番外編 玄武 -4
オロチとの戦いの傷も癒えた頃、図書館へと来た。ちょっと調べものだ。
天変地異で多くの書物を失ったらしいが、幸い過去の新聞は残っていた。
天変地異前の記事を読みあさる。
「……これじゃ……」
目的のものを見つけた。
『ニンジャの正体、明らかに!』
ニンジャとは、天変地異前に世界中で環境問題を訴えていた青年のことだ。
顔を隠し、魔法のような超能力を使って人助けをしていた。
日本語を話していたことから『ニンジャ』の愛称で呼ばれていた。
魔法のような超能力――
翼もないのに空を飛び、モーゼのように海を割り、マグマを浴びても無事だったという。
どこまで本当なのかわからないが、もしこの青年が五行を使っていたのだとしたら……不可能ではないのかもしれない。
『先日の○○での噴火の際、ニンジャの素顔が明らかとなった。名前は、秋代 双。22歳の日本人――』
アキシロ……
あの研究所で見たアキシロプロジェクトとは、彼が関係しているのか?
噴火のときの写真だろうか。子どもを抱え、溶岩から逃げている男の写真が掲載されており、その横には青年――秋代双の顔写真が載っていた。
「………こやつは……まさかっ!」
頭の中で、ひとつの仮説が思い浮かぶ。
後日、再度研究所へ行き、この仮説は確信へと変わった。
これは、ゆめ――
むかしのゆめ――
おじいさまと、何人かのお弟子さんに、お客さんが来た。
あとでおじいさまにきいたら、オロチをやっつけるさくせんに協力してくれって話だったみたい。
すでにオロチのいる場所はわかってて、世界中から人をあつめてるとか。
うちは反対だった。あぶないことはしないでほしかった。
夜の道場。
照らしてくれているのは、月のみ。
精神集中し、五行を発現。ランク6の状態へ。
両腕を前に出し、手のひらと手のひらの間に全ての気を集中させる。
「……………できた……」
手のひらには、ひとつの石が。
「これが……勾玉………」
すでに五行は発現させていないが、気で作り出したはずの勾玉は消滅しない。
「見事じゃ」
気付くと、一人の少女が立っていた。
「なずな殿」
「玄十郎殿ならできると思っていた。時がきたらお借りしたい」
なずな殿が頭を下げる。
「時というのは、いつ頃になりますかな?」
「わからぬ……まだだいぶ先になりそうじゃ……」
「わしが生きているうちにお願いしますぞ」
「善処しよう」
軽い冗談に、お互い笑いあった。
「では……」
立ち去ろうとするなずな殿を引き止める。
「小耳にはさんだ程度で覚えてて頂きたい」
「……?」
「我が孫、陽芽は……オロチの暴挙を止める切り札になれるかもしれぬ……」
「なんと……!?」
「だが、孫を戦場に行かせるようなことはしたくない。できればわしらで何とかしたいですな」
これは保険であり、覚悟だ。
陽芽を守るためには、わしらがオロチを止めねばならん。だが、もしそれがかなわなかったときは……陽芽の存在を知る者が必要なのだ――




