第3話
佑都は小銃を発砲する。
狙い澄まして放たれた弾丸は、どよめく観客の額や胸を的確に貫いていった。
観客達は予想外の事態に逃げ惑う。
そこに佑都が容赦なく銃弾を浴びせていく。
佑都の装着する首輪は絶えず電流を流していた。
しかし佑都は倒れない。
それどころか、苦痛を糧に肉体を衝き動かす。
快不快を問わず、彼はあらゆる刺激を殺戮に変換していた。
「お、お願いだ、助けてくれ――」
命乞いをする男の眉間に穴が開いた。
佑都は死体を漁り、その腰からナイフを拝借して片手で構える。
そこに数人のスタッフがやってきた。
スタッフはすぐさま銃撃を見舞うも、佑都は死体を盾にしながら回避し、反撃の弾丸で彼らを黙らせる。
乱戦にあろうと、佑都の攻撃は緩まず、射撃の精度も同様に揺らがなかった。
観客席が無人になったところで佑都は施設を脱出する。
夜風に吹かれる佑都は前方を見据える。
そこには、ネオンの輝く歓楽街が広がっていた。
煽情的な格好の美女が行き交う男達を誘惑している。
酒に酔う男達は、上機嫌そうに闊歩していた。
佑都は歓楽街の人々に小銃を向けて、引き金を引こうとする。
次の瞬間、頭上から声がした。
「そこまでだ」
数倍に跳ね上がった電流が佑都の全身を駆け巡った。
小銃を落とした佑都は、ギロリと見上げる。
音もなく飛び降りてきたのは、砂浜で佑都を気絶させた黒スーツの男だった。
男は黒い小さなリモコンを佑都に向けて警告する。
「動くなよ。これ以上暴れるなら、あんたの首輪を爆破する」
佑都は両腕をだらりと下げたまま男を注視する。
全身から噴き出す殺気は微塵も衰えていない。
それに気付いた男は心底から呆れた様子で肩をすくめた。
「まったく、滅茶苦茶だよ。無差別にぶっ殺しやがって。犠牲になった連中が下級市民じゃなけりゃ、俺にまでペナルティーが飛んでくるところだった」
「…………」
「あんたのことは軽く調べさせてもらった。とんでもない経歴だな」
男は懐からメモ用紙を取り出した。
彼はそれをつらつらと読み上げていく。
「中東最強の元殺し屋、一人で軍隊に筆記する戦力の怪物……ここ数年は一般人の片村佑都として暮らしているのか。ブランクがあるようだが、狂った強さは健在だな」
「どうやって調べた。情報は抹消してあるはずだ」
「何事にも裏技はある。そんなことより今について話そうぜ」
得意げに言った男は、佑都の首輪に触れて告げる。
「ここは合法村で、あんたは最下層の奴隷だ。目的があるなら地獄の中で勝ち続けて成り上がるしかない。あんたにそれができるのか?」
「できるかどうかではない。俺は美琴を救い出してお前達を皆殺しにする」
真顔の佑都は、澄み切った狂気を以て宣言した。




