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お昼の時間です  作者: ギーク
第一の世界
4/19

初!異世界!

「「「「行ってきます!」」」」




佐々木さんに見送られながら虹色の道を進むユキミ、ミキ、リコ、セリナ。

意外と道のりは長く、50mから60mほどあった。


「この道意外と長いねー」

「まぁすぐ着くしいーじゃないの。」

「どんなところなんだろー」

「迷子にならないようにしないとね。」


などと、リコとセリナでなんでもない会話をしているうちにドアの前にたどり着いた。


「結構頑丈そうなドアだねー!」


視力の問題で店のドアからでは道の先のドアが見えなかったミキ。ようやく近くで見れて嬉しそうだ。


「ドアはユッキー開けなよ。」

「え、あたし!?なんで!」

「ユッキーこん中で1番誕生日早いじゃん。」

「えぇー関係なくね…わかったよぉ。」


リコにグイグイ押されて、1番後ろにいたユキミが前に出る。



「じゃあ、開けまーす」

ゆっくり、ドアを開けた。


4人は期待に胸を弾ませてドアの向こう側を見る。

いったいどんな世界なのだろうと。


そしてドアが完全に開くと…


「「「「うわっ眩しっ」」」」


4人同時に同じ言葉を放った。

今いる空間が暗かったので、ドアの外の光が眩しすぎたのだ。


ガラガラガラッ


まだ何も見えないが、あまり聞きなれない音が聞こえてくる。


5秒ほど経って、ようやく目が慣れてきたので少しづつ目を開くユキミ、ミキ、リコ、セリナ。

そして全員が目を開いた時、目の前には信じられない光景が広がっていた。


「「「「ひょええええぇーーーーーー!?」」」」


まず目に入ったのは立派な噴水。まっ白な噴水だが、どこにも汚れた箇所が見つからない。透明な美しい水が流れ、その真ん中には天使の彫刻が立っている。今にも羽ばたきそうな愛らしい彫刻だ。

こんなに綺麗な噴水を、今までに見たことがあっただろうか?


噴水に見蕩れていた4人は次に、その奥に見える街並みに目を奪われた。


噴水の先には西洋風の豪華な建物が。うーん、屋敷だろうか?なんともオシャンティーでレトロチックな雰囲気だ。

それぞれの屋敷の窓には美麗なステンドグラス。先ほどの噴水にいた天使や、バラなどの優雅な花が描かれている。1番多いのはバラと…藤の花だろうか?

ステンドグラスに藤のイメージはないので少し不思議だ。


街の景色に見蕩れてポーっとする4人。

圧倒されて誰も言葉を発していない。


すると、その目の前をゆったり白いパラソルが横切ってゆく。

そちらに目をやると、パラソルの持ち主は高級そうなドレスを身にまとった貴婦人だと分かった。

あんなドレス、見たことがない。


貴婦人を見て、服装の違いに気がついた4人は建物の周りの人々に注目した。


女性は西洋風の屋敷に合わせてドレスの人もいれば、着物に袴とハイカラさんスタイルの人、他にはシンプルに着物の和装コーデの人がいた。

男性は羽織を着た袴姿だったり、上等なスーツを纏っている。


ヒヒーンッ


今度は馬の鳴き声が聞こえた。

なるほど、最初にガラガラガラッと聞こえていたのはシックな馬車だと分かった。御者はお髭がダンディな紳士だ。


「「「「...」」」」


街並みを前に停止していた4人だが、街を一通り見て少しづつ落ち着いたことによって、ようやく時が動きだす。


「「「「す、すごーーーーーーい!」」」」


「凄いめっちゃ綺麗!」「きゃーーー!」「えもーい」「ここが異世界!!」


4人が来た場所はどこか懐かしい香りを感じる異世界。当然、テンション爆上がりの4人。それぞれ感情に任せてキャーキャー騒いでいると、1人があることに気がついた。


「ってえええええええええぇ!?」

声を上げたのはミキ。


「ミキどうしたの!」


セリナがミキを見る。同じタイミングでユキミとリコもミキの方を見た。


「ええええええええええっ!?」

今度は3人が同時に叫び声をあげた。


「あれっっっっっみんなの服が違う!!!」

4人の変化を指摘したのはユキミだ。


なんと、4人の服装がハイカラさんコーデに変わっていたのだ。

着物部分はそれぞれ上品な花柄で、清楚ながらも華やかな印象。袴はほんの少しだけ花の刺繍が施されているが、無地の部分が多く着物とのバランスがいい。


何故かユキミとセリナが青い着物で、ミキとリコは赤い着物だった。


「みんな似合ってんじゃーん」

「みんなビジュいいじゃーん」

「みんなカワイイじゃーーん」


リコの呑気な発言に始まり、のっかるミキとセリナ。お互いを褒めながら謎のダンスをしている。


そんな3人を見てユキミは

「いや適応力高いな!?!?」

もっともなツッコミを披露。


「それにしても、まさか本当に異世界に行けるなんてね!めっちゃ綺麗!」

「ねぇ!でも意外とファンタジーって感じじゃないね。」


リコに同意するも、少し首を傾げるセリナ。

異世界と聞いて、魔法云々の世界を想像していたからだ。


「確かに。ちょっと昔の日本に見えるかも?」

ユキミが建物をまじまじと見ている。


言われてみれば、着物なんかは日本の服だ。それに屋敷は洋風だが、そこにいる人々は日本人に見える。


「まぁ、なんでもいいじゃん。こんなに綺麗なら!」


このリコの発言で「確かに!」と頷く他3人。

4人ともあまり深くは考えない。そういう性格なのだ。


そんなこんなでワイワイ騒いでいると、

「あっもう10分経つわ。もうそろそろ戻ろう!」


ミキが持参した時計を見ながら3人に向かって叫んだ。


「え〜もう帰る時間なのぉ。あと2分ダメ?」

「セリナは残ってもいいよ?ウチら3人で帰るから。」

「何言うとんねん。それならリコも道連れやろ。」

「やめろぉおおーーーひっぱるなぁああーーー」


リコの軽口から引っ張り合いをしながらグルグル回る2人。戻ると言っているのにドアからどんどん離れていく。


「コラコラ2人とも、帰るよー。」


ミキが呼ぶとちゃんと2人とも手を離してドアに向かった。

だが、すぐにドアに到着したのはセリナだけであった。


