魔法ランキング戦三日目3
フィールドについた私達と男の子二人は距離を取って準備をする。
そうだ、大事なことを聞き忘れてた。
「ルールはわかる?」
「バカにするな!」
男の子は顔を赤くして怒鳴る。
へぇ、ルールは理解できる頭はあるのね、意外。
「いつでもどうぞ?」
余裕たっぷりの笑みを浮かべてそう男の子達に問いかける。男の子はその安い挑発に乗って魔力を噴き出させた。
「実力の差ってやつを見せてやる!」
実力の差、ねぇ。実力の差っていうのがわかる人は、実際に戦わなくてもわかるのだけど。
「流れ流れし炎よ!我の意思に従いて揺らめかん!激流の如く押しつぶさん!〈フレイム・ストーム〉」
いつ頃の男の子がダスハートとの戦いで見せた炎系統第四階級魔法 〈フレイム・ストーム〉を男の子の一人が放つ。
火の粉を散らしながら炎の竜巻が私たちに迫ってくる。
ま、この魔法はダスハートが消すし、対処しなくてもいいわね。
「風よ流れし廻り巡る。弄ぶは悪戯に、吹き荒れるは凶暴に。我に仇なす敵を吹き飛ばさん。〈ウィンド・エルフリート〉」
迫り来る炎の竜巻を冷静に見つめたダスハートは風系統第五階級魔法 〈ウィンド・エルフリート〉を発動させて、炎の竜巻の軌道を変える。
炎の竜巻は私達から逸れ、魔術障壁にぶつかって鎮火した。
「今度はこっちからいくわ」
手を男の子達に向けて伸ばし、魔法陣を三つ重ねて展開させる。
「三重魔法陣 〈サンダー〉」
雷系統第一階級魔法 〈サンダー〉を放ち、三重に重ねた魔法陣に潜らせる。すると、雷系統魔法第九階級魔法 〈ライトニング〉並の雷となって男の子の一人を魔術障壁に叩きつけた。
「な、なんなんだ今のは!?」
「ふふっ」
三重魔法陣は、いわゆるブーストみたいなもの。魔法陣一つにつき最大三つまで潜らせた魔法の階級をあげることができるため、低コストかつ高威力で魔法を連発することができる。新たに私が生み出した魔法。
「防御はダスハート。攻撃は私で良いのよね?」
「うん、それでいいよ」
眼鏡を中指で押し上げながら私の問いにダスハートは頷く。それじゃ、もう一回。
「〈フレイム〉」
「ぐわぁ!」
炎系統第一階級魔法 〈フレイム〉を炎系統第十階級魔法 〈バーンアウト〉並の炎に変えて打ち出す。炎は男の子にぶつかって爆発し、男の子を魔術障壁に叩きつけた。
呆気ないものね。防御はダスハートが全部やってくれたし、攻撃は三重魔法陣で済ませばいいし、楽過ぎて話にならない。
「さっ、帰りましょ」
あくびをしているダスハートにそう話しかけ、私達は教室へ戻った。
男の子二人との一戦を終えた後、私とダスハートはそれぞれの教室へ向かって並んで歩いていた。
「そういえば、ダスハート。貴方CクラスなのにBクラス並の魔法を使っているけれど、どういうこと?」
男の子二人との戦いの最中、ダスハートたしかにBクラス並の魔法を使っていた。魔法適性が劣っているわけじゃないのかしら。
「それは簡単だ。僕は適性はBランクだけど、総魔力量がCランクだったからだよ」
なるほど、そうだったのね。どうも同年代の男の子達と同じように攻撃魔法をバンバン使わない、とは思っていたけど、そんな理由があったのね。
まあ、自分には総魔力量が少ないって厳しい現実を知っていれば、おのずと同じようにならないわね。
「そういうフリージアこそ、どうして卓越した才能と総魔力量があるのに、魔法陣なんて技術に手を伸ばすんだい?」
「古代魔法に興味があったっていうのと、魔法陣っていう技術を身につければもっと強くなれると思ったからよ」
私の言葉を聞いたダスハートは、顎に手を当てて訝しげな表情している。ダスハートからして見れば十分かもしれないけれど、全然足りない。前は私は何も守ることができなかった。今はその頃とは違って魔法という力を手にいれたけど、仮に足が一本使えなくなったら?手が両方動かなくなったら?そうなったらハティを守ることができない。
少なくともそうなっても守れるようにならなきゃ。前は足が両方動かなかったんだから。
「おっと、フリージア。ここでお別れだね。じゃ、 また明日」
「じゃあね、ダスハート」
私は階段を上り、ダスハートは廊下を歩いて行く。もっと強くならないと。




