第一章 悪役女中?? -1-
初投稿になります。お手柔らかに。
幕末とか言いながら歴史うろ覚えなので、小説に都合よく行かせていただきます
文久三年。
つまり1863年の京都に私は暮らしている。
正確に言えばそれと酷似した世界。パラレルワールドのような世界と言えばいいのだろうか?
まぁ、そんなとこに暮らしている。
何故そんなことがわかるのかと言われれば、私に前世の記憶があるからだ。
けして頭がイっちゃってる人間ではない。私自身も驚いているが事実なんです信じてください。
で、その前世の記憶というのが現代日本で暮らす私の記憶。
もちろん過去に生まれ変わるなんてないだろうから、きっと違う世界なのだろうとなんとなく思った。
というかこの世界はどこかで見たような気がしていたのだ。前世の記憶の中で…。
そして思い出したのが衝撃の事実!!!!
そう…
この世界は私が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界だったのです!!!
幕末の志士達と様々な出来事を解決しながら、時には甘く時には危険な恋愛ができるこのゲームは
『幕末恋奇譚~駆けよ乙女~』
というタイトルだった。
内容通り幕末が舞台なのでもちろん世界観というのは江戸末期。昔もいいとこである。
国内での船の行き交いが史実の日本よりも盛んであり、遠い土地にも少しは行きやすいというのが違ったところだろうか?
私にとっては実際に生きている現実の世界だけど、ゲーム要素というか……つまり本当の日本のこの時代とは違ったところが時々みられるのはやはりゲームっぽい補正なのかなーっとは思います。
私は元々幼い頃に前世の記憶を思い出していたのだが、この世界がまさか乙女ゲームの世界だなんてこれっぽっちも思っていませんでした。
そして気づいたのが二年前、私が十六歳の頃です。
ここ壬生村の小屋のように小さな家に父と住んでいたのですが、父は私が九歳の時に亡くなり、生活費に困った私に近くに住む八木家の方々が女中として働かないかと親切に声をかけてくれました。大きな家を有する八木家に女中として働けるのはとてもいい話だったんですけど訳あって私は旅に出ることにしたので、もし戻ってきた時に人手が足りないようでしたら是非女中として雇ってくださいと約束し、ある場所を目指して旅に出ました。
この時から八木家の方々に対してどこかでみたような気がしていた。
そして七年後、戻ってきて八木家を訪ねた私は八木家の旦那様とその奥方の顔を見てはっきりと思い出したのです。
あっこれもしかして乙女ゲームと同じ世界か?もしくは酷似した世界か?…と
なんでもこの八木夫婦が暮らす八木邸は史実と同じくこの世界でも新撰組の初代屯所となる場所だ。
なので攻略対象の新撰組隊士の他によく目にするご夫婦の顔を改めて見て思い出しのだ。
ちなみに攻略対象である新撰組の誰か1人でも攻略すると、倒幕派の面々…まぁ長州藩とか薩摩土佐あたりかな?その倒幕派の面々も攻略可能になるのがこのゲームの特徴である。
………
…………そんなことはどうでもいいのだ。
問題は私の役どころ。
普通はさ、乙女ゲームの世界に転生するなんてヒャッホーって思うじゃないですか。
イケメンやったー。眼福眼福ってさー。
もしかしてヒロイン?逆ハーレムヒャッハー!
とかさ…
しかし私は喜べなかった。
そうそう、もうお分かりでしょう?
私は主人公のライバルキャラ。
悪役令嬢ならぬ悪役女中に生まれ変わっていたのです。
はいはいテンプレテンプレ、よくあるよくある。
こっちは冗談じゃないけどな!!!!
前世の記憶の中にネット小説でこんな話をいくつも読んだ記憶ある。
ヨーロッパ風かつファンタジーな作品が多めであったが主人公の悪役令嬢は間違いなく厄介ごとに巻き込まれるじゃないか!
しかもヒロインがゲスい作品が多く、この世界に味方が少ない私はざまぁ返しできる自信もあまりない。
ヒロインをいじめるのは、居場所がなくなると思ってしまったのと、美形に囲まれチヤホヤされるのに腹が立ったとかでいじめていたはず。
たとえいじめなくても今時のヒロインは悪役令嬢を陥れようとしてくるらしいし。
これなんて死亡フラグだよ…。
……はぁ。
申し遅れました。悪役女中の
凪雲 薫
と申します。
以後お見知りおきを。
とりあえず私の目標は生き残ることかなー…っと
まだやばいヒロインが来るって決まった訳ではないし、八木邸の女中として淡々と仕事をこなしていくことを誓います。
だから神様仏様。どうか私に面倒ごとを押し付けないでください。お願いします。
あれ…これもしかしてフラグ?
幕末の悪役令嬢系を書きたかったのだが…。
主人公が旅に出ていた七年間何をしていたかは後々明らかになります。