なずな -2
「で、何故こうなった?」
「黙れ腐れ鬼畜がっ!何発か殴らんと気がすまんのじゃ!」
「ひでぇ言われようだな。一応オグナって名があるんだが」
オグナと対峙しているのは、ツクヨミ。だいぶお怒りのようだ。
「かかってこい!色情魔がっ!」
「いや……だがなぁ……」
戦いの経験が豊富な大人の男と、おしゃれな格好の少女。
「どう考えても……相手にならねぇっつーか……」
「こないならこっちからいくぞっ!」
ツクヨミの周囲に黒い球体が浮かび上がった。
「……あ……?」
青い空。流れていく白い雲。
「いつまで寝ておるんじゃ!さっさと立てぃ!」
そんな怒鳴り声で我にかえるオグナ。
「何だ?何をした?」
「見た目で判断するとは、まだまだじゃのぅ」
ツクヨミが得意気に笑う。
再び浮かび上がる球体。
「もう一回ふき飛べぃ!」
オグナが立ち上がるのを待って、ツクヨミが球体を飛ばす。
「うおっ!」
ぎりぎりでかわすオグナ。
「変な妖術使いやがって!」
「妖術ではない!五行じゃ!」
次々と球体を撃ち出す。
「ぐっ!避けきれねぇ……だろっつーのっ!!」
最後の球体。
オグナの腹部に当たるかと思われたが、それにオグナが拳を当てることで球体を霧散させた。
「いっ……てぇ~~!腕が折れるかと思ったぞ!」
「なっ!強引に打ち消したじゃと!?」
ツクヨミが驚いてる隙に、距離を詰めるオグナ。
「ふんっ!」
「ひゃっ!」
オグナがツクヨミの胸ぐらを掴んで地面へ押し倒し、もう片手でツクヨミの頭を押さえつける。
「うがああっ!放せぇ~!」
ツクヨミが暴れるが、びくともしない。
「勝負あったろ」
「そうですね」
アマテラスが静かに答えた。
「いかがですか?協力して頂けるなら、ツクヨミが使っていた五行の力……お教えします」
「アマテラスっ!こんなやつに五行を教えるなぞ――!」
「ツクヨミ、私情をはさみすぎですよ」
「じゃが――!」
「ツクヨミ」
「うぅ……ごめんなさい……」
普段にこやかで柔らかな物腰のアマテラスだが、このときは笑顔が逆に怖かったとか何とか。
「……いいだろう」
オグナが応える。
「だが、旅はしねぇ。おまえらの話によると、化け物の方もこちらを探してるんだろ?なら、ここで迎え撃つ」
「わかりました」
アマテラスが満足そうに微笑む。
こうして、戦屋『大和』のオグナは、スサノオを継ぐこととなった。
「……さっさとどかんか、へっぽこスサノオ。それとも、わしを押し倒したもんじゃから欲情したか?」
「……そういうことはアマテラスくらいの体型になってから言えよ、ちんちくりん」
「ちんちくりん言うなっ!」




