魔法ランキング戦二日目
ヒロインである男の子が登場しますよ。
朝に挑まれた二戦を勝利した私は、休み時間に学院内を散歩していた。
ハティは生徒達に囲まれて忙しそうだったから、一人での散歩。
AクラスからBクラスと歩いて行き、今はCクラス前の廊下を歩いている。
丁度一人の男子生徒が教室から出て来たようで、私とすれ違った。
「っ」
なにか背中を電流らしきものが駆け巡り、すれ違った男子生徒に振り向く。男子生徒も同時にこちらを振り返った。
男子生徒は別に万人を魅了する容姿の持ち主でも、魔法に秀でているわけでもない。少し整った顔立ち、いわゆる微ケメン呼ばれる顔をしていて、黒髪をショートに切りそろえられており、目が悪いのか眼鏡をかけている、どこにでもいそうな男の子だった。その男の子が、なぜか気になった。
「名前は?」
気になった理由が知りたくて、男の子に名前を尋ねる。
「ダスハート・アルバーティン」
「そう、私はフリージア・フェルマール」
それだけ名乗り、踵を返して散歩を続ける。なんかのんびりしてそうな男の子ね。有り触れた男の子に、なぜ私が興味を持ったのか、わからなかった。
この時の私は知らない。
ずっと先の未来で、この男の子が私の人生を変えることになるとは。
昼休み、生徒達から救出したハティと一緒に弁当を食べていた時、リリオン達がやって来た。
そういえば、リリオンってCクラスだったような。丁度いいし、聞いて見ましょうか。
「ねぇリリオン。ダスハート・アルバーティンって、知ってる?」
「あ、はい。知ってます。組は違いますけど」
どうやら知っているらしい。
「どんな人か教えてくれない?」
「いいですよ。アルバーティン君はいつもぼんやりしてます。昼行灯って言うんでしたっけ。でも、誰もアルバーティン君の凄い所、切れる所を見たことがないんです」
ふぅん、昼行灯ね。これはまたベタじゃない。それしても、なんでそんな男の子が気になったんだろう。今度話してみればわかるかもね。
放課後、今日の五戦を終えた私は、ダスハート・アルバーティンの試合をハティと共に観戦していた。相手は同じCランクの男の子。男の子は敵意むき出しで、ダスハート・アルバーティンは気怠そうに男の子を見つめている。
「炎よ集いて弾となり、我に仇なす敵を撃ち抜かん!〈フレイム・ボール〉」
小手調べと言った風に男の子が炎系統第二階級魔法 〈フレイム・ボール〉をダスハートに向かって打ち出す。
「風よ回りて悪戯に、我に仇なす敵を弄ばん 〈ウィンド・セイレーン〉」
そのまま当たるかと思えた〈フレイム・ボール〉は、ダスハートの魔法によって軌道を変え、フィールドの地面に叩きつけられる。
ふぅん、別に弱いってわけでもないのね。それなりの実力はあるんじゃない。
「これで決めてやる!流れ流れし炎よ。我の意思に従いて揺らめかん。激流の如く押しつぶさん!くらえ!一発限りの魔法だ!〈フレイム・ストーム〉!」
炎系統第四階級魔法 〈フレイム・ストーム〉を発動させた男の子は、その場に魔力切れで崩れ落ちる。馬鹿じゃないの?このごろの男の子は目立ちたがり屋だっていうのはわかるけど、派手だけじゃ意味ないでしょ。
「よっと」
眼鏡を指で押し上げたダスハートは、ひょいっと〈フレイム・ストーム〉を躱す。
「勝負ありね」
かたや魔力切れの男の子と、かたや傷一つないダスハート。勝負は決した。
「さっ、かえりましょ」
「いいの?」
こてんと小首をかしげ愛らしい眼でハティがそう聞いてくる。ハティを抱きしめて「いいの」と返す。
ハティの手を握って立ち上がると、一緒に寮へと歩いて行った。
ダスハート・アルバーティンの性格と容姿は、久木篁様の昼行灯だけど主人公のことなると切れる腹黒系策士と、42gami様の微ケメンに決まりました。




