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僕の奥さん、のようなひと  作者: 花鶏
§ 未成年後見人になりました §
18/27

同居継続のお願いをしてみた


 週末、僕は気合を入れて夕飯を作った。


 理子さんは肉より魚、洋食より和食の方が箸が進む。

 生野菜はあまり好きじゃなさそう。

 たぶん、豆腐料理が好き。


 鮭の炊き込みごはん、だし巻き卵、小松菜の白和え、豚汁。

 スマホ先生に指示を仰ぎながら、僕に作れる精一杯で頑張った。

 理子さんは出てきた食事を一瞥して、警戒した視線を僕に向けた。


「……なんかあるの」

「食べてからでいいですか」


 理子さんは少し眉を寄せたが、何も言わずに箸を取る。

 苦々しい顔で「美味しい」と褒めてくれた。


 食器を片付けてから、三人でダイニングテーブルに座る。


「理子さんに、お願いがあって」

「なに」


 誤魔化しを許さない視線に、ごくりと唾を飲む。


(同情を引く言い方はしない。

 希望をそのまま、まっすぐ言う)


 何度も、どう言おうか考えた。

 僕たちが何を望んでいるのか、まっすぐ伝える。

 できるだけ、断っても罪悪感を持ちにくい頼み方で、重くならないように。


「僕、大学に戻ろうと思います。

 後見人の審査が終わったら、出ていくって言ってたんですけど……もう少し、このまま同居させてもらえませんか」

「……なんでよ」

「僕も、紬も、もっと理子さんといたいし、今はこの家が一番安心できるので。

 実際に暮らしてみて、難しければ、そう言ってもらえれば」


 理子さんの顔が、よく分からない表情をしている。

 怒っているのとも、困っているのとも違う。

 そのまま黙って視線を落とす。

 テーブルの一点を見ている。


 隣で紬がスマホを取り出して、何かを打ち始めた。

 僕はその手をそっと抑えた。

 紬が顔を上げて僕を見る。


「駄目なら駄目でも大丈夫です。

 諦めて近くで部屋を探します」


 理子さんの視線がこちらに戻ってくる。


「紬は理子さんのことが好きなので、これからも遊びに来ることは、許してもらえますか」


 理子さんは困惑した顔で黙り込む。

 それからゆっくり紬の方を向いた。


「紬さんも、同じ気持ちなの?」


 紬がこくこくと頷く。

 理子さんはまた視線をテーブルに落とす。


「……紬さんが」


 逡巡する声が、小さく呟く。


「ここが安心できるって言うなら、……とりあえず暫くはいてもいいわ」


 紬がぱっと笑顔になった。


 理子さんは椅子を引いて立ち上がり、小町を回収して寝室に消えた。


 紬が僕の袖を引いた。

 スマホの画面に、さっき打ちかけた文字が残っていた。


『無理だったら いいよ 遊びにきてもいい?』


 僕はそれを見て、同じことを言った自分に少し笑った。


『りこちゃん 迷惑だったかな?』

「うん……どうかな。一緒に住んでよかったって、思ってもらえるようになるといいな」


 紬はこくりと頷いた。


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