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番外編 玄武 -5

数日後――


みんなが寝静まった頃、門下生二人と共に街外れを歩く。


オロチ討伐作戦。

今夜、それが実行されるのだ。


「おぬしらは行かずともよかったものを……」


「いえ、師範が行くなら我々もついていきます!」


こっちの戦力がどれほどかわからんが、きっと激しい戦いとなるだろう。だからこそ、門下生達は参加させたくなかったのだが……


「身の危険を感じたら、まずは退くこと。死んだら負けじゃが、生きている限り諦めなければ戦うことができる」


「「はいっ!」」


良い返事だ。逃げることで弱虫と笑われようとも、絶対に死ぬんじゃないぞ……!!




作戦本部に到着する。

日本人、アメリカ人、中国人、アフリカ人――国も肌の色の違いも関係なく、大勢の人が集まっていた。


「元藤さん、ご協力感謝致します」


リーダーだろうか。おそらく軍人と思われるがっしりとした身体の男が話しかけてきた。


「これで全員か?」


「いえ、ここ以外にも集合場所がいくつかあり、そちらにも同じくらいの人が集まっているとの連絡がきています」


忙しいのか、「では」と手をあげて軽い駆け足で去っていく男。


「師範、これだけいればオロチを倒すことも出来そうですね」


「ふむ……」


あいまいな返事をかえしておく。


この人数の中、ランク6の者は何人いるだろうか……オロチの強さからみて、数で何とかするのは難しい……



「よう、じいさん」


「む?」


また別の男に話しかけられた。


「あんた、なかなかの腕とみた」


「ほっほ。お褒めいただき、光栄じゃわい」


鍛えあげられた身体。好戦的なまなざし。見た目だけでなく、発する気も荒々しさを感じる。


「あっ、こいつは……!」


門下生の一人が声をあげる。


「知っとるのか?」


「はい。ラインファイトってご存知ですか?」


たしか、富士取区(ふじとりく)で行われている格闘技大会だったか。


「その大会のレジェンドですよ!」


「れじぇんど?」


「チャンピオンのさらに上です。強すぎてチャンピオンが替わらず、それでは盛り上がらないと判断した運営側が、新たな称号を作ったんです」


「ほう」


「それがこの人、ガイアさんです!」


なるほど……闘い慣れはしているようだ。


「知ってるやつがいるとは、嬉しいぜ。だが、それは俺のリングネームだ。本名は仮子白宗(かりこ しらむね)という。よろしく頼む」


「わしは、元藤玄十郎だ」


「この戦いが終わったら、ぜひ手合わせ願いたいね」


ぎらついた目で見てくる仮子。それに気付いた門下生達が警戒する。


「まぁ落ち着け、お前達。よかろう。道場を訪ねてくるがよい。……ただし、お互いに生きて帰れたら、じゃが」


「……オロチに勝てねぇとでも思ってんのか?」


「努力はするつもりじゃ」


作戦実行まで、あと少し。



「作戦を伝える!時刻02:00、この先にある研究所へと一斉に攻めこむ!狙いはオロチ!ケイム・エラーが多数確認されているため、遭遇したら各個撃破しろ!」


次に英語で。次は中国語……と、様々な言語で作戦が伝えられる。


作戦といっても、ただ敵に特攻するだけ。急に集められた者達に綿密な作戦を、というのも無理があるだろうが、これでは……


「よいか。おぬしらは鍛練は積んでいるが、実戦経験が少ない。無理にオロチに立ち向かわず、最後尾でケイム・エラーの撃破にあたるのじゃ。背後から化け物に襲われたらかなわんからな」


「「はいっ!」」


これで門下生二人は、多少は安全だろう。


午前二時。作戦が始まる。

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