番外編 玄武 -3
あれから数年――
この街にも、とうとうケイム・エラーが現れた。
……いや、今まで平和だったのが奇跡に近いのだろう。ラジオやテレビでケイム・エラーの被害を聞かない日はないくらいなのだ。
『裁き』と呼ばれる、オロチの公開殺人――このまま黙っているつもりはない!
騒ぎの中心地へと急ぐ。
「これは……」
現場は想像以上に凄惨だった。
ケイム・エラーがうろつき、血のにおいが充満している。
自分に気付いたケイム・エラーが向かってくる。数は……犬型と鳥型二匹ずつ。
「こんな老いぼれを食っても、腹の足しにもならんぞ?」
……言葉は通じんか。まぁもとより通じるとも思わなかったが。
五行を発現。水の矢を四本作製。それを最速で飛ばす。
ケイム・エラーは自分に到達するまえに灰塵と化した。
「見事だな。無駄のない力の使い方だ。それでいて十分な強さと速さもある」
声をかけられた。そこには、赤髪の男が立っていた。
雰囲気もそうだが、琥珀色の瞳が普通の人間ではないことを主張しているかのようだ。おそらくこやつが……
「ほっほっほ。おだてても何も出んぞ、オロチよ」
「ん?どこかで会ったか?」
「雰囲気が普通と違うんでな。もしやと思っただけじゃ」
「ああ、そうかい」
「どうする?ペットは全滅したぞ?」
「目的は達成した。もう用はない」
「そうか。しかし、ただでは帰せんのぅ」
再度、五行を発現。気を変換していく。
水。木。火。土――
「おいおいじいさん、無理は……」
金。そして、また水へ。
自分の気が膨れ上がるのを感じる。
「まさかそこまで五行を使いこなせるとはな。年の功ってやつか?」
オロチが腕を組むのをやめ、構えた。
目を覚ましたとき、そこは家だった。
「おじいさま!」
枕元にいた陽芽が、嬉しそうに声をあげる。
記憶をたどる。
……どうやらオロチに負けた……らしい。意識を失う直前、オロチに言われた言葉を思い出す。
『あんたはまだ強くなりそうだ。生かしておいてやる』
鍛練を積んで、ランクでいえば6に相当する力を手に入れたというのに……オロチはさらに上だというのか……!




