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勘違いだらけの異世界転生生活 〜スキル【勘違い】だけで何をしろと? 最弱なので助けてください〜  作者: 杜鵑
第4章:神様(クソ爺)にクレームを入れに行ったら、うっかり全神話の創造主(トップ)に祭り上げられた件
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第46話 温泉街「カミガミ・リゾート」に到着 〜俺の浴衣姿が神威の顕現と勘違いされた〜

「……ごちそうさまでした。次元怪獣の霜降りカルビ、とっても美味しかった」


「ゲップ……。もう当分、肉は見たくない……」


俺、霧雨神ジン・キリサメは、銀河特急の豪華な座席で、ぽっこりと膨らんだお腹をさすりながらぐったりとしていた。


先ほどメリルが宇宙空間で捌いてくれた『次元怪獣ギャラクシー・リヴァイアサン』は、見た目のグロテスクさに反して、口の中でとろける最高級の霜降り肉だった。

アリスのブラックホールのような胃袋に付き合わされ、俺も致死量の高級焼肉(弁当)を平らげてしまったのだ。


『――プァァァァァァッ! 間もなく終点、カミガミ・リゾート。高次元温泉街に到着いたします』


車内アナウンスと共に、窓の外の星空(宇宙空間)がぐにゃりと歪み、巨大な光のトンネルを抜けた。


「おお……着いたのか」


俺たちがデッキに出て列車を降りると、そこには目を疑うような光景が広がっていた。


巨大な朱塗りの『鳥居』が連なる駅のホーム。

その向こうには、湯煙を上げる純和風の温泉宿と、空を飛ぶサイバーパンクなネオンサインが入り混じった、超常的な『異次元和風リゾート』の街並みが広がっている。


道ゆく人々(?)も、頭に後光が差している仙人や、空を飛ぶ絨毯に乗った精霊、あきらかに別のファンタジー世界から来たような勇者など、カオス極まりない。


「すげえ……。本当に神様の隠居地って感じだな」


俺は感心しながら、クソ爺(神様)の招待状に書かれていた指定の宿へと向かった。

宿の名前は超高級旅館『天岩戸館あまのいわとかん』。


「いらっしゃいませ。創造神(クソ爺)様からのツケ……いえ、ご招待状ですね。最上階のスイートルームへご案内いたします」


狐の耳を生やした美人な仲居さんに案内され、俺たちは無駄にだだっ広い畳の部屋(なぜかちゃぶ台と最新型テレビがある)にたどり着いた。


「よし! とりあえずクソ爺を探してシメる前に、ひとっ風呂浴びるぞ! ……おっ、浴衣があるじゃん」


俺はクローゼット(のような謎の空間)から、宿が用意してくれた『浴衣』を引っ張り出した。

ペラペラの白い綿生地に、紺色でデカデカと『神』という筆文字がプリントされている。観光地のお土産屋で売っていそうな、絶妙にダサいデザインだ。


「まあ、旅館の浴衣なんてこんなもんだろ。サイズもピッタリだし」


俺はジャージを脱ぎ、そのダサい浴衣をパサリと羽織って帯を締めた。

