魔法ランキング戦一日目4
「用意はいい?」
「うん」
誰もいないフィールド上に、私とユニは立っていた。お昼を食べ終えた後、私とユニは放課後にフィールドで落ち合う約束をし、一旦別れた。なぜ放課後かというと、誰もいないからだ。
時刻な六時。ちょうど日が沈み始め、世界を黄昏色に染め上げて行く。
「暴風よ吹き荒れ薙ぎ飛ばせ。抗えぬ自然の暴力で持って、我に仇なす敵を打ち砕かん!〈暴風雨〉」
先手をとったのはユニだった。ユニは風系統第十階級魔法 〈暴風雨〉を放ち、様子を伺う。
「古代魔法陣、起動」
まさに不可抗力の自然の力を体現した魔法だったが、私が起動させた防御系統魔法によって防がれた。
「めちゃくちゃ」
「どうも」
〈暴風雨〉を防いだ私を見て、ユニがそう呟く。その声には、若干の焦りが浮かんでいた。
「止まりしは時。凍りつきしは全。絶対零度の氷河。圧倒なる冷気で持って我に仇なす敵を凍らせん。〈氷獄〉」
私の一番得意な魔法である、氷系統第十二階級魔法 〈氷獄〉を放つ。周囲の温度が一気に氷点下を下回り、フィールドと魔術障壁を凍らせて行く。
「はぁ、はぁ、はぁ」
ユニは寒さによって息を切らしている。〈氷獄〉をユニに当てていれば試合は終わっていたが、それでは面白くない。氷点下を下回らせることによって運動能力を格段に低下させ、こちらを優位に持ち込む。
「どうしたの?辛そうね」
「なんで、当てなかった」
膝を付き、息を切らしながらのユニの問いに笑みを浮かべる。だって、それじゃ面白くないでしょ?と。
「風精よ、周り巡りてわが身を守る盾となり、寒暖から護りたまえ。〈ウィンド・レース〉」
ユニは〈氷獄〉の猛威から身を守るため、第十階級魔法 〈ウィンド・レース〉を発動させる。だけれど、そんな弱い魔法でなにができるの?
「あっ」
吹き荒れる〈氷獄〉によってユニの体を包むようにして展開された〈ウィンド・レース〉は儚く砕け散った。
「本当、無茶苦茶」
「ふふっ、ありがとう」
「動けない」
微笑みながらユニに向けて〈暴嵐〉を放つ。極寒の寒さによって全身の筋肉が収縮し、動くことの出来ないユニを〈暴嵐〉が吹き飛ばす。
「かはぁっ」
吹き飛んだユニは魔術障壁にぶつかり、肺の空気を吐き出す。
「まだ、終わりじゃ、ない」
地面に叩きつけられてしばらく咳き込んでいたユニだけど、ゆっくりと立ち上がった。
「まだやるの?頑張るね」
「まだ、負けじゃ、ない」
ふぅん、なんていうか、執念を感じる。絶対にランキング結果の上位に食い込まないといけない、なんていう執念を。まあ、家の事情だろうし、私には関係ないか。
「まあ、頑張った方ね」
魔法陣を起動させ、振動系統魔法 〈衝撃〉を展開する。黄色の魔法陣が私とユニの足元に広がってユニを吹き飛ばす。
「かふっ」
魔術障壁に激突したユニは地面に叩きつけられたまま、今度は立ち上がることはなかった。




