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お昼の時間です  作者: ギーク
第一の世界
5/19

紫色の美少女

ーー異世界残留中のリコ&セリナーー




もうこの同じやり取りを何度続けたか分からない。

本当にこの軍服の男性は話が通じないのだ。

ユキミとミキが戻ってからも、ずっとセリナは抗議し続け、リコは黒服の男性を抑えている。


「だーかーらっ私達が悪いので処罰は辞めて下さい!脅されてもいません!」

「遠慮することはありません!私が全力で守りますから、この黒に何を言われたか教えてください!」

ずっとこの調子だ。セリナもいい加減、頭が痛くなってきていた。


(セリナ〜〜これいつまでやるのぉ〜〜)

リコも同様に頭を抱えている。


だがついに、この状況も動くことが起きるのだ。



まず、ふわっと藤の香りがした気がする。


「これは何の騒ぎですか。」

次に凛とした、澄んだ女性の声が聞こえた。



やっと誰かきてくれたのか…と思い

2人は声が聞こえた方向を見る。

そこに…


ものすんごぉおい美人を発見した。

本当に綺麗な女の子だ。16〜18歳ぐらいだろうか。

暗い紫の長い髪。アメジストのような瞳。日焼け知らずの白い肌。若いが大人っぽい顔立ち。顔が無表情なのでクールビューティという印象。


その美人さんは藤柄藤色の高級そうな着物を着ていて、紫の上等な傘をお付きの人に差してもらっていた。


現れた女の子に思わず見蕩れてしまうリコとセリナ。

(すっごい整ってるぅ…)

(わあぉ…美人…)


見蕩れていたのは軍服の男性も同じだった。

しかし、すぐに正気に戻り敬礼。


「藤堂様!お騒がせしてしまい申し訳ございません!この黒が赤の御方に不敬を働いたとの通報があり、対処しておりました!」


元気よく報告したは良いが、藤堂様と呼ばれた女の子は軍服の男性を見ない。

彼女の視線の先には黒服の男性がいた。


「何があったのですか。」

ずっと視線を外さない。

これは彼に問いかけているのだろうか?


「姫様…申し訳…」

「っ何を勝手に喋っている!!!」


黒服の男性が喋ろうとしたところを軍服の男性が大声で怒鳴りつけた。


「黒ごときが許可なく口を開くな!藤堂様のお話しを…」


「あなた、お名前は?」


「………え?」


「お名前は?」


女の子に名前を聞かれ困惑する軍服の男性。

予想外の出来事だったらしい。


「き、桐生 颯(きりゅう はやて)です!」

「そう…桐生さん」


名前を聞いた女の子は軍服の男性、桐生にようやく視線を向けた。


「少し静かにしてくれるかしら…私は彼に話を聞いているの。」


「く、黒にですか?それは…貴方様の名誉にも」


「聞こえなかったの?」


「し、失礼しました!」


少しシュンとなる桐生。


リコ、セリナからすると信じられない光景だ。

ずっと話を聞いてくれなかった彼が素直に言うことを聞き、今は叱られた犬のように大人しい。


「でも…貴方の言いたいことは分かります。話を聞く相手を変えましょう。」


そう言うと女の子はリコとセリナを見た。


「何が、あったのですか?」


これはまずい。何故まずいかって?


何だかその目つきがとても怒っているように見えるからだ。声色も冷たい気がする。というかすんごい睨んでくる。


(なんか怒ってる?何この状況…どうしよセリナァ〜〜)

(うわぁこの子…怒ってる…姫様だってよ…リコォ〜〜)


2人は一瞬、何かしら言い訳を考えようとしたのだが、そもそも彼女が何に怒っているのか分からないので正直に答えることにした。


「ウチがそこの男性にぶつかってしまったんです。」

「私達がふざけてたせいです。すみません。」

2人で頭を下げた。


「……………そうでしたか。」


女の子はリコ、セリナの謝罪を受けて、鋭くなっていた目が丸くなった。

だが、すぐ元の無表情へと戻る。


頭を下げていた2人はその表情の変化に気づいていない。


(セリナ〜〜これはどういう反応なのぉ)

