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勘違いだらけの異世界転生生活 〜スキル【勘違い】だけで何をしろと? 最弱なので助けてください〜  作者: 杜鵑
第4章:神様(クソ爺)にクレームを入れに行ったら、うっかり全神話の創造主(トップ)に祭り上げられた件
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第47話 温泉街の卓球大会 〜俺のスマッシュ(空振り)が隕石を打ち返す〜

「……ふぅ。とりあえず、供物(カツアゲした国宝)は宿の部屋に全部ぶち込んできたけど」


俺、霧雨神ジン・キリサメは、温泉街のメインストリートを抜け、宿である『天岩戸館』に併設された巨大な娯楽施設――「カミガミ・アミューズメント」へと足を踏み入れていた。


先ほどの散歩で、俺の背中の「歩くビッグバン(ダサい浴衣の後光)」を見た神々から、大量の神話級アーティファクトを押し付けられてしまったため、一度荷物を置きに戻ったのだ。


「……ジン、あれ全部売り払えば、ガレリア帝国どころか星ごと買収できる。……私、ついに宇宙の不動産王になる」


ルナが、手元の電卓を叩きながら悪びれもなく恐ろしい野望を口にしている。


「星なんか買ってどうすんだよ! エサ代(十五万匹分)と俺の帰りの旅費さえ稼げればそれでいいんだからな!」


俺は強欲すぎる盗賊(金庫番)をたしなめつつ、娯楽施設の中を見渡した。


そこは、日本の温泉旅館にあるようなゲームコーナーを、無駄に神々しいスケールで拡大したような空間だった。

純金でできたクレーンゲーム(景品は本物の星の欠片)や、雷神が太鼓を叩きまくっている音楽ゲームなどが並んでいる。


「おっ、あったあった。温泉といえばやっぱりコレだろ」


俺の目に留まったのは、フロアの中央に鎮座する、見慣れた緑色のテーブル。

まごうことなき『卓球台』である。


「よしお前ら、クソ爺(神様)探しで歩き回って疲れたし、軽く運動ピンポンでもしてリフレッシュしようぜ」


俺は卓球台の横にあったカゴから、ラケットとピンポン球を二つずつ取り出した。


「……マスター。その遊戯は、いかなる修練なのでしょうか?」


メリルが、俺の持っている木製のラケット(ゴム貼り)を真剣な目で見つめてきた。


「修練じゃないって。ただの遊びだよ。こうやって球を打ち合って、落としたら負けっていうゲーム。アリス、ちょっと向こうに立ってみてくれ」


「……お兄さん、この白い玉、食べられる? ……白玉団子?」


「食えないから! 口に入れるなよ!」


俺はヨダレを垂らすアリスを卓球台の反対側に立たせ、自分もラケットを構えた。


「行くぞー、そっれ!」


コーン。


俺が軽くピンポン球を打ち出すと、アリスは「……えい」とラケットの面を適当に合わせて打ち返してきた。


コン、カン、コン、カン。


HP1の俺と、食い気にしか興味のないアリスのラリーは、驚くほど平和で緩やかなものだった。

「あー、温泉卓球って感じだ。癒されるわ……」


だが。

俺がこの「超絶平和なピンポン」を楽しんでいたのは、開始からわずか数十秒だけだった。


ザワァァァッ……!


