第六話 -2
街の中心は人も多く、店なども多い。
外れに行くにつれて自然が多くなり、『田舎』という言葉がぴったりな風景になってくる。
さらに街から離れると、緑が地面を覆っていたり荒野が広がっていたりする。もとは人が住んでいたのかもしれないが、天変地異がすべてを飲み込んでしまった。
指定された場所は、そんな荒野をさらに進んだ所だった。
「……ここじゃな。時間もちょうど良い」
全員に緊張が走る。
朱伽、静春、白宗は軽く身体を動かし、かなめは精神集中、陽芽は勾玉を握りしめながら深呼吸している。
「巧よ」
「なずな……」
「あまり緊張しすぎるな。動きが悪くなる。……とはいえ、無理な注文か」
「はは、訓練しかしたことないからね……」
「巧、おぬしはまだ五行が使えぬ。スサノオだけが使える特殊能力もはっきりとしないままじゃ。無理はするな。もしここで倒せずとも、生きていればまた戦える」
「わかった……」
そういう巧の顔は強張っている。
「ふむ……巧よ、この戦いが終わったらご褒美をやろう」
「え……?」
なずなが巧の耳元でごにょごにょと何かを話す。
「えっ!?ちょっ……な……!!」
直後、巧が顔を真っ赤にしてうろたえ始めた。
「くっくっ……多少は緊張が解けたか?」
それを見て、悪戯っぽく笑うなずな。
「……『この戦いが終わったら』って、死亡フラグだからね?」
「あっはっは!そんな台詞が言えるなら大丈夫じゃな。案ずるな。わしは強い。……さぁ、来たぞ」
巧達の数十メートル先に黒い霧。その中から現れたのは、オロチ、テマリア、ハクシラ、ナミクーチカ、パルティネの五人。
「……瑞穂ちゃんはいないのか」
「油断はするでないぞ。奇襲のために別行動している可能性もある」
巧達に、オロチが一人で近づいてくる。
「さっさと始めようぜ!全員で来いよ!」
オロチの手に気が集まり、大剣の神器『界斬刀 戒』を作り出す。
「一人でとは、余裕だな!後悔してもしらんぞ!」
いくつもの黒い光球がなずなの周りに浮遊し、かなめ、朱伽、静春、白宗も各々の神器を構える。
「巧さん、うちの近くに」
陽芽が巧に近づき、勾玉を構える。
「このおじい様の勾玉があれば、強力なバリアを張ることができます。戦闘は、まずは皆さんにお願いしましょう」
「うん……」
オロチも神器を構え、対峙。
しばらく互いに様子を見ていたが、その沈黙をやぶったのは朱伽だった。
一瞬でオロチとの距離を詰め、神器『神槍乱火』を振るう。
オロチはそれをバックすることで回避。追撃の連続突きもすべていなす。
「遅ぇな!」
「くっ!」
そこに静春の援護射撃。神器『超弓浮雲』の矢が、通常ではありえない軌道を描きながら、四方八方からオロチに襲いかかる。
オロチは大剣で矢を払いながら前方にステップし、朱伽に近づく。
「なっ!?朱伽、離れろっ!」
五行の気で作られた矢とはいえ、放ってしまったものを止めることはできない。
「逃がさねぇよ」
オロチが朱伽の首を掴んで吊り上げる。
「が…あ……!」
「わしがやるっ!」
なずなが黒い光球を放ち、矢を射ち落とした。
「……っ!」
かなめが空高くからオロチに向けて落下。神器『界斬刀囲』を降り下ろす。
が、オロチは大剣でそれを防御。
「本気で来いよ、界斬刀の所有者」
「朱伽を放せっ!!」
かなめの連撃。
しかし、オロチはその場を動くことなくそれをすべて防いだ。
「そのまま続けろっ!!」
その隙に、白宗が接近していた。
左腕は朱伽、右腕はかなめの攻撃でふさがっているオロチに、神器『滅斧影猿』を降り下ろす。
オロチは朱伽を投げ、一歩踏み込み、斧の柄の部分を掴む。
「惜しかったな」
大剣でかなめをはじき飛ばし、白宗を蹴り飛ばした。