温泉街に来た!というテンションのせいで、俺はまったく気づいていなかった。


この温泉街が『高次元』の存在たちの集う場所であり、宿に備え付けられている備品が『ただの布切れ』であるはずがないということに。


「……ッ!? マ、マスター!?」


俺が浴衣姿で振り返った瞬間。

部屋の隅でお茶を啜っていたメリルが、愛剣を落として目を見開いた。


「どうした? やっぱり背中の『神』って字、ダサすぎたか?」


俺が苦笑いすると、メリルは顔面を蒼白にして、ガタガタと震えながらその場に平伏した。


「ダ、ダサいなどと、滅相もない……! なんという……なんという恐るべき『神威の顕現』……!」


「……え?」


「……ジン。目が潰れる。……直視できない」


ルナまでもが、サングラス(盗品)を二重にかけて、部屋の隅で丸まっている。

アリスに至っては「……お兄さん、ピカピカ。美味しそう」と、謎の拝みポーズでヨダレを垂らしていた。


「な、なんだよお前ら。俺がどうなってるって言うんだよ」


俺は訝しげに、部屋の隅にある巨大な姿見(鏡)の前に立った。

そして、そこに映る自分の姿を見て、思わず「ヒッ」と息を呑んだ。


鏡の中の俺(ペラペラの浴衣姿)の背後から。

宇宙誕生ビッグバンを思わせるような、目も眩む『超極太の黄金のオーラ(後光)』が、物理的な光の柱となって部屋の天井を突き抜けていたのだ。



「……うわっ、まぶしっ! なんだこの後光!?」


俺は鏡の前で、自分の背中から噴き出している黄金の光の柱を手で払おうとしたが、物理的な光の奔流は一向に収まる気配がない。


「(旅館の備品に、こんな超高出力のLED照明を仕込むなよ……。どんだけ電気代かけてんだ)」


俺はこの光が、神域の素材で作られた「神衣(ただの浴衣)」が俺の潜在能力(全知全能の神の力)に過剰反応して引き出した『本気マジの神威』だとは露知らず、単なる演出過剰なアトラクションだと思い込んでいた。


「まあいいや。ちょっと派手だけど、温泉街を歩けばクソ爺も見つかるだろ」


俺は光の柱を引きずったまま、下駄を履いて部屋を出ようとした。


「ひぃっ!? マ、マスター! そのお姿で外へ出られるのですか!?」

「……ジン。歩く核弾頭。……私は他人のフリして10メートル後ろを歩く」


メリルとルナがガクブルで止めるが、俺は構わず宿の玄関を出た。

アリスだけが「お兄さん、キラキラ。虫集まりそう」と呑気に着いてくる。


カラン、コロン。


俺が下駄の音を響かせて、温泉街のメインストリートに足を踏み出した、その瞬間だった。


ザワァァァッ……!


それまで賑やかだった温泉街の空気が、一瞬で凍りついた。


通りを歩いていたのは、様々な神話の神々や、伝説の英霊、高次元の精霊たち。彼らは皆、リラックスした浴衣姿で湯巡りを楽しんでいたはずだった。


だが、俺の姿――正確には、俺の背中から天を突き抜ける『超極太ビッグバン後光』と、背中にデカデカと書かれた『神(筆文字)』のプリントを見た瞬間、彼らの顔色が一斉に変わった。


