閑話 フェルミルから見たフリージア
突然失礼します。
私の家のお嬢様は少し異常です。そう思い始めたのは、お嬢様が生まれてから半年経ってからのこと。言葉が話せないのは当然としても、時々お嬢様は私達の言葉を理解しているような行動を取る。それだけではなく、私達が何をしているかわかっているような行動も。例えばお嬢様のおむつを変えている時に、お嬢様はものすご〜く申し訳なさそうな顔をする。それはそれは申し訳なさそうな表情を。掃除をしている時にお嬢様を退かそうした途端に、お嬢様ははいはいで自分で退いたりだとか、お客様が来れば静かにソファーに座っていたりする。
お嬢様はおかしいと思った決定打は、文字を理解していたこと。奥様の書庫には難しい計算式が書かれた本や魔術書がたくさん保管されている。とは言っても書庫には鍵が掛かっておらず、自由に閲覧可能なのだが。突然お嬢様がいなくなったと思ったら、こっそりと抜け出して奥様の書庫で魔術書を読んでいた。しかも魔術書に書いてある魔法式を実際に詠唱して、「あ、危なかった。魔術書に引火するところだったぁ」といつものようなたどたどしい口調ではなく、しっかりとした口調でひとりごちていた。
薄々私も奥様も気づいている。お嬢様が、いえ、フリージア・フェルマールはただの一歳の女の子じゃないってことに。それでもお嬢様は奥様の子供であり、私のお嬢様でもある。例えお嬢様が何者でもあろうと、それは変わりない事実。
だから、私達はお嬢様が話してくれる時をひたすら待ちます。