(リコ〜〜…そうでしたか。って前に変な間があるぅ)


むしろ頭をあげても女の子の顔が怖いままだから慌てた。


「…姫様…よろしいでしょうか」

「なんですか、墨男(すみお)。」


ずっと黙っていた黒服の男性がようやく邪魔されることなく口を開く。彼は女の子に墨男と呼ばれた。服装と同じ、黒を想起させる名前だ。


「私の不注意でそちらの赤の御方にぶつかってしまったのです。本来ならすぐ処罰を受けるところを…赤の御方と青の御方に庇って頂きました。騒ぎを起こしてしまい、申し訳ございません。」


リコとセリナの不安と焦りを察知したのだろうか。

墨男はぶつかられた側なのに、自分がぶつかったのだと言ってくれた。


「あのっ」

リコがぶつかったのは自分たちだ、と訂正しようとすると墨男が少し顔を上げ、微笑んで首を横に振る。


(………)

墨男の行動を見た女の子はふぅ…と、息を吐いた。


「……なるほど。大体分かりました。」


女の子の表情は未だ硬いが、纏う空気が柔らかくなった気がする。

そして墨男、リコ、セリナの順に目線を移動した後、桐生の目を見る。

桐生はちょっとビビった。


「桐生さん。」


「は、はい!」


「この黒、赤、青は私が連れて行きます。いいですね?」


((え??))


「そ、それは…!どちらに行かれるつもりです!?」


「いいですね。」


「っ…!かっ、かしこまりましたっ…。」


どう見ても桐生の方が女の子より年上だが、発言権は女の子の方が上。

墨男に姫様と呼ばれていた事を考えると相当偉い人なのだろう。


…なんて考える余裕は今のリコとセリナには無い。

ほぼ確実に、姫様の言う赤と青は自分たちのことだ。そして、どこに連れていかれるか教えて貰えていない。どーしよう。


(ちょっと!セリナ、ウチら連れてかれるらしいよ!)

(らしいね!せめて行き先ぐらい教えて欲しいよね!)


お互い何も話していないが、言いたいことはアイコンタクトで分かってしまう。


「あなたたち、そういうことなので。一緒に来てください。」

「「は、はぁい…」」


とうとうハッキリ「来い」と言われてしまった。

明らかに断れる空気じゃないので、2人は力なく返事をするしかなかったのだった。







ーーーーーー








ーー佐々木さん視点ーー


俺は少し焦っていた。

想定していた時間になっても4人が帰って来ないからだ。


いくらなんでも知らない世界に取り残される可能性があるのに、ミキが時間を気にしないはずもない。

もう14時だ。

色々なことを考えてそわそわしながら待っていると、


ガチャッ

14時を少しすぎた頃にトイレのドアが開いた。


1番に顔が見えたのはミキだ。走ったのだろう。ゼーハーゼーハー肩で息をしている。

店の時計を見るなりミキは不思議そうな顔をした。


「ふぅ…あれ…14時すぎたのに帰ってこれた…?」


汗だくになっているミキにハンカチを渡す。


「こっちからドアを開ける場合は、虹色の道は14時すぎても出現するんだ。異世界に直接繋がっているドアは開かないけどね。向こうの世界の場合だと、14時過ぎに合言葉を言ってもただドアが開くだけで何も出現しない。だけど、14時までに虹色の道に辿りつきさえすれば帰ってこられるよ。」


