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合法村  作者: 結城 からく


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第2話

 佑都が気絶から目覚めた時、彼はスポットライトの当たる円形の空間にいた。

 周囲は壁に囲われ、その先には数百人の観客が好き勝手に野次を飛ばしている。

 間もなく拡声器から軽快な男の声が響き渡る。


「おおっと、目覚めました! 正体不明の殺人鬼! ボートでこの島にやってきた侵略者! 彼が何者なのか、皆様にも見ていただきましょうっ!」


 観客が盛り上がる中、佑都は立ち上がって己の状態を確かめる。

 服装は上陸時と変わっていないが丸腰だった。

 おまけに金属製の首輪を着けられており、外れそうな気配はない。


 一方、佑都の前方に壁が展開し、そこから筋骨隆々の男が現れた。

 同時に拡声器から先ほどと同じような紹介台詞が発せられる。


「対するは前科二十犯の強姦魔! 津村啓蔵です! 先日、都内で緊急逮捕されたところを闘技者としてスカウトしました! 性欲十倍、暴力百倍! その衝動を試合で披露できるのかーッ!」


「おい何だよここは!? ふざけんじゃねえ!」


 強姦魔の津村は歯を剥いて吼える。

 しかし、その姿は観客をますます喜ばせるだけだった。

 対峙する佑都は、己が置かれた状況について冷静に分析する。


(これはおそらく賭け試合……対戦相手も状況を理解していない。互いに初戦か。ルールは……)


 観客席から複数の武器が投げ込まれた。

 いずれも包丁や工具、スポーツ用品といった原始的な武器ばかりであった。

 ほどなくしてゴングが鳴り響く。


「それでは試合開始です! 禁止行為はありませんので存分に殺し合ってください!」


 困惑していた津村が鉈を手に取った。

 彼は悪態をつきながら佑都を睨みつける。


「クソが! わけわかんねえが、てめぇを殺すのが正解らしい」


「…………」


 隆斗は真顔で津村を見つめる。

 見世物として晒される怒りが沸き上がる……が、それが霞むほどの憎悪を彼の胸中を渦巻く。

 観客を見回す隆斗は、ぼそりと呟いた。


「こいつらが美琴を……」


 刹那、津村が佑都に飛びかかった。

 振り下ろされた鉈を躱した佑都は、津村の股間を素早く蹴り上げる。


「ごっ、お……!?」


 クリーンヒットによる激烈な痛みに、津村は背中を丸めて硬直する。

 そこに追撃の拳が炸裂し、津村はあえなく崩れ落ちた。

 仕上げに佑都は近くに落ちていた棍棒を拾い、津村の頭部を容赦なく粉砕する。


「み、見事な手際です! 正体不明の殺人鬼、圧倒的な力を発揮しましたーッ! これからの活躍が楽しみになる試合でした!」


 喝采が轟く中、小銃を持ったスタッフがやってくる。

 スタッフは銃口を向けて佑都に近付く。


「試合終了だ。武器を捨てて大人しくしていろ」


「美琴はどこだ」


 佑都は指示を無視して棍棒を振りかぶる。

 その瞬間、首輪から高圧電流が流れて、彼は膝をつく。

 スタッフは銃を向けたまま歩み寄った。


「質問は受け付けない。お前の役目は死ぬまでここで闘い続けることだ。他には何も――」


 電流の痺れをものともせず、佑都が棍棒をフルスイングした。

 打撃はスタッフの膝を打ち砕く。


「ぐあああああああぁぁっ!」


「俺は美琴を探す。邪魔をするな」


 佑都は棍棒でスタッフを撲殺すると、その手から小銃を奪い取った。

 突然の事態に司会進行役の焦り声が場内に響く。


「ちょっ、何してるんですかっ!? け、警備員! あの人を早く止めて! ヤバいってもう!」


 佑都は助走をつけて壁に向かって跳躍した。

 そこから軽々と壁をよじ登って観客席に侵入する。

 驚愕する面々を前に、佑都は小銃を構えた。


「――皆殺しだ」

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