いつの間にか、俺たちが卓球をしている台の周囲に、凄まじい数のギャラリー(神々)が何重にも人垣を作っていたのだ。


『み、見ろ……! 至高神様が、「神器」を構えておられるぞ……!』

『あれは、ただの木片ではない……! あの平らな面で、宇宙のことわりそのものを弾き返すという『因果律の盾』か!?』

『なんと恐ろしい……! あの白い球体(ピンポン球)には、一つの銀河にも匹敵する超重力のエネルギーが圧縮されているに違いない!』


「(いや、ただのプラスチックの球とゴムラケットなんだけど!?)」


俺は内心で全力のツッコミを入れた。

どうやら、俺の背中から未だに噴き出し続けている『ビッグバン後光』のせいで、俺のやる事なす事すべてが「神話級の儀式」に見えてしまっているらしい。


『(……あの小娘アリスもただ者ではない。至高神様の放つ『超重力球』を、顔色一つ変えずに涼しい顔で打ち返している……!)』

『(なんという次元の攻防……! 我々が間近で見れば、衝撃波だけで魂が消滅するぞ!)』


神々は、時速十キロも出ていないフワフワのピンポン球のラリーを見ながら、冷や汗を滝のように流して戦慄していた。


「(やりづらっ! めちゃくちゃ見られてるじゃん!)」


俺は周囲の異様なプレッシャー(土下座して震える神々)に耐えきれず、適当にスマッシュを打って終わらせようとラケットを大きく振りかぶった。


その時だった。


『ウゥゥゥゥーーーッ!!』


突然、温泉街の空(娯楽施設のガラス張りの天井の向こう)に、世界の終わりを告げるような不吉なサイレンが鳴り響いた。


「な、なんだ!? 今度は何だ!?」


俺がラケットを振りかぶった姿勢のまま固まっていると、天井のガラス越しに、空から『燃え盛る巨大な岩塊』が、一直線にこの温泉街へ向かって落ちてくるのが見えた。



『あ、あれは……! 破壊神が機嫌を損ねた時にぶん投げてくるという『終焉の流星アポカリプス・メテオ』だァァァッ!』


娯楽施設のガラス天井を見上げた神々が、泡を吹いて次々とパニックに陥った。


『な、なぜこんな時に!? 我々のバカンス(温泉街)が、次元ごと消滅してしまうゥゥゥ!』

『逃げろ! いや、あのサイズの質量兵器、この高次元リゾートの結界でも防ぎきれんぞ!』


神々が右往左往する中、俺は卓球台の前でラケットを高く振りかぶった姿勢のまま、完全にフリーズしていた。


「(……えっ、隕石? 温泉街に隕石降ってくんの!? どんな治安だよ!)」


空から迫り来る直径数キロメートルはありそうな燃え盛る岩塊が、みるみるうちに視界を覆い尽くしていく。

熱波がガラス天井を突き抜け、娯楽施設内の温度が急上昇し始めた。


「……マスター。上空より、規格外の熱源ゴミが落下してきます。私が一刀両断に――」


メリルが冷静に愛剣の柄に手をかけたが、俺の耳にはその言葉は届いていなかった。


「(ヤ、ヤバいヤバいヤバい! 逃げなきゃ! でも足がすくんで動けない!)」


俺のHP1の貧弱な体は、極度の恐怖によって完全に硬直してしまっていた。

唯一動かせるのは、先ほどから「スマッシュを打つために高く振りかぶっていた右手」だけだ。


「ええいっ! とりあえず目の前のピンポン球だけでも打ってから逃げるッ!」


ヤケクソになった俺は、目の前にフワフワと浮いていたアリスからの返球に向かって、目をギュッとつむり、持っていた卓球のラケットを全力で振り下ろした。


ブンッ!


「あっ」


見事に空振った。

運動神経ゼロの俺が、目を閉じてスマッシュなど打てるはずがなかったのだ。ピンポン球は虚しく台の上をポンポンと跳ねて床に落ちていった。


だが。

俺が全力で空振りしたラケットの『スイング』は、俺の背中から噴き出し続けている『超極太ビッグバン後光』のエネルギーと、いつもの『赤白帽(物理法則無視)』の補正を完璧なタイミングで巻き込んでしまった。


ドゴォォォォォォォォンッッ!!!


俺のラケットから放たれた『ただの素振りの風圧』が、物理的な『黄金の衝撃波スマッシュ』となって天井のガラスを粉砕し、一直線に上空へと突き抜けていったのだ。


『……なっ!?』


パニックになっていた神々が、一斉に息を呑んだ。


俺の放った黄金の衝撃波は、温泉街を覆い尽くそうとしていた『終焉の流星』のど真ん中に激突。

そして、卓球のピンポン球を軽々と打ち返すように、その超質量の隕石を、はるか宇宙の彼方へと『逆回転バックスピン』をかけて弾き飛ばしてしまったのである。


キィィィィン……!


空の彼方で、弾き返された隕石が星のような瞬きとなって消えていく。


「…………え?」


俺は目を開け、自分の手にある木製のラケットと、ぽっかりと大穴が開いたガラス天井を見比べた。


「(なんか……俺の素振りの風圧で、隕石が飛んでいった……?)」


俺が呆然としていると、周囲を囲んでいた神々が、先ほど以上の戦慄と興奮で打ち震え始めた。


『み、見たか……! 至高神様が、破壊神の放った『終焉の流星』を、あのような小さな木片(神器)で……しかも、視線すら向けずに打ち返されたぞ!』


『(なんという圧倒的な腕力……いや、因果律の操作! 飛来する星すらも、あのお方にとっては「卓球のピンポン球」と同レベルの遊戯にすぎないというのか!)』


『おおおおおっ! 至高神様の『超次元スマッシュ』によって、我らのバカンスは守られたのだァァァ!』


ザザーーッ!