本来、14時すぎればどちらの世界で合言葉を唱えようと意味はない。ただドアが開くだけ。

まさか初回で14時を過ぎるとは思わなかった。だから少し設定を変えた。


今はとりあえず全員を店に入れよう。遅くなった訳を聞かなくては。


「そんなところにいないでみんな早く入っておいで。走ったみたいだし、水を用意するよ。」


水を用意するため後ろを向くと誰かに左腕を掴まれた。


「……ん?」


振り返って掴まれた腕を見る。掴んでいたのはミキだった。


バタンッ

ドアの閉まる音が聞こえた。


「どうしたの?ミキちゃ…」

ここで俺はやっと気づく。リコとセリナがいない。

さっきミキがドアを開けた時は半開きだったから気がつかなかった。

ドアの前には半泣きのユキミ。

今、ドアは完全に閉まっている。


「佐々木さん…リコちゃんとセリナが向こうに!!」

ユキミが錯乱しながらすがりついてきた。


「どういうことか…説明してくれる?」

今のユキミからは話が聞けそうにないのでミキに聞こう。


何があったのか、すぐに話始めてくれた。

「実は…」


数分後…



「まさか、初回からトラブル発生とは……」

いくらなんでも予想外だ。

リコがぶつかった男が誰か聞きたいところだが、ずっと土下座をしていた為に顔は見えず名前もわからないらしい。


「とりあえず知らせなきゃと思ってミキ達だけ戻ったんです。」

こういう時、意外とミキは落ち着いているな。実際は混乱して追ていけてないのかもしれないが…


「さっ佐々木さん、リコちゃんとセリナは…どうすればいいんですか!」

ユキミは目に見えて混乱している。きっと…友人を置いてきてしまった罪悪感だろう。


俺は、そんな2人が安心する言葉をかけてやれない。

どうしようもないからだ…

「ごめん、私にも何も出来ない…明日の11時まで2人の無事を祈るしかない…」


セリナ、リコ…どうか無事でいてくれ…





ーーそしてリコ&セリナに戻るーー


謎の美少女と行動を共にすることになったリコ&セリナ。

時は7時頃。ミキに最後投げて渡されたのは、彼女が持参していた時計だった。

今は謎の美少女の自宅の客間に案内され、リコとセリナの2人きり。

左は襖。右は障子。豪華だがとても洗礼された部屋である。


そして2人の目の前には、美味しそうな天ぷらが。


「ねぇねぇリコちゃん。天ぷらだよ。熱々の。」

「ねぇねぇセリナ。楽観的すぎるよ。」


素直に感想を言うセリナと呆れるリコ。

キレのいいツッコミは本来セリナの役割だが、今はその役割を放棄している。


「こういう時どうするか考えるのはセリナの係でしょう。」


「だってしょうがないじゃん。ここがどこか分からないし、なーんにも思いつかないんだもん。」


「それはウチもそうだけど…まぁそうだよね。考えるのやーめたやめた。」


楽観的、とはどの口が言っていたのか。

リコもあっさり考えるのをやめた。


ちなみに誰もいない隙に脱出、という考えは2人にはない。

理由は2つ。

1つ目は部屋の中は2人きりだが、部屋の外には人の気配があるから逃げられるかは怪しい。

2つ目は今いる場所から逃げても明日の11時までは行くあてもないし、帰れないからだ。


「ねぇリコ、私たちの前にもう1つ天ぷらがあるよね。」


「うん、そうだね。こっちの天ぷらと向かい合わせ。」


「これはあの女の子の分かな?えっと…紫月さんだっけ?」


「セリナ本当に名前覚えるの苦手よね。物覚えはいいのに。…多分そうじゃない?」


リコとセリナを連れた美少女は紫月(しづき)という名前だった。名前を知った経緯は追追語ろう。


「…ねぇセリナ。この襖の虎すっごいリアルじゃな

い?」


「…そうだねぇ。おいくら万円なんだろ。」


「それにしても天ぷら多くない?エビだけで8本あるよ?」


「それ思った!しかも大エビな!」


何をすればいいか分からないので、どうでもいい事ばかりが気になる2人。

いや、天ぷらはどうでもよくない。

どれだけ食べさせる気なんだ。


それから少しの間ソワソワしていると、襖の方から聞き覚えのある声が呼びかけてきた。


「失礼します。セリナ様、リコ様。鍋の支度が整いましたので、配膳させていただきます。」

「あっ…はい。」

セリナが返事をすると襖が開いた。

現れたのは墨男だった。


墨男は部屋に入るなり手際よく配膳を開始。

今、運ばれてきたのは出汁が香る鍋とカニだ。

小鉢なども一緒に、リコとセリナの前に丁寧に並べていく。