『な……なんだ、あの凄まじい神気は……!?』


道端で焼き鳥(フェニックスの串焼き)を食べていた、筋骨隆々の雷神ゼウスっぽいおっさんが、泡を吹いてひっくり返った。


『(あのような高密度の神威、見たことがない……! まさか、創造主クラスの至高神が、お忍びで視察に来られたというのか!?)』


『や、やばいぞ! 俺たち、昼間っから酒飲んでダラけてたのがバレたら、神界から追放されるんじゃ……!』


通りの向こうから歩いてきた、高位の天使や悪魔の団体旅行客が、俺の姿を見るなり蜘蛛の子を散らすように路地裏へ逃げ込んでいく。


「(……ん? なんか、みんな俺のこと避けてないか?)」


俺は首を傾げた。

道ゆく人々(人外)が、俺と目が合った瞬間に「ヒィッ!」と小さく悲鳴を上げ、モーゼの十戒のように道の両端にサァァァッと分かれて平伏していくのだ。


「(やっぱり、この『神』ってプリントの浴衣、ダサすぎたのかな……。観光客丸出しで恥ずかしい……)」


俺は少し顔を赤らめ、そそくさとその場を離れようと早足になった。

だが、その「恥ずかしがって顔を伏せ、早足で歩く」という行動が、周囲の神々には最悪の形で解釈される。


『(見ろ……! 至高神が、不快そうに顔をしかめておられる!)』

『(我々の堕落したバカンス姿を見て、お怒りなのだ! 「顔も見たくない」とばかりに足早に過ぎ去ろうとしている!)』

『(し、粛清だ! この温泉街ごと、我々は「大洪水リセット」で流されるぞォォォッ!)』


カラン、コロン。


俺がただ温泉饅頭屋を探して歩いているだけで、その一歩ごとに、温泉街の神々が次々と恐怖で卒倒し、物理的な「死屍累々(気絶)」の山が築かれていくのだった。



「……お、あったあった。温泉饅頭屋だ」


俺は、道ゆく神々がなぜか土下座で道を空けてくれる(モーゼの十戒状態)のを不思議に思いながらも、湯気を上げている一軒の屋台に辿り着いた。


屋台の暖簾には『大黒堂』と書かれており、中では恰幅のいい、打ち出の小槌を持った大黒天っぽいおっさんが、ガクガクと震えながら饅頭を蒸していた。


「すいませーん、饅頭みっつください」


俺が声を掛けると、大黒天っぽいおっさんは「ヒィッ!?」と短い悲鳴を上げ、持っていた小槌を放り投げて土下座した。


『は、ははぁっ! し、至高神様! わ、私めのような下級神の店に、どのようなご用件で……!?』


「(ええ……。この温泉街の人たち、接客態度が時代劇みたいだな。コンセプトリゾートなのかな?)」


俺は苦笑いしながら、ジャージのポケット(浴衣の下に着ている)から、ルナに渡されていたお小遣いの銅貨を取り出そうとした。


「あの、お会計……っと」


その時だった。俺の『不運スキル』が、絶妙なタイミングで発動した。


ツルッ。


「あっ」


俺の手から滑り落ちた一枚の薄汚れた銅貨が、屋台のカウンターにぶつかり、カーン!と軽快な音を立てて跳ね返った。

そして、その銅貨は放物線を描き、屋台の奥――大黒天が隠すように置いていた『禍々しい黒い壺』の中に、スコンッと見事なホールインワンを決めたのだ。


「あ、やべっ。すいません、小銭落としちゃって……」


俺が慌てて謝ろうとした、次の瞬間。


ピキッ……パリンッ!!


銅貨が飛び込んだ『禍々しい黒い壺』が、まばゆい浄化の光を放ちながら粉々に砕け散った。

中から「ギャァァァァッ!」という、何万もの怨霊が合わさったような断末魔が響き渡り、一瞬にして光の粒子となって消滅したのだ。


「え?」


俺はポカンと口を開けた。

ただの銅貨を落としただけなのに、なんか壺が爆発して、変な声が聞こえたぞ?


だが、目の前で土下座していた大黒天は、顔面を蒼白にして震え上がっていた。


『ば、馬鹿な……! あの壺は、我ら福の神が数千年かけて集めた「人々の厄念(超ド級の呪い)」を封印していた『厄災の壺』……!』


大黒天が、信じられないものを見る目で俺(と、背中のビッグバン後光)を見上げる。


『神々の総力を結集しても浄化しきれず、ただ封印しておくしかなかったあの特級呪物を……た、たった一枚の「銅貨」を投げ入れただけで、完全に浄化(消滅)させただと!?』


