魔法ランキング戦三日目4
ダスハートとの共闘を終え、三時間目。私とハティはフィールドに出ていた。三時間目の授業は魔闘技のため、体操服に着替えている。
「あー、お前ら。静かにしろ」
体操服に着替えたミオンロート先生がガヤガヤと騒がしい生徒達に注意を出す。騒がしかった生徒達は、ミオンロート先生の一言で静かになった。
「今日はこれまでやった基礎を含めて模擬戦をしたいと思う。それぞれパーティを組んで戦ってもらう。ここの魔術障壁のおかげでどんな攻撃も怪我にはならないから安心しろ!それから、フリージアは私とな」
あの時の消化不良を消化させたいのかしら。まあ、私も同じ腹積もりだからいいけれど。
「じゃあ始め!」
ワイワイと生徒達がペアを組み始める中、私は加速魔法陣で一気に加速し、ミオンロート先生に迫る。
「はっ!」
鋭い気迫と共に硬化魔法陣で硬化させた拳をミオンロートに打ち出す。
「っと」
が、同じく加速したミオンロート先生によっていなされた。
へぇ、加速魔法陣、使えたんだ。
「いきなりはないだろう、いきなりは」
「そうじゃないと先手が取れないじゃないですか」
ミオンロート先生のから距離をとったあと、目を合わせて会話する。お互いに手が出せない中、どっちが先に動くかしらね。
「めんどくさい状況になったね。まあいいさ」
ポツリと何かを呟いたミオンロート先生は、加速魔法陣で突っ込んでくる。かかった。
「お?」
そのまま突っ込んでくると思われたけど、私の〈ウィンド・セイレーン〉によって軌道を変えられ、フィールドを転がった。
「天より降りし幾筋の、雷鳴轟き降り注げ。我に仇なす敵を塵と化さん。〈鳴神〉」
起き上がろうとするミオンロート先生に、数多の極光が降り注ぐ。周りから鬼畜だとか最悪だとか聞こえるけれど、無視無視。
「業火よ渦巻き槍となり、貫き穿ち穴を開け、我に仇なす敵を塵と化さん。〈イグニス・ハート〉」
そこへ畳み掛けるように〈イグニス・ハート〉を放つ。業火の槍はフィールドに突き刺さり、火柱を上げた。
「畳み掛けるじゃないか、フリージア」
煙の中からはあれだけ畳み掛けても無傷なミオンロート先生が現れた。いくら手加減してたとはいえ、やっぱりこの先生は化け物ね。
「魔闘技では使うつもりはなかったんだけどねぇ。仕方がない」
煙の中から現れたミオンロート先生は、首をこきこきと鳴らしながらため息をついた。なにか隠し球があるのね。なら、私も隠し球を見せましょうか。
「〈闇衣〉」
「〈雷電〉」
私とミオンロート先生は同時にオリジナル魔法を発動させた。黒い靄がミオンロート先生を覆い、青い雷が私に纏わる。
「準備は整ったようだね」
「はい」
好戦的な笑みを浮かべたミオンロート先生の問いに、私は頷く。ちらりとハティを見ると、キラキラと目を輝かせてこちらを見ていた。
「〈硬化系統魔法陣〉」
恐らくあの衣は硬い。生身の拳じゃ破れないほどに。だから、体を強化する。硬化系統魔法陣は物体の強度を飛躍的に高める魔法。これがあればあの衣を殴れるはず。
「っ!?」
悠然と構えていたミオンロート先生から驚愕の声が上がる。数メートル離れたところにいた私が、もうすでにミオンロート先生に肉迫していた。その速度はまさに雷の速度。ミオンロート先生は反応できていない。
「はっ!」
鋭い気迫と共に突き出した拳が、ミオンロート先生の衣とぶつかり合い、火花と衝撃波を撒き散らす。
「たぁっ!」
火花と衝撃波が止む前に、また引いてある拳を突き出す。ガゴンッという重い音と共にミオンロート先生が吹き飛んで行った。
「ふっ!」
「くっ」
飛び上がり、魔術障壁にミオンロート先生がぶつかる前に踵落としでミオンロートを地面に叩きつける。
反撃を食らう前に私はミオンロート先生から距離をとった。
「やるね。これを発動させてからここまでコテンパンにやられたのはお前が初めてだよ」
ゆっくりと起き上がったミオンロート先生は、自身の衣を見ながらそういった。衣は、幾筋のひびが入っていた。




