第50話 温泉街の最奥にて 〜すべての元凶(神様)にカチコミに行ったら、向こうからジャンピング土下座された〜
「はぁ……はぁ……! ルナ、こっちで合ってんだろうな!?」
「……ジン、私を信じる。……私の『隠し財産レーダー(嗅覚)』が、この奥から神界の国家予算レベルの魔力反応を捉えてる」
俺、霧雨神は、ルナの案内を頼りに、カミガミ・リゾートの温泉街のメインストリートから大きく外れた、ひっそりとした山道を駆け上がっていた。
背後の温泉街(下界)からは、未だに凄まじい歓声と地響きが聞こえてくる。
俺が先ほどカラオケボックスで音痴なシャウトをしたせいで発芽してしまった『世界樹』を巡って、何万もの神々が狂喜乱舞し、メガホンを持ったルナの分身(ホログラム魔道具)と葉っぱ一枚の伐採権を巡るオークションを繰り広げているのだ。
俺はその未曾有のパニックに紛れ、仲間たちと共にカラオケボックスから強行突破(逃亡)してきたのである。
「……マスター。見事な『戦術的撤退』でした。狂信的な群衆に敢えて世界樹という『おしゃぶり』を与え、その隙に敵の本丸を突く……。マスターの兵法は、かの軍神すらも赤子のように手玉に取りますね」
俺の隣を並走するメリルが、またしても俺のただの夜逃げを『神算鬼謀の軍略』だと極大解釈し、愛剣を握りしめながらうっとりと頬を染めている。
「ちげーよ! あそこにいたら俺が変な宗教の教祖に祭り上げられるから逃げてきただけだ! あと、俺の背中から出てるこの光(ビッグバン後光)、どうやったら消えるんだよ!」
俺は走りながら、自分の着ているダサい浴衣(背中に『神』のプリント)から噴出し続けている超極太の黄金の光柱を鬱陶しそうに手で払った。
これのせいで、暗い山道でも俺の周囲だけが白昼のようにピカピカと輝いてしまっている。完全に歩く照明器具だ。
「……お兄さん、お風呂入るの? アリス、お風呂上がりのフルーツ牛乳、飲みたい」
アリスがヨダレを垂らしながら、俺のジャージ(浴衣の下に着ている)の裾を引っ張る。
「ああ、お風呂上がりには一番高いフルーツ牛乳を奢ってやるからな! 全部あいつ(クソ爺)のツケでな!」
俺はギリッと歯を食いしばった。
そもそも、俺がこんな高次元の温泉街で、隕石を打ち返したりブラックホールを塞いだり世界樹を生やしたりと、胃に穴が開くような理不尽な目にあっているのは、すべてあの『クソ爺(神様)』のせいなのだ。
奴が勝手に三界(天界・魔界・人間界)をくっつけ、さらに十五万人のヤバすぎるトップ連中を『俺のペット(扶養家族)』として押し付けてきやがったから、俺は実家のこたつから夜逃げする羽目になった。
「(今日こそ絶対に捕まえて、あいつの隠し財産から十五万匹のペットの飼育費(一生分)と、元のこたつ生活に戻るための慰謝料をむしり取ってやる……!)」
俺が強固な決意を胸に山道を登り切ると、そこには巨大なしめ縄が張られた、荘厳な白木の門がそびえ立っていた。
門の横には、純金でできた立て看板がデカデカと設置されている。
『これより先、神域・超絶大浴場。全次元の創造主専用エリアにつき、下級神および天使・悪魔の立ち入りを固く禁ず』
「……ジン。ここがビンゴ。……門の奥から、最高級のフルーツ牛乳と、ふざけた額の隠し財産の匂いがプンプンする」
ルナがルーペを目に当て、門の鍵穴をピッキングの要領でカチャカチャと弄り始めた。
わずか三秒後、「カチャッ」という軽い音と共に、創造主専用の絶対封印結界が(物理的に)あっさりと解除される。
「よし! 乗り込むぞお前ら! 慰安旅行という名のカチコミ(取り立て)の総仕上げだ!」
俺はルナが開けた門を思い切り蹴り開け、神域の最奥――『超絶大浴場』へと足を踏み入れた。
◇
そこは、言葉を失うほどの絶景だった。