「いや、ただ手が滑って小銭落としただけなんだけど……。ごめん、壺代弁償するよ?」


俺が申し訳なさそうに言うと、大黒天は「ひぃぃぃっ!」とさらに深く額を地面に擦り付けた。


『と、とんでもございません! 至高神様は、我々が処理に困っていた厄災を、あえて「お布施(銅貨一枚)」という形でお救いくださったのですね!』


『(……なんという圧倒的な神威、そして慈悲深さ! 我々の怠慢を無言で叱責しつつ、自らの手で穢れを祓ってくださるとは!)』


周囲で様子を窺っていた他の神々も、壺の消滅(浄化)を見て一斉にざわめき始めた。


『見たか……! ただの銅貨一枚で、神話級の呪いを打ち砕いたぞ……!』

『あれぞ真の「神技」……! やはりあのお方は、我々など足元にも及ばない超絶次元の存在だ!』


「(……ん? なんかめっちゃ褒められてる? 弁償しなくていいのかな?)」


俺は首を傾げながら、大黒天から震える手で差し出された大量の温泉饅頭(なぜか木箱入りで最高級品のやつ)を受け取った。


「あの、これお釣り……というか、多すぎない?」


『め、滅相もございません! それは至高神様への「お供え物」でございます! どうか、どうかお納めください!』


大黒天が涙目で懇願してくるので、俺はありがたく饅頭の木箱を受け取ることにした。


「……マスター。見事な『厄祓い』でした。銅貨一枚で神々の業を清めるとは、やはりマスターの御心は宇宙よりも広いですね」


背後から追いついてきたメリルが、またしても俺の不運(小銭落とし)を極大解釈してうっとりと頷いている。


「だからただ落としただけだってば! ……まあいいや、アリス、饅頭食うか?」


「……お兄さん、すごい。マジック。饅頭、全部食べる」


アリスがヨダレを拭きながら木箱に群がってくる。


俺は温泉街の神々から「生きる伝説」を見るような目で拝まれながら、饅頭を片手にクソ爺探しの旅を再開した。

俺のダサい浴衣姿(歩くビッグバン)は、すでにこの温泉街で『絶対的な畏怖の象徴』として語り継がれようとしていた。



『もぐもぐ……うん、美味い。ただの温泉饅頭だけど、なんか寿命が千年くらい延びそうな味がする』


俺はアリスと一緒に、大黒天っぽいおっさんから貰った最高級の温泉饅頭を頬張りながら、温泉街のメインストリートを練り歩いていた。


だが、その背後では、とんでもない事態が進行していた。


『み、見ろ! 至高神様が、大黒天の供物(饅頭)を御自ら召し上がられたぞ!』

『我々も続け! 少しでも至高神様のご機嫌を損ねれば、この次元ごと消し飛ばされる!』

『おおお! どうか我らが北欧神話の「黄金の林檎」も!』

『エジプト神話より「太陽の船(の模型)」を!』

『我らが天界の「不老不死の霊薬」をどうぞォォォ!』


道端で土下座していた神々が、パニックを起こして次々と俺の足元に「神話級の国宝(お供え物)」を積み上げ始めたのだ。


「え? ちょっ、なんだこれ。試供品? 無料配布か?」


俺が戸惑っていると、背後からルナが信じられないスピードで供物を回収し、どこからか調達した巨大なリヤカーに積み込んでいく。


「……ジン。歩いてるだけで、神々の国宝がタダで手に入る。……このリヤカーの中身だけで、帝国が百個買える」


ルナはヨダレを拭きながら、猛烈な勢いで電卓を叩いている。


「いや、貰いすぎだろ! 後で高額な請求書ぼったくりが来るパターンじゃないのかこれ!?」


俺がビビって周囲を見渡すが、神々は皆「どうかお納めください!」と涙を流して地面に額を擦り付けているだけだ。


「……マスター。神々が自らの矮小さを恥じ、マスターの圧倒的な威光(背中のダサいプリント)に平伏しているのです。すべて、マスターの徳の高さが為せる業ですね」


メリルが腕を組み、我が意を得たりと頷いている。


「徳の高さっていうか、これ絶対『変な宗教の教祖』だと思われて怯えられてるだけだろ!」


俺は自分の背中から天を貫く『超極太ビッグバン後光』を恨めしく見上げた。


ピロリン♪


視界の端で、いつものシステムログが空気を読まずに浮かび上がる。


【ステータス更新】


名前:霧雨神ジン・キリサメ


職業:用務員(兼・至高神のコスプレ)


称号:


【歩くビッグバン】

(ただの旅館の浴衣を着ただけで、宇宙創世レベルの神威を垂れ流す男)


【神々のカツアゲ犯】

(温泉街を散歩するだけで、全神話の最高神たちから国宝を巻き上げた恐怖の象徴)


現在の状況:

ダサい浴衣姿で温泉街の神々を完全服従トラウマさせました。供物(国宝)が無限に増え続けていますが、ジンの目的はあくまで「クソ爺へのクレーム」です。


「……もう帰りたい。温泉入る前に胃に穴が開きそう」


俺は重い溜め息を吐きながら、両手いっぱいの饅頭と、後ろをゾロゾロと付いてくる土下座の列(神々)を引き連れて、クソ爺探しの旅を続けるのだった。

いつもお読みいただきありがとうございます!

旅館のダサい浴衣を着て散歩に出ただけなのに、「歩くビッグバン」と化してしまったジンくんです(笑)。

ただ小銭を落としただけで神話級の呪いを浄化し、神々から「黄金の林檎」や「不老不死の霊薬」までカツアゲしてしまいました!ルナのリヤカーがパンパンです!

「神様たちのリアクション最高!」「ルナの回収速度がプロ!」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、大変励みになります!次回もよろしくお願いいたします!

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