入学試験
母様達と本当の意味で家族になれた日から五年の月日がたった。私とハティは六歳になり、王立魔術学院に通う年齢となった。魔法は第十二階級全て自由自在に使いこなせるようになり、母様と全力で戦いを繰り広げるようになったのだが、まだ母様に勝ったことはない。
「フリージアももういいかもね」
「なにがですか?」
いつもようにごろごろとしていたとき、母様がポツリとつぶやいた。
「ん?明後日が王立魔術学院の入学試験の日なのよ。それでね?フリージアも受けさせようかなって。リアもハティに受けさせるっていうから」
ふぅん、ハティもうけるんだ。それじゃあ受けようかな。暇だし。
「よしっ!決めたっ。フリージア、貴女も受けなさい。お金の心配はしなくていいからね」
「母様子供扱いしないでください」
母様が私の頭を撫でながら決める。
うん、強引。まあ別に受けるつもりだからいいんだけれど。
ってわけで時は飛んで入学試験の日。私とハティは受け付けの前に来ていた。
「フリージアちゃんとハティちゃん?」
「はい」
「は、はいそうです」
「ふふっ、そんなに固くならなくていいわよ。気楽に気楽に!」
受け付けの人に背中を押され、試験場へ向かう。そこには大勢の人で溢れかえっていた。
「フリージアとハティだね?こっちに」
金髪の試験官が私達に手を振る。入学試験は
三つに分けて行われる。
まずは適性がある属性の魔法の階級を確かめる試験。
そして次に自分の得意な魔法を確かめる試験。
最後に総魔力量を図る試験。
それぞれF〜SSランクにわけられ、Cランクからが合格となる。
ハティは炎と風の適性があるため、はじめの試験は二つ行い、私は全種類のため、全部行う。
「風よ集いし槍となり、我に仇なす敵を討ち滅ぼさん。〈千本槍〉」
ハティの夥しい数の風の槍が白い壁に突き刺さり、壁にひびをいれていく。
風系統第八階級魔法 〈千本槍〉。これが出来ればおおよそAランクに分別される。白い壁はミスリルで出来ており、放たれた魔法の威力を判断できるようになっている。
「ハティ風系統Aランク」
「やった!」
試験官からランク付されたハティは飛び跳ねて喜ぶ。
「よしよし」
「えへへ〜」
思わず頭を撫でてしまうと、ハティはすり寄って来た。か、か、可愛い!
「風精よ集いし剣となり、我が敵を切り裂かん。〈風斬刃〉」
隣の人が放った魔法が、白い壁を切り裂く。
「ブリジット風系統Sランク」
「はっ、高々Aランクくらいで喜んでもらっちゃ困るね。これだから子供は困る」
Sランクに位置付けられた隣の金髪の男子が、髪をかきあげながらハティをバカにする。
「業火よ渦巻き槍となり、貫き穿ち穴を開け、我に仇なす敵を塵と化さん。〈イグニス・ハート〉」
業火が私の前で渦巻いて槍の形に変化し、白い壁を撃ち抜いて木っ端微塵に砕く。
「フ、フリージア炎系統SSランク」
「「「なっ!?」」」
周りにいた試験官達が、金髪の試験官の言葉に汗を浮かべて驚く。SSランク。40年ほど昔、エルバニア・フォールランドという女性がSランクを超えたSSランクとして入学した。エルバニアはフリージアと同じように白い壁を砕いたとか。それ以前にもそれからもSSランクを叩き出した人はいなかったという。
Sランクを出せば宮廷魔術師を目指せるレベルだが、SSランクだと宮廷魔術師の最高峰に立てるレベルだ。
「ほとほと頭に来たわ。黙って聞いてれば高々Aランク?子どもだからこまる?私に言わせれば貴方は、高々Sランクしか出せない他人を見下すしか自分を保てない子どもよ。他人を見下したければこれくらいは出したら?一昨日で直して来なさい」
本当はAランクで入学する予定だった。が、ハティをバカにされたことで頭にきた。
ブリジットは腰を抜かして怯えているし、バカ見たい。
【入学試験結果表】
生徒名:フリージア・フェルマール
・第一試験:魔法適性
炎系統:SS
風系統:SS
水系統:SS
土系統:SS
氷系統:SS
雷系統:SS
毒系統:SS
光系統:SS
闇系統:SS
・第二試験:得意魔法
氷系統魔法第十二階級 〈氷獄〉
・第三試験:総魔力量
SS
上記により合格
【入学試験結果表】
生徒名:ハーティア・アルマディア
・第一試験:魔法適性
炎系統:S
風系統:A
・第二試験:得意魔法
炎系統第十階級魔法 〈バーン・アウト〉
・第三試験:総魔力量
SS
上記により合格




