自己紹介
つつがなく入学式を終え、体育館から教室へと移動する。途中の廊下を歩いている時に、床や壁に若干ながら魔力が感じられた。後で聞いた話によると、この校舎には魔法が付与されているらしい。ちなみに校舎は四階立てだ。一階には職員室。二階にはCクラスとBクラス。三階にはAクラスとSクラス。四階にはSSクラスと図書館、それから資料室に家庭科室がある。SSクラスと判断された生徒は誰もおらず、SSクラスはものけのからとなっている。
「ついたね」
「ええ」
しばらく廊下を歩き、私とハティはAクラスの教室の前で立ち止まる。ハティは緊張しているようで、私はハティの頭を撫でて緊張をほぐし、扉を開けた。
私が中へ入った途端、騒がしかった教室が一気に静まり返る。まあ、予想していた事だけど。ハティを連れ、指定された席に座る。隣にはハティが座っていた。
「お、おいお前。なんでSSクラスの奴がここにいるんだよ。さてはおれたちをバカにしに来たな!」
私が席に座ってから数分後、複数人の男子生徒が私の席を取り囲んで怒鳴り散らす。
「なにか勘違いをしているようだけど、なんで貴方達をバカにしにくる程度でわざわざAクラスに来なければならないのよ。私はハティと一緒がいいからAクラスに来たの。わかったらさっさと自分の席に着いて。こっちは暑苦しいの」
「な、なにを!?ちょ、調子に乗って!」
こっちは事実を言っただけだがなぜか頭に来たようで、一人の男子生徒が拳を握って殴りかかって来た。
「情けない」
片手で男子生徒の拳を下から掬い、床に叩きつける。情けない。本当に情けない。女の子を殴ろうとして、逆に叩きつけられるなんて。私の考えがわかったのか、ハティが叩きつけられた男子生徒を冷めた目で見下ろしていた。
男子生徒が床に叩きつけられて火がついたのか、残りの男子生徒達が魔法を使おうとする。
「はいはいそこまで。皆、席に座りなさい」
が、教室へ入ってきた教師の拍手によって遮られた。魔法妨害魔法。あまり世間に認知されていない振動系統に分類される魔法で、魔力の流れを乱すことによって魔法を妨害する魔法だ。
それを拍手によって生じる振動を利用して使ったということは、さすがはAクラスの教師ということらしい。
全員が席に座ったことを確認し、教師は口を開いた。
「私の名前はナルム・エノール。得意系統は風。得意魔法は〈風嵐〉です。今年一年よろしくお願いします」
「「「よろしくお願いします」」」
ナルム先生の挨拶に合わせて、教室にいる生徒全員が挨拶を返す。〈風嵐〉は風系統第十一階級魔法の一つだ。
ナルム先生は挨拶をした後、生徒全員に自己紹介をするように指示を出す。生徒達はナルム先生と同じように自己紹介をし始めた。
「私はフリージア・フェルマール。得意系統は氷。得意魔法は〈氷獄〉。よろしく」
「私はハーティア・アルマディアといいますっ。得意系統は炎。得意魔法は〈バーンアウト〉ですっ。よろしくお願いします!」
しばらくすると私の番が回ってきて、立ち上がって挨拶をする。生徒達の反応は先ほどのこともあってか、かなり静かだった。それに比べ、ハティの自己紹介には拍手が起こった。
まあこんなもの、と思っている私を、ナルム先生は興味深げに見つめていた。