雲海を見下ろす断崖絶壁に作られた、巨大なヒノキの露天風呂。その向こうには、黄金に輝く富士山(のような霊峰)がそびえ立ち、空には幾つもの銀河がオーロラのようにたなびいている。
そして。
その最高級の露天風呂のど真ん中で、頭に手ぬぐいを乗せ、気持ちよさそうに目を閉じながら『最高級のフルーツ牛乳(神話の果実ブレンド)』をチューチューとストローで啜っている、見覚えのある白髭の老人がいた。
俺の平穏なニート生活をぶち壊したすべての元凶。
全次元の創造主こと、『神様(クソ爺)』である。
「見つけたぞ、このクソ爺ィィィッ!!」
俺の怒声が、静寂に包まれた神域・超絶大浴場に響き渡った。
俺は温泉の縁に立ち、ダサい浴衣の背中から煌々と『超極太ビッグバン後光』を放ちながら、フルーツ牛乳を飲んでいる老人にビシッと指を突きつけた。
「てめぇぇ! よくも俺の平穏なニート生活をぶち壊して、十五万匹のペット(三界の軍勢)の世話を押し付けやがって! あいつらの一日のエサ代だけで、俺の口座が宇宙レベルで破産するんだぞ!」
俺はこれまで溜まりに溜まった鬱憤を、全次元の創造主(クソ爺)に向かって全力でぶちまけた。
だが、振り返ったクソ爺の反応は、俺が予想していた「おお、勇者(用務員)よ、よくぞここまで来た」というような偉そうなものでも、「なんじゃお主は?」という惚けたものでもなかった。
ポロッ。
クソ爺の手から、最高級のフルーツ牛乳の瓶が滑り落ち、温泉の湯船にチャポッと音を立てて沈んだ。
『ヒ、ヒィィィィィィィッ!?』
クソ爺は俺の顔と、背中から天を貫く黄金の光柱を交互に見比べた瞬間、まるで幽霊でも見たかのように顔面を蒼白にし、湯船の中でガタガタと激しく震えだしたのだ。
「(……ん? なんでこいつ、こんなに怯えてんだ?)」
俺は訝しげに眉をひそめた。
だが、クソ爺が怯えるのも無理はない。俺は気づいていなかったが、クソ爺の頭上に浮かんでいた半透明の『神界監視モニター(全次元対応)』には、つい先ほどまで温泉街の下界で起きていたパニックの一部始終が、しっかりと録画再生されていたのだ。
――モニターの映像①:娯楽施設にて。男が適当に卓球のラケットを素振りした風圧だけで、破壊神が投げた『終焉の流星』がバックスピンをかけて宇宙の彼方へ弾き返される光景。
――モニターの映像②:路地裏の射的屋にて。男が玩具のコルク銃を適当に撃ち、神々が束になっても防げない『次元崩壊のブラックホール』の中心核をピンポイントで塞いでしまう光景。
――モニターの映像③:カラオケボックスにて。男が音痴なシャウトを響かせた瞬間、神話時代から枯死していた『始まりの世界樹』が数秒で宇宙まで突き抜ける光景。
クソ爺は、温泉で優雅に寛ぎながら、その『規格外のバケモノ(ジン)』の所業をモニター越しに見て、度肝を抜かれていたのである。
『(ば、馬鹿な……! ワシが作ったこの宇宙のシステムを、物理法則ごとねじ伏せるあの恐るべき存在が、なぜワシの専用大浴場に!?)』
クソ爺は、温泉のお湯をバシャバシャと跳ね飛ばしながら、後ずさるように湯船の端まで逃げた。
『(しかも、あの背中から放たれている絶対的な神威……! ワシの全力のオーラを億倍にしても届かぬ、純粋な『創世のエネルギー』の奔流! ま、まさか、ワシが三界を適当にくっつけて遊んでいたせいで、ワシよりさらに上位次元にいる『真の至高神様』がお怒りになり、直接粛清に来られたのか!?)』
クソ爺の脳内では、ただ実家のこたつに帰りたいだけのフリーター(用務員)が、『全宇宙のバグを修正しに来た絶対的なシステム管理者(ガチの至高神)』へと完全に変換されていた。
「おい、聞いてんのかクソ爺! 俺はお前の遊びに付き合ってる暇はないんだ! 今すぐ俺を日本の四畳半に帰して、あの十五万匹のバケモノどもの飼育費を払え!」
俺が湯船に一歩近づきながら凄むと、クソ爺は「ヒッ!」と短い悲鳴を上げ、温泉の中で完全に硬直した。
『(し、飼育費……!? ああ、なんということじゃ! ワシが暇つぶしで創った天界や魔界の住人たちを、このお方は「ペット(下等生物)」と呼んでおられる! そして、彼らの管理責任(飼育費)をワシに問うておられるのだ!)』
クソ爺はガチガチと歯を鳴らしながら、俺の背後でスタンバイしている仲間たちにも視線を向けた。
「……おじいちゃん、そのフルーツ牛乳、美味しそう。アリスも飲みたい。全部飲みたい」
アリスが湯船に浮かぶ最高級フルーツ牛乳の瓶をロックオンし、ブラックホールのようなヨダレを垂らしている。
「……ジン。監視モニターのシステム、ハッキング完了した。……神界の防衛網のパスワード、全部『1234』だった。……これでいつでも、神界の銀行口座を凍結できる」
ルナがいつの間にかクソ爺の監視モニターの制御盤に謎のケーブルを繋ぎ、恐ろしいサイバーテロを実行している。
「……マスター。偽りの神が、自らの罪に怯えております。いかがなさいますか? 私がこの聖なる湯ごと、奴の首を刎ねましょうか?」
メリルが愛剣を抜き放ち、いつでも神殺し(ゴッドスレイヤー)を実行できる構えで、冷酷な微笑みを浮かべている。
『(あわわわわ……! 宇宙最強の暴食の化身に、神界の経済を瞬時に掌握する電子の悪魔、そして純度百パーセントの殺意を放つ神滅の騎士……! ダメじゃ、ワシ程度の創造主では、手も足も出ん!)』
クソ爺の目には、俺たち一行が「宇宙を終わらせに来た終末の使者」にしか見えなくなっていた。
◇
「おい、無視すんなって言ってんだろ! お前がすべての元凶なんだから、責任取って――」
俺が業を煮やして湯船の縁に足をかけ、クソ爺の胸ぐらでも掴んでやろうと身を乗り出した瞬間だった。
ザバァァァァァッ!!
「うおっ!?」
凄まじい水飛沫が上がり、俺は思わず顔を覆った。
次に目を開けた時、俺の視界には信じられない光景が広がっていた。
先ほどまでフルーツ牛乳を片手に優雅に寛いでいたはずの全次元の創造主(クソ爺)が、素っ裸のまま湯船の水面を猛スピードで滑走し、俺の足元(湯船の縁)にピタリと頭を擦り付ける『水上ジャンピング・スライディング土下座』をキメていたのだ。
『も、申し訳ありませんでしたァァァッ!!』
クソ爺の情けない絶叫が、絶景の露天風呂にこだまする。
『ワ、ワシが調子に乗って三界をくっつけたり、あの連中(天界・魔界のトップ)を貴方様に押し付けたりしたのが悪うございました! どうか、どうかこの宇宙を消滅させるのだけはお許しをォォォ!』
クソ爺は全裸でガタガタと震えながら、俺の履いている下駄に涙と鼻水を擦り付けている。
「……え?」
俺はポカンと口を開けた。
全次元を創り出したトップ・オブ・トップの神様が、ただのフリーター(用務員)である俺に向かって、全裸で全力の土下座をしているのだ。
「(いや、なんでこいつ俺にビビってんだ? 俺、ただ文句言いに来ただけなんだけど……)」
俺が困惑していると、クソ爺はさらに頭を深く下げた。
『わ、分かっております! 先ほどの温泉街での凄まじい奇跡(物理法則の破壊)の数々は、ワシのようなポンコツ管理者に対する『最後通告』なのですよね!? 「お前が仕事しないなら、俺が世界樹ごと宇宙を創り直すぞ」という無言のプレッシャー……! ひぃぃっ、ワシの命だけは!』
「違うわ! あれは全部偶然だ! 俺はただ、あの十五万匹のバケモノどものエサ代を払えって言いに来ただけだ!」
俺が声を荒らげると、横からルナがスッと進み出てきた。
その手には、先ほどハッキングした監視モニターの端末からプリントアウトした、巻物のように長い羊皮紙(請求書)が握られている。
「……ジン。話が早い。……このクソ爺(前・管理者)に、正式な請求書を突きつける」
ルナは無慈悲な目でクソ爺を見下ろし、羊皮紙をバサリと広げた。
「……十五万人の扶養家族の生涯エサ代および生活費。……理不尽な労働環境に対する精神的苦痛の慰謝料。……さらに、隕石の打ち返し代行、ブラックホールの修繕費、枯れた世界樹の育成コンサルティング料。……しめて、金貨五京枚。神界の国家予算、およそ一千年分」
「お前、いつの間にそんな天文学的なぼったくり請求書作ってたんだよ!」
俺がツッコミを入れるが、ルナは全く動じない。
「……現金一括。無理なら、神界の宝物庫の全権限と、この宇宙の所有権を譲渡する。……サインしないなら、神界の銀行システムに先ほど仕込んだウイルスを作動させ、全口座の残高をゼロにする」
『ご、五京枚……!? 国家予算一千年分……!?』
クソ爺は白目を剥いて、湯船の中でぶくぶくと泡を吹いた。
ただでさえ俺の「神威」にビビり散らしているところに、ルナの恐るべきサイバーテロと絶対返済不可能な借金がのしかかり、全次元の創造主のプライドと精神は完全に崩壊してしまったのだ。
「……マスター。素晴らしい『無血開城』ですね。一滴の血も流さず、圧倒的な威圧と経済封鎖によって、偽りの神から宇宙の王座を奪い取るとは。……私も剣を振るうまでもなく、マスターの覇道を見届けられて光栄です」
メリルが剣を鞘に納め、俺の背中(ただのダサい浴衣)に向かって深く一礼する。
「だから王座なんていらない! 俺は実家のこたつに帰れればそれでいいんだよ!」
俺が頭を抱えていると、湯船の方からチャプチャプという呑気な音が聞こえてきた。
「……お兄さん、お湯熱くて気持ちいい。……あ、お湯の中に、美味しいタマゴ(温泉卵)がいっぱい浮いてくる。食べる」
いつの間にかアリスが服(耐火性の魔王マント)を着たまま湯船に飛び込み、クソ爺が落としたフルーツ牛乳を回収しつつ、神域の温泉の効能で湧き出してきた『神気たっぷりの温泉卵』を次々と口に放り込んでいた。
「お前は他人の風呂で勝手に茹で卵食うな! しかも服のままで!」
俺は必死にアリスを湯船から引っ張り上げようとしながら、泡を吹いているクソ爺の肩を揺さぶった。
「おいクソ爺、しっかりしろ! とにかく元の世界に帰す方法と、あのペットどもの面倒を見る約束をしろ!」
俺が必死に揺さぶると、クソ爺は涙と鼻水まみれの顔を上げ、ガクガクと震えながら頷いた。
『わ、分かりました……! ワシの隠し財産(神話級の宝物庫)の鍵をお渡ししますゆえ、どうかお命と宇宙の消滅だけはご勘弁を……!』
◇
「よし、言質は取ったぞ!」
俺はガッツポーズをした。
クソ爺は涙目で何もない空間に手を突っ込み、『星雲が渦巻く鍵(神話級宝物庫のマスターキー)』を取り出して震える手で差し出した。
シュバッ!
ルナが目にも留まらぬ速さでその鍵を引ったくり、ヨダレを拭った。
「……ジン、これ本物。……神界の裏金、全額ゲット。これで帝国(ペットの十五万人分のエサ代)どころか、宇宙をまるごと買い取れる」
「だから宇宙は買い取らなくていい! エサ代だけ確保したら残りはちゃんと……いや、慰謝料としてちょっとだけ貰うか」
俺もついつい欲が出てしまったが、これで最大の懸案だった『十五万匹の化け物の飼育費問題』と『俺の口座破産問題』は完全に解決したのだ。
「よーし、お前ら! 目的は達成したぞ! クソ爺、さっさと俺たちを元の四畳半(こたつの中)に送り返せ!」
俺が晴れやかな顔で命じると、湯船で全裸土下座したまま縮こまっていたクソ爺が、もじもじと指を擦り合わせた。
『は、ははぁっ! 直ちに次元の扉を……と申し上げたいところなのですが。これほどの上位次元(神域の最奥)から、下界の特定の四畳半へ直通ゲートを開くには、少々エネルギーのチャージが必要でして……。およそ、半日ほどお待ちいただければ……』
「半日か。まあ、そのくらいならいいか。じゃあアリス、上がれ。とりあえず風呂から出て待機だ」
俺がアリスを湯船から引き上げようとした、その時だった。
ウゥゥゥゥーーーッ!!
ズギュゥゥゥゥンッッ!!
突如、神域・超絶大浴場の上空――いや、神界全体の空間そのものを震わせるような、けたたましい非常警報が鳴り響いた。
「な、なんだ!? また隕石か!?」
俺が身構えると、ルナがハッキングしたままになっていた監視モニターが、真っ赤な『EMERGENCY(次元崩壊警報)』の文字で埋め尽くされた。
『ヒィィィッ!? な、なんじゃこのデタラメな魔力反応の群れは!? 下界(帝国)と神界を隔てる【絶対次元断層】が、物理的な暴力によって外側から一斉にぶち破られようとしておるぞォォォ!?』
クソ爺がモニターを見て、先ほど以上の悲鳴を上げて湯船に潜り込んだ。
「物理的な暴力で次元をぶち破る……? おいルナ、これってまさか……」
嫌な予感がして振り返ると、ルナがモニターの解析結果を見て、スッと遠い目をした。
「……ジン。最悪の知らせ。……地上(帝国)でお留守番させてた、あの十五万人のペットたち。……一斉に次元の壁を噛み砕いて、こっちに猛突進してきてる」
「はああああああっ!?」
俺の絶叫が、絶景の露天風呂に虚しく響いた。
「……マスター! なんという素晴らしい忠誠心でしょう!」
メリルが感極まったように叫び、バキバキとひび割れ始めた天空を指差した。
「彼ら(三界のトップたち)は、先ほどのマスターの『創世の賛歌』と、空を貫く世界樹の誕生を下界から察知したのでしょう! 『パパ(至高神)が宇宙の危機と戦っている! 我らも助太刀せねば!』と、次元の壁を超えて馳せ参じてきたのです!」
「助太刀いらねええぇぇ! 頼むから大人しく留守番しててくれぇぇぇ!」
ピロリン♪
俺の悲鳴を完全スルーして、無慈悲なシステムログが視界に浮かび上がる。
【ステータス更新】
名前:霧雨神
職業:用務員(兼・全宇宙の支配者、十五万の災厄のパパ)
称号:
【創造主を屈服させた者】
(カチコミ一つで神界の全財産を巻き上げ、全裸土下座させた恐怖の借金取り)
【終末の軍団を呼ぶ声】
(温泉街での遊戯が下界にまで響き渡り、親を心配した十五万匹のペットが次元を破壊して神界に殺到中)
現在の状況:
クソ爺からエサ代をふんだくることには成功しましたが、あなたの奇跡(事故)に呼応した十五万人のペット(魔王や大天使たち)が「パパを助けるため」に神界へ侵攻を開始しました。あと数分で、この温泉街は未曾有の『次元間親子面談(物理)』の戦場と化します。
「……もう嫌だ。なんで俺が温泉でのんびりしようとしただけで、宇宙間戦争(身内の犯行)が勃発するんだよ……ッ!」
『あばばばば……! ワシの創った神界が、十五万の規格外バグキャラに蹂躙されるゥゥゥ!』
「……お兄さん、卵、あと五十個食べる。お塩ちょうだい」
「……ジン、ペットが到着する前に、神界のめぼしい国宝を全部リュックに詰める」
次元の壁にピキピキと巨大な亀裂が走り、十五万匹の禍々しい魔力(お父さんへの異常な愛)が漏れ出し始める中。
俺は崩れ落ちそうになる膝を必死に支えながら、ただひたすらに実家の四畳半の『こたつ』の温もりを思い描いて、涙を流すのだった。
いつもお読みいただきありがとうございます!ついに大台の第50話です!
すべての元凶であるクソ爺(神様)にカチコミをかけたら、これまでの異常な奇跡のせいで「真の至高神が粛清に来た」と勘違いされ、全裸でジャンピング土下座されてしまいました(笑)。
ルナの国家予算1000年分の請求書も見事に通り、ついにハッピーエンドかと思いきや……親を心配した15万人のペットたちが次元をぶち破って迎えに来てしまいました!
「クソ爺の全裸土下座草」「結局平和に終わらないジンくん不憫すぎる」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、大変励みになります!次回もよろしくお願いいたします!