「左が天つゆ、右がポン酢でございます。」

あっという間に配膳が終わった。


「あの…墨男さん、天ぷらといいありがとうございます。」


「…とんでもございませんリコ様。そしてセリナ様。むしろお礼を言うのは私のほうです。」


鍋やカニと同じで、目の前にある天ぷらも墨男が用意してくれたものだった。

そのことにリコがお礼を言うと、墨男は手をついてリコとセリナに頭を下げた。


「お2人のおかげで私は永らえました。感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。」


墨男が感謝してくれるのは嬉しいが、2人はぶつかった罪悪感があるので反応に困ってしまう。

墨男にかける言葉に悩んでいると、墨男が閉めた襖が再び開く音が聞こえた。


「まぁ、墨男。何故ひれ伏しているの?」

顔を見せたのは紫月だ。

何だか、また目つきが鋭くなってる気がする。


「姫様。今、セリナ様とリコ様に感謝を伝えていたところでございます。」

紫月の放つ鋭い空気を察知した墨男がすぐに弁明してくれた。


「あら…そうだったの。ではリコさん、セリナさん。食事にしましょうか。」

「「は、はい…」」


紫月が上座に、リコとセリナの向かい合わせに座った。

先程の凍てつく視線を後に、天ぷらと鍋なんて食べることができるだろうか。


「墨男はこの場に控えていなさい。いいですね?」

「かしこまりました。」

紫月が命令すると、墨男はリコとセリナの後ろに移動し正座。


「では、いただきます。」

墨男が座った所を見届けると、紫月は食事を開始した。


無言でもぐもぐ食べる紫月。

天ぷらを凄い勢いで食べている。いや、まるで吸い込まれているように見える。

は、速い!

意外と食いしん坊なのだろうか?


1分程度で大エビを3尾、ナスとピーマンをペロリ。


(ねぇセリナ。この子めっちゃ食べるやん。)

(ねぇリコ。私ら今からこの量を食べるの??)


2人が呆気にとられ紫月を見ていると、紫月が食事の手を止めた。

食事にだけ集中しているように見えたが、リコとセリナがまだ料理に手をつけてないことに気づいたのだ。


「どうかしたんですか?…………………毒なんか入っていませんよ。」

何やら勘違いさせてしまったようだった。

表情が…どこか悲しそうに見える。


「あっ…すいません、私は猫舌なので少し天ぷらを冷まそうとしていました。」

「ウチは、何から食べようか迷ってたんです。」


咄嗟に言い訳をしたセリナとリコ。

紫月の食べっぷりに驚いただけなのだが、実際にセリナは猫舌だし、リコは鍋が嫌いな食材だらけで食べる順番に悩んでいたので別に嘘はついていない。


「…そうでしたか。ごめんなさい、失礼なことを言いました。ゆっくり召し上がってください。」

紫月は自分の早とちりからの言動に謝罪した。

無表情だが、ちゃんと謝ってくれているのは伝わる。


「いえ、こちらこそ。せっかく出された料理に失礼しました。」

セリナが謝ると、紫月の纏う雰囲気が柔らかくなったような気がした。


そしてリコとセリナは改めて目の前の料理を見る。

熱々でボリュームたっぷりの天ぷらと、ネギなどお野菜たっぷりの鍋。よく身の付いたカニ。小鉢。

このファミリーサイズの土鍋が1人1個だと?


(リ、リコ…私は食べるよ…もう熱いのと…胃もたれは…頑張ろう。)

(セ、セリナ…ウチ頑張る。まずはネギを…!)

2人とも覚悟を決めた。


手を合わせ

「「いただきます。」」

食事を開始。


セリナは最初に天ぷらから。

大エビをツユにつけてフーフー。

十分冷ましたところで1口。

そのお味は…


「えっっっっうまっ…ぉお美味しい!!」


うまい!!!と叫びそうになったが、姫様の前では不適切なので言い直した。

だが声のボリュームまでは抑えきれなかった。

だってしょうがないじゃない。美味しいんだもの。


「ありがとうございます。その天ぷらは墨男が作ったものです。」

セリナのリアクションに紫月は満足そうだ。

無表情だが。


「す、墨男さん。凄いですね!揚げているのにエビが大きくてプリプリだし、何よりこのツユ!手作りですよね!この味ならいくらでも食べられそうです!」


墨男のいる方に振り返り、目をキラキラさせながら感想を伝えるセリナ。

満面の笑みである。


「お、お褒めに預かり光栄です。あ、ありがとうございます。」

褒められたのにちょっとオドオドしている墨男。

照れているのだろうか?


「じゃあ次はお鍋を…」

セリナはドキドキしながらカニを小鍋にいれた。

カニが大好物というのもあるが、天ぷらの出来の良さを味わった後では鍋の期待も高まるというもの。


カニに火が通った。

ポン酢につけて1口。


「〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


次は言葉が出なかった。出せなかった。

カニと出汁の味を噛み締めたくて。


「セリナさんは本当に美味しそうに食べますね。」

紫月が目を大きくした。

そういう紫月もとっくに天ぷらを平らげている。


「え?そうですか?」

これだけ美味しいと普通では?と思ったセリナ。


「はい、とっても。私もお腹が空きました。」

そう言うと紫月は食事に戻った。

あれだけ食べてまだお腹が空いていると言うのか。


「私も食べよ。あれ…なんか手が伸びてきて…」

セリナの元へ伸びる1本の腕。

箸の先にネギを連れている。


「…セリナ〜ネギ食べて。」


腕を伸ばしていたのはリコだった。

紫月が食事の為に下を向いているうちに、嫌いなネギを押し付けようとしていたのだ。

そして、その現場を見ている墨男には人差し指を立て、シーっと口止めをした。


「ちょっリコ、行儀悪いよ。もう…渡すならさっさと渡してよね。」

「分かってるって。その、ポン酢が入ってる皿ちょうだい。そこに入れるから。」


紫月にバレないよう小声で話す2人。


仕方ない、とセリナがリコに皿を渡そうとしたその時だった。


「墨男。今、2人が何をしていたか話しなさい。」

普通に紫月にバレた。しかも…怒っている。

いや、それにしては空気がおかしい。


たかが嫌いな食べ物を押し付けた程度で人を殺しそうな目で見られるものだろうか?


「セ、セリナ。ウチら殺される?」

「この世界じゃさっきのはタブーだったのかも。」


リコとセリナは逃げようと考えた。

だがどこへ?ここは紫月が案内した場所で逃げ場があるとは思えない。それに逃走は無理だと判断したではないか。


さらに、2人で頭を抱えていると

「はい。リコ様がセリナ様に苦手なネギを渡そうとしていました。」

墨男がリコの所業を堂々とチクった。


(す、墨男さん!ウチらそれで殺されそうなんだけど!)

(えー!言っちゃったぁ!)


同じタイミングで墨男の方へ振り返り、今回は庇ってくれなかった墨男のことを内心攻めた。

でも当然のことだ。墨男は紫月の従者なのだから。


((終わった〜〜〜〜))

そう思ったリコとセリナは手を繋いで紫月の方へ首を戻すと、彼女は意外な反応を見せていた。


「ネ、ネギを?墨男、ほっ本当なの?」

「はい。姫様に嘘などつきません。」


急にアワアワしている。

出されたものを人にあげたから怒ったのではなかったのか?


「あ、あの。本当にすいませんでした…。私は少し退出します。お2人はどうぞ食事を続けてください。」


「姫様、お供します。セリナ様、リコ様。次の料理は他の者が運びます。どうぞ、ごゆっくり。」

紫月に続いて墨男まで出ていってしまった。



部屋に残されたのはリコとセリナだけ。

勿論、2人ともポカンとしている。

((どういうことだってばよ???))

手は握ったまま。


「…セリナ、ウチらこの先やっていけるかな?」


「リコ、同じこと考えてた。プラスもう1つ、同じことを考えてると思うんだ。」


「ふっさすが。ウチら親友だわ。」


「これからもよろしくな。」


意気投合したところで顔を見合わせる。


そして、2人で息を合わせて言った。


「「次の料理だって????」」

目の前には大量の天ぷらと殆ど減っていない鍋。




果たして、リコとセリナは無事に元の世界へ帰れるのだろうか?

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