の資金源ごと完全に凍結サイレント・キルされるッ!)」


「ひ、ひィィィィィッ!!」


黒服天使は情けない悲鳴を上げると、俺の目の前で、アスファルトに頭がめり込むほどの『ジャンピング・スライディング土下座』をキメた。


「も、申し訳ございません至高神様ァァァッ!! 私のようなゴミ虫が、貴方様の御前で大声を出すなど、万死に値する愚行ッ!!」


「え? いや、だから俺が謝って……」


「どうか! どうかお命と、この店の口座だけはお見逃しを! 創造主(クソ爺)様なら、一番奥の『VIPルームきわみ』にて、指名料ナンバーワンの女神とドン〇リを空けておりますゆえェェェッ!!」


「……は?」


俺の動きが、ピタリと止まった。


「あのクソ爺……。俺をこんな理不尽な異世界に放り込んで、厄介事ばかり押し付けておいて……」


俺の奥底で、静かな、しかし確固たる『怒りの炎』が点火した。


「こんな所で、女神はべらせてキャバクラ通いしてんのか……?」


「……マスター。標的ターゲットの現在地、確認いたしました」


メリルが冷酷な笑みを浮かべ、俺の隣で聖剣を構え直す。


「行きましょう。マスターの安眠を妨げた愚かな偽神に、血の制裁(クレーム処理)を下す時です!」


「……ああ。今日という今日は、絶対に許さねえ」


俺は腰に差していた『銀河が瞬く木刀』をギリッと握りしめ、静かに、しかし凄まじい怒気を纏って、キャバクラの扉へと足を踏み出した。



「……ヤバい。怒りの勢いだけで来ちゃったけど、俺のHP『1』じゃん」


VIPルームへと続く黄金の廊下を歩きながら、俺の頭は急速に冷却されていた。


目の前には『VIP極』と書かれた、バカみたいに巨大な純金の扉。

その両脇には、筋骨隆々の熾天使セラフィムが阿吽の像のように立ちはだかっていた。


「(どう見てもラスボスの部屋じゃねえか! あんなマッチョ天使にデコピンされただけで俺の命の灯火消えるぞ!)」


俺は冷や汗をダラダラ流し、引き返そうと踵を返しかけた。

だが、背後には完全に殺る気満々のメリルが、聖剣を構えてピッタリと追従している。


「マスター。あの扉には、神界最高ランクの『絶対防壁』が幾重にも張られているようです」


メリルが真剣な顔で解説を始める。


「物理、魔法、概念、あらゆる攻撃を反射する無敵の結界……。並の神では指一本触れることすら叶わないでしょう」


「(マジかよ! じゃあ絶対無理じゃん! 帰ろう! 帰って寝ようぜメリル!)」


俺が心の中で全力の土下座撤退を決意し、Uターンしようと足を踏み出した、その瞬間。


ズルッ。


「あっ」


俺の足が、廊下にこぼれていた『高級ドン〇リ』の液溜まりを見事に踏み抜いた。


「うわぁぁぁぁっ!?」


ツルンと滑った俺の体は、フィギュアスケーターも顔負けの美しい放物線を描いて宙を舞う。

その拍子に、俺が腰に差していた『銀河が瞬く木刀』が鞘(ただの布袋)からすっぽ抜けた。


カラン、コロコロ……。


なんの変哲もない、修学旅行の土産物屋で売っていそうな木刀。

それが、純金の扉に向かって力なく転がっていく。


「(あーあ、ただでさえ武器がないのに、唯一の木刀まで落としちゃったよ……)」


俺が空中で絶望した、その直後だった。

木刀の先端が、扉の『絶対防壁』にコツン、と軽く触れた。


ピキッ……。


その瞬間、神界最高峰の無敵結界に、ガラスのような亀裂が走った。


「……え?」


パァァァンッッ!!


次の瞬間、結界は盛大な花火のように爆散した。

だが、奇跡のピタゴラスイッチはこれで終わらない。


砕け散った結界の魔力波が、木刀に刻印された『銀河(宇宙の質量)』のエネルギーと謎の化学反応を起こしたのだ。


「キューーーィィィン!!」


木刀から放たれた極太のレーザー光線が、廊下のクリスタル製シャンデリアに直撃。

それがプリズムの原理で数万本の乱反射ビームとなり、廊下中をディスコの如く照らし出した。


「「ぎゃあぁぁぁぁっ!?」」


阿吽の像のように立っていたマッチョ熾天使たちが、無差別に降り注ぐビームの直撃を受ける。

彼らは一瞬にして全身黒焦げになり、なぜか見事なアフロヘアーを爆誕させてバタッと倒れ伏した。


さらに、乱反射したビームの束が、純金の扉の蝶番ちょうつがいをピンポイントで焼き切り――。


ズドォォォォォンッ!!


重さ数トンはありそうな純金の扉が、凄まじい轟音を立てて内側へと倒れ込んだ。

その風圧で、VIPルーム内に飾られていた高級な壺や名画が、次々と粉砕されていく。


もうもうと立ち込める粉塵の中。

俺は床に尻餅をついたまま、ポカーンとそのドリフ的な大惨事を眺めていた。


「(……なんか、俺が転んだだけでラスボスへの道がフルオープンになったんだけど)」


すると、メリルが床に倒れ伏すアフロ天使たちを見下ろし、ブルブルと震え出した。


「お、お見事ですマスター……! まさか、一歩も動かず、武器を『落とす』という所作のみで、神界最高の防壁と近衛兵を沈めるとは……!」


「いや、俺はただ酒に滑って……」


「ええ、分かります! あえて自ら転倒することで、敵の反撃のベクトルを完全に逸らしつつ、必殺の連鎖を叩き込む『神域の受け身』!!」


「そんな柔道の技みたいなの使ってないから!」


メリルの狂信翻訳は留まるところを知らない。

だが、俺のツッコミは、粉塵の向こうから聞こえてきた『間の抜けた声』によって遮られた。


俺をこの理不尽な世界に突き落とした諸悪の根源。

神(クソ爺)が、そこにいた。



「……ん? なんじゃお主ら。ワシは今、ミカちゃんとフルーツ盛り合わせを食べさせ合いっこしてる最中なんじゃが」


粉塵が舞うVIPルームの中心で、神(クソ爺)は呑気に高級メロンをかじっていた。

だが、その視線が床にへたり込んでいる俺の顔を捉えた瞬間、ピタリと止まった。


「あ、あれ……? お主、どこかで見覚えが……」


クソ爺の顔面から、スゥッと血の気が引いていく。

そして、プルプルと震える指で俺を指差した。


「ひ、ひぃぃぃぃッ!? お、お主は、ワシが『ウ〇娘』のガチャを引きながら歩いてた時に、うっかり雷を落として殺してしまった高校生!?」


「自分から業務上過失致死を自白しやがったなこのクソ爺ィィィッ!!」


俺の怒りのボルテージが限界を突破した。

こいつの「ながらスマホ」のせいで、俺は理不尽な異世界で毎日死にかけながら胃薬を噛み砕くハメになっているのだ!


「よくも俺の平穏な日常を奪ってくれたな! 謝罪しろ! そして今すぐ俺を元の世界(実家のこたつ)に帰せ!」


俺は床から立ち上がり、クソ爺に向かって思いの丈をぶちまけた。

だが、俺の悲痛な叫びは、またしてもメリルたちの脳内で『壮大な報復宣言』に誤翻訳されていた。


「(……ッ! 創造主の罪を白日の下に晒し、自ら断罪を下すおつもりか!)」


メリルはボロボロと感動の涙を流し、聖剣を高く掲げた。


「(しかも『実家に帰せ(=この宇宙ごと消し去って初期化する)』という、創造主に対する究極の脅迫! これぞ絶対神の風格……!)」


「……お兄さん、この金色の扉、美味しい。……キャラメル味」


「バカ! VIPルームの純金の扉をかじるな! ただでさえ借金まみれなのに、これ以上弁償額を増やす気か!」


俺がアリスのブラックホール胃袋にツッコミを入れている横で、今度はルナがそろばんを弾き始めた。


「……ジン。創造主の首、裏社会での懸賞金は測定不能アンノウン。……殺ろう。私が解体する」


「お前は神様をマグロみたいに言うな! どんだけ金にガメついんだよ!」


俺たちのカオスなやり取りを見て、クソ爺はガチガチと歯の根を鳴らして震え上がっていた。

彼には、俺が『神界の防壁を木の棒一本で粉砕した、復讐に燃える破壊神』にしか見えていないのだ。


「(ば、化け物じゃ……! ワシの張った絶対防壁を、あんな土産物屋の木刀で破壊するとは……!)」


クソ爺は、俺が『ただ酒で滑って転んだだけ』とは夢にも思っていない。


「(しかも、このワシを前にして一切の隙がない……! 『ウ〇娘』のガチャで爆死した腹いせに雷を落としたことを、完全に恨んでおる!)」


「ひ、ひぃぃぃぃッ! 命だけは! 命と、この店のボトルキープだけはお助けをォォォッ!!」


神界の最高神たるクソ爺が、俺の足元にすがりつき、見事なジャンピング土下座をキメた。

ピンク色のネオンが輝くキャバクラの中で、神が俺の靴を舐める勢いで平謝りしている。


「(……違う。俺はただ、元の世界に帰って、平和にゲームして寝たいだけなのに……)」


なんで俺は、キャバクラのVIPルームで、宇宙の創造主から土下座されているのだろうか。

あまりのスケールの違いと理不尽さに、俺の胃壁がマッハで削れていく。


「(もう嫌だ……帰りたい……お母さぁぁぁん……!)」


俺が胃を抱えてうずくまった、その瞬間。

脳内に、いつも通りふざけきった無機質なシステム音声が鳴り響いた。


『ピロン♪』

『条件を満たしました。称号【神を狩る者】が【創造主のパパ活相手(恐怖)】に進化しました』


「どんな最悪な進化だよ! キャバクラで土下座させてるからって、変な解釈すんなポンコツシステムゥゥゥッ!!」


俺の魂のツッコミが、神界の歓楽街に空しく響き渡った。

いつもお読みいただきありがとうございます!

ついにすべての元凶であるクソ爺(創造主)との対面……! 果たしてジンは無事に元の世界(実家のこたつ)へ帰還することができるのでしょうか!?(※土下座されてますが)

少しでも「クソ爺ざまぁw」「ジン不憫すぎるw」と笑っていただけましたら、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、ジンの胃痛が少しだけ和らぎます!

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