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エボルヴインパクト 非対称型PvPvEの悪魔的暗殺術  作者: すばる
2章

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11/20

2-1 “Day 1 Catastrophe”開幕

 遠くで起こった巨大な爆発が、惨劇の始まりを広く伝える。各所でスタートしたサバイバーたちは我先と動きだし、それを見ていた私もミュータントの群れに混じって突撃する。

「入れ食いじゃあっ!」

 イベントだからか知らないけど、とにかく人が多いな。チャンネル分けとかよくわからないが、もしかしたらいつもよりチャンネル数を絞っているのかも。でもってミュータントも大量にいる。だから私がやることは単純。裏取りしてキルを稼ぎまくる。

 見極めるべきは私に意識を向けているかどうか。正面から頑張ってひとりに勝つより、後ろから2人を労せず狩る方が効率はいいのだ。デモンズ種ってのは元からそういう種族だし。これだけ人もミュータントも多かったら索敵スキルだって機能しない。

 乱戦の中において意識の間隙をつき、死で撫でるように次々とサバイバーを狩る。止まるつもりもないし固執するつもりもない。とにもかくにもカウントを稼ぐのだ。

 大混乱の中でひたすらに敵を倒しまくり、たまに仕留められながらもキルを取り続ける。ただド派手なバトルはそうそう長く続かない。数が多くてもほとんどが雑魚で構成されたミュータントは気付けば数を減らしていたし、ミュータントを倒すことにたいした旨みのないサバイバーも探索のため各地へ散って行った。激しい混乱はやがて離散し、私もこれ以上は旨味がないと、周りに人がいなくなったタイミングで一旦物陰に隠れる。

「50は稼いだかな。途中で何度かやられなければもっと行けたんだけど」

 さっきまでのは例えるなら、マラソンがスタートした直後のわちゃわちゃみたいなものかな。お祭り的な盛り上がりはあったしスコアはがっつり稼げたけど、イベントはここからが本番だ。

「さーて。じゃあまずは人の多そうなところを狙いますか」

 頭の中の地図を参照するに、今いる場所はアグヌ地区でも奥の方の住宅地だ。近くにある目ぼしい建物といえば、まず上がるのはスーパー。今回のイベントは食料周りが厳しい感じがするし、早めに確保したいって考えるプレイヤーは多いはず。というわけでさっそく向かってみることに。

「今んとこ協調路線かぁー」

 スーパーにつくと、予想通りプレイヤーが大量にいた。普段なら完全に大乱闘の流れだけど、現在は銃弾や暴言が飛び交うことなくアイテムを漁っている。これから荒らされるところだから、普段よりルートポイントの中身が多いんだろうな。秩序だってるってほどじゃないけど、まだ治安が崩壊した感じはしない。スーパーが略奪されている時点でアウトか?

 これは簡単には近づけないな。接近するときは隠れるのにも限界があるし、見つかれば撃たれて終わりだ。人が多すぎて【セカンドサイト】なんかの索敵スキルは機能してないけど、そんなの関係なく見られる。

「ちょっと厳しいか? これは」

 ここまできたけど予定変更。スーパーで暴れるのは無理そうだから、行き帰りを狙おう。

 方針を決めた私はすぐに動き、複数の幅の狭い路地を見張れるほかより高い建物の屋根に陣取る。

「思ったより見づらいな。これ」

 いつの間にか日は傾き、オレンジの光が長い影を刻む時間帯となっている。最初の乱戦で30分くらいは使ってるからね。1日1時間は昼40分、夜20分の割合で、そろそろ暗闇が近づいてきているのだ。

 これまでのゲームは常に日中だったから、これからこの世界で初めての夜戦が始まる。


 ◆


「見つけたぞー」

 夕暮れの路地を急足でかけていく3人の影を認め、私は屋根伝いに無音で接近する。屋根の陰になってお互いに見えない位置。けど、足音のおかげで私には場所を把握できる。【聴覚強化】にがっつりポイントを振ったおかげで、聞き取れる距離が伸びただけでなく位置の精度も上がったのだ。

 音を頼りに真上から強襲。相手は私の存在に気づいていなかったようで、何の対応もしない。だから無音のまま落下とともにひとりを刺し、力を失って倒れてくるのを別の触腕で受け止める。ほとんど音を立てなかったおかげか、他のメンバーは私の襲撃に気づくことなく前進中。なので背後からこっそりと追いかけ、気づかれないうちに2人目、3人目と仕留めていく。

「このゲームホラーだっけ」

 後ろからひとりずつ消えていくの、なかなか酷い殺し方だな。効率的だからやっているわけだしやめるつもりもないけど。

 倒した獲物から“血液”を回収した私は、すでに聞こえている音を辿って次のターゲットへ向かう。

「さーて。夜は長いぞー」


次回投稿予定は明日12時です。

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