娯楽施設にいた何万もの神々が、一斉に俺に向かって最も深い土下座(五体投地)を決めた。

その光景は、もはや宗教の開祖が奇跡を起こした瞬間にしか見えない。


「(いや違う! 俺はただピンポン球を空振りしただけだ! 偶然だ!)」


俺の悲痛な心の声は、神々の熱狂的な歓声にかき消されていくのだった。



『通信が入ります! 第8銀河の破壊神様からです!』


パニックから一転し、熱狂の渦に包まれた娯楽施設の巨大モニターに、突如として『筋骨隆々で禍々しいオーラを纏った神(破壊神)』の姿が映し出された。


だが、その全宇宙を震え上がらせるはずの破壊神は、画面の向こうで信じられないほどの勢いで土下座(ジャンピング・スライディング土下座)を決めていた。


『す、すんませんッ! 寝起きで機嫌悪くて適当に投げたメテオが、まさか至高神様の卓球の邪魔をしてしまうとは……! しかも、絶妙なバックスピンで俺の寝室(神殿)にピンポイントで跳ね返ってくるなんて……! どうか、どうか宇宙ごと消し飛ばすのだけはご勘弁をォォォ!』


モニター越しに泣き叫ぶ破壊神の声が、娯楽施設中に響き渡る。


『(み、見ろ! あの泣く子も黙る破壊神が、至高神様の『超次元スマッシュ』の前に完全に心を折られているぞ!)』

『(我らが救世の至高神に、大宇宙の祝福を!)』

『ああ、あの神々しいフォロースルー(空振り)……! 一生の目に焼き付けましたぞ!』


周囲の神々が、俺の足元にワラワラと群がってきては、またしても国宝級のアイテム(今度は星の権利書とか)を山積みにし始めた。


「いや、だから違うって! 俺、いま普通に空振りしただけだから! ピンポン球あそこに落ちてるから!」


俺が必死に床に転がっている白い球を指差すが、神々の目には『至高神様がわざと手加減してくださった慈悲の証』としか映らないらしい。


「……お兄さん、すごい。大きなお肉(隕石)、飛んでっちゃった。アリス、食べたかったのに」


アリスがラケットを口にくわえながら、ポッカリ空いた天井の穴を残念そうに見上げている。


「あれ肉じゃないから! ただの岩だから!」


「……ジン。計算終わった」


ルナが、いつの間にか神々の代表(ゼウスっぽいおっさん等)を取り囲み、羊皮紙の契約書ぼったくりを突きつけていた。


「……この高次元温泉街の防衛費、および隕石打ち返し代行手数料。〆て金貨一千億枚。……支払いは一括のみ。払えないなら、その乗ってきた空飛ぶ絨毯とか神器で手を打つ」


「お前、神様相手にヤクザの取り立てみたいなことすんなァァァッ!」


俺はルナの襟首を掴んで引き剥がした。


「……マスター。素晴らしい『打ち込み』でした。飛来する星を遊戯の一環として処理するその余裕……私もまだまだ修練が足りません。次は、私が星を斬ってみせましょう」


メリルが感極まった顔で、愛剣を天井の穴に向けて構えている。


「お前も変な対抗燃やすな! 星を斬るとか物騒なこと言うな!」


ピロリン♪


そして、俺の悲痛なツッコミをあざ笑うかのように、システムログが鳴り響いた。


【ステータス更新】


名前:霧雨神ジン・キリサメ


職業:用務員(兼・大宇宙の卓球選手)


称号:


【流星のスマッシャー】

(ただの素振りで終焉の隕石を宇宙の彼方へ打ち返した、次元最強の卓球王の証)


【温泉街の絶対的守護神】

(娯楽施設で遊んでいただけで、全神話の神々から防衛費をカツアゲできる恐怖の存在)


現在の状況:

卓球で空振りした風圧が隕石を粉砕し、温泉街の神々からの信仰心トラウマがカンストしました。これ以上この娯楽施設にいると、ボウリングやダーツで宇宙が滅びる可能性があります。


「……ボウリングで宇宙が滅びるってなんだよ! もう絶対ゲームなんかやらねぇ!」


俺は卓球のラケットをそっと台の上に置き、神々の土下座ロード(モーゼの十戒再び)を抜け出して、娯楽施設から逃げ出した。

クソ爺(神様)を見つけてこの理不尽な事態を終わらせるまで、俺の胃痛が治まることはなさそうだ。

いつもお読みいただきありがとうございます!

ただ温泉卓球を楽しもうとしただけなのに、空振りした風圧で隕石を打ち返し、破壊神まで土下座させてしまったジンくんです(笑)。

ルナの防衛費(金貨一千億枚)の請求と、アリスの「隕石=肉」というブレない思考回路が冴え渡っていますね!

「卓球で宇宙を救うな!」「破壊神のジャンピング土下座草」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、大変励みになります!次回もよろしくお願いいたします!

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