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お昼の時間です  作者: ゴマサバ
第一の世界
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4/53

初!異世界!

「「「「行ってきます!」」」」




佐々木さんに見送られながら虹色の道を進む、

ユキミ、ミキ、リコ、セリナ。


意外と道のりは長く、50mほどありそうだ。


「この道意外と長いねー」


「まぁすぐ着くし、いーじゃないの。」


「どんなところなんだろー」


「迷子にならないようにしないとね。」


などと、リコとセリナがなんでもない会話をしているうちに、ドアの前にたどり着いた。


「結構頑丈そうなドアだねー!」


視力の問題で、店からはドアが見えなかったミキ。

ようやく近くで見れて嬉しそうだ。


「ドアはユッキー開けなよ。」


「え、あたし!?なんで!」


「ユッキーがこの中で一番誕生日早いじゃん。」


「えぇー関係なくね……わかったよぉ。」


リコにグイグイ押されて、最後尾にいたユキミが前に出た。


「じゃあ、開けまーす。」


ゆっくり、ドアが開く。


4人は期待に胸を弾ませて、向こう側を想像した。


そして、ドアが完全に開くと……


「「「「うわっ眩しっ」」」」


四人同時に同じ言葉を放った。

今いる空間が暗かったので、外の光が眩しすぎた。


ガラガラガラッ


まだ何も見えないが、あまり聞きなれない音が聞こえてくる。


5秒ほどでようやく目が慣れてきたので、少しづつ目を開くユキミ、ミキ、リコ、セリナ。

そして全員が目を開いた時、目の前には信じられない光景が広がっていた。


「「「「ひょええええぇーーーーーー!?」」」」


まず目に入ったのは立派な噴水。

まっ白な噴水だが、どこにも汚れた箇所が見つからない。

透明な美しい水が流れ、その真ん中には天使の彫刻が立っていた。


今にも羽ばたきそうな、愛らしい彫刻だ。


こんなに綺麗な噴水を、今までに見たことがあっただろうか?


噴水に見蕩れていた4人は次に、その奥に見える街並みに目を奪われた。


噴水の先には西洋風の豪華な建物が。

誰かのお屋敷だろうか、なんともオシャンティーでレトロチックな雰囲気だ。


それぞれの屋敷の窓には美麗なステンドグラス。

先ほどの噴水にいた天使や、バラなどの優美な花が描かれている。


多いのはバラと……藤の花だろうか?

ステンドグラスに藤のイメージはないので、少し不思議だ。


((((ほえー……))))


街の景色に見蕩れてポーっとする四人。

圧倒されて、誰も言葉を発していない。


その目の前を、ゆったりと白いパラソルが横切っていった。


そちらに目をやると、パラソルの持ち主は高級そうなドレスを身にまとった貴婦人だった。


貴婦人を見て、服装の違いに気がついた四人は、建物の周りの人々に注目する。


女性は西洋風の屋敷に合わせてドレスの人もいれば、着物に袴とハイカラさんスタイルの人、他にはシンプルに着物の和装コーデの人がいた。

男性は羽織を着た袴姿だったり、上等なスーツを纏っていたり。


ヒヒーンッ


今度は馬の鳴き声が聞こえた。

なるほど、最初にガラガラガラッと聞こえていたのはシックな馬車だったのだ。


「「「「……」」」」


街並みを前に停止していた四人だが、少しづつ落ち着いたことによって、ようやく時が動きだす。


「「「「す、すごーーーーーーい!」」」」


「凄いめっちゃ綺麗!」「きゃーーー!」「えもーい」「ここが異世界!!」


四人が来た場所は、洋と和が入り交じった世界。


当然、テンション爆上がりだ。


それぞれ感情に任せてキャーキャー騒いでいると、ミキがあることに気がついた。


「ってえええええええええぇ!?」


「ミキどうしたの!……あっ」


セリナの驚く声に、ユキミとリコも視線を向ける。


「「あれえええええ!!!」」


今度は2人同時に叫び声をあげた。


いったい、何があったの言うのか。


「「「「服が違う!!」」」」


そう。


なんと、四人の服装がスウェットからハイカラさんコーデに変わっていたのだ。

着物部分はそれぞれ上品な花柄で、清楚ながらも華やかな印象。

袴はほんの少しだけ花の刺繍が施されているが、無地の部分が多く着物とのバランスがいい。


何故かユキミとセリナが青い着物で、ミキとリコは赤い着物だった。


「みんな似合ってんじゃーん」

「みんなビジュいいじゃーん」

「みんなカワイイじゃーーん」


リコの呑気な発言に始まり、のっかるミキとセリナ。お互いを褒めながら謎のダンスをしている。


そんな三人を見てユキミは、


「いや適応力高いな!?」


もっともなツッコミを披露。


「それにしても、まさか本当に異世界に行けるなんてね!めっちゃ綺麗!」


「ねぇ!でも意外とファンタジーって感じじゃないね。」


リコに同意するも、少し首を傾げるセリナ。

異世界と聞いて、魔法云々の世界を想像していたからだ。


「確かに。ちょっと昔の日本に見えるかも?」


ユキミが建物をまじまじと見ている。


言われてみれば、着物なんかは日本の服だ。それに建物は殆どが洋風だが、そこにいる人々は日本人に見える。


「まぁ、なんでもいいじゃん。こんなに綺麗なら!」


「「確かに!」」


このリコの発言に、頷く他3人。

4人ともあまり深くは考えない。そういう性格なのだ。


そんなこんなでワイワイ騒いでいると、


「あっもう十分経つわ。もうそろそろ戻ろう!」


ミキが持参した時計を見ながら、三人に向かって叫んだ。


「え〜もう帰る時間なのぉ。あと二分ダメ?」


「セリナは残ってもいいよ?ウチら三人で帰るから。」


「何言うとんねん!それならリコも道連れ!」


「やめろぉおおーーーひっぱるなぁああーーー」


リコの軽口から、引っ張り合いをしながらグルグル回る二人。

戻ると言っているのにドアからどんどん離れていく。


「コラコラ二人とも、帰るよー。」


ミキが呼ぶと、両者ともパッと手を離す。

だが、すぐにドアに移動したのはセリナだけであった。


「目が……世界が回ってる……おのれセリナ!!」


リコはフラフラしながら、ゆっくり向かっている。


その途中、


ドンッ


誰かと肩がぶつかってしまった。


「あっすみません!大丈夫ですか?」


リコが少しよろけた。

ぶつかってしまった相手に謝ろうと振り返るが、


「ん?」


同じ目線に人がいない。

もしや転けてしまったのかと下に目を落とすと、信じられないものを見た。


「も、申し訳ございません!!赤の御方になんというご無礼を!!」


なんと、相手は全く悪くないのにリコに向かって土下座をしていたのだ。

黒い忍者のような服を着た、若い男性だった。


「え!?いやいや、悪いのはこっちですから!」


どうして土下座をされたか分からずに、困ってしまうリコ。


一連の流れを見ていたユキミ、ミキ、セリナも困惑していた。


「ぶつかったのはリコだよね?」


「うん、なんであの人が土下座を…?」


ミキとユキミがコソコソ話をしていると、


「私にも原因あるし、ちょっと行ってくるね。」


セリナがリコと男性の元へ走った。


「あの、すいません。私達がふざけていたからぶつかってしまったんです。すいませんでした。」


セリナも謝る。

だが、何故か男性は萎縮するばかりだ。


リコとセリナが首を傾げていると突然、怒鳴り声が響いた。


「黒が赤の御方にぶつかったという話は本当か!!」


怒声にびっくりしていると、緑色の軍服を着た男が現れた。

精悍で耽美な顔立ちの美男子だが、怒っていてかなり怖い顔になっている。


「お前か!黒の分際で赤の御方にぶつかったという愚か者は!!」


軍服の男性は、土下座をしている黒服の男性を見下ろす。




そして……



「ゴフッ……」



なんといきなり脇腹を蹴りつけたのだ!


当然、苦しそうな黒服の男性。


「うっ……も、申し訳ございません……」


黒服の男性は蹴られたのに、何故かまた謝る。


「すいません!この人からじゃなくて、私がぶつかったんです!」


目の前で起きた暴挙に驚きながらも、リコが間に入った。


「黒が赤の御方に御無礼を働いたと通報が入りましたので、駆けつけた次第です。ご安心を、ここは私が全て片付けさせていただきます。」


リコにはビシッと敬礼をする軍服の男性。

カッコよくキメてはいるが、話が通じていないことは明らかである。


「あの、私達がふざけてぶつかったんです。この人は悪くありません。」


セリナも混じって黒服の男性の弁解をする。

今回は、はっきり「悪くない」と言った。

さすがに通じるだろう。


「青の御方、お怪我はありませんか。この黒は私が責任もって処分しますので、ご安心を。」


「は?」


全く通じなかった。思わずセリナの目が点になる。


そんな事はよそに、軍服の男性はさらに吠えた。


「そこの黒、赤の御方に隠れてないで前に出て来い!青と赤の御方は温情をかけてくださった!!私の剣で苦しませず斬ってやる!!」


かなりとんでもないことを言い出した。

どうやらリコとセリナが黒服の男性を庇っていたことは認識していたようだが、それで斬殺だなんてとんでもない。


「はい……かしこまりました.……」


さらに信じられないことに、黒服の男性が言われるがままに軍服の男性の前へ這い出ようとしている。


もちろん、そんなことはさせられない。


「なんでですか!殺すだなんてやめてください!」


「出て来ないでくださいぃ.……!」


セリナが軍服の男性に訴え、リコは這い出てくる黒服の男性を抑える。


そんな二人を、軍服の男性は不思議そうに見た。


「どうしてこの“ 黒”を……もしや脅されているのですか?この黒になにを言われましたか?」


そして的外れな解釈で、どんどん顔が怖くなっていく。


「だから!どうして!そうなるんです!?」


セリナはこめかみを押さえながら叫んだ。

頭が痛くなったらしい。ふたつの意味で。


そんなやり取りをしていると、自分たちが帰るドアの方からも叫び声が。


「リコ!セリナ!もうすぐ時間になっちゃう!」


ミキだった。いつでも飛び込めるよう合言葉を唱え、ドアを開いて準備している。

ユキミは顔を青くして待っていた。


((やっば!!))


焦るリコとセリナ。

だがこのまま黒服の男性を置いていけるはずもない。


(どうしよう……このまま放っておけないけど、残ったとして私達はどうしよう……)


セリナが悩んでいると、


「セリナ。ウチら残ろう。」


リコから声をかけられた。


その提案に驚きはしなかった。

だが簡単に認めてはいけないことぐらいは、今のセリナにも分かる。


「リコ、ここは異世界だよ?どこか全く分からない。知らない場所だよ。」


「でも死ぬよ?この人。ウチらのせいで。」


それを言われると痛い。

だが、決断できる一言だった。


「……そうだね、残ろうか。まぁ当然だよね。」


この世界の誰かを救わなきゃいけないのに、誰かを見捨てては何の意味もない。

しかも、自分達がまいた種なのだ。自分たちで何とかしなくては。


2人ともそう思っての選択なのだ。


セリナも覚悟を決める。

そして叫ぶ。


「ミキ!ユキミ!先に帰って佐々木さんに知らせて!私らは明日の11時に戻る!ように頑張る!」


「「え!?!?」」


混乱するミキとユキミ。


「え!?……うぅん、分かった!あっそうだこれ!」


ミキが何かを投げて、リコがキャッチ


「ちゃんと知らせてくる!ユキミ、早くこっち!」


「え?でもっ……」


まだ戸惑っているユキミをミキが力ずくでドアに引っ張る。


「ユッキー!なんとかする、まかせろー!」


そんなユキミを見てリコはピースサイン。



まだ不安な表情のままのユキミだが、ミキに連れられドアの中に消えていくのだった。



そうしてユキミ、ミキはドアを通じて自分たちの世界へ帰還。


リコ、セリナは異世界に残留。





果たして四人は、初回からこの調子で大丈夫なのだろうか...……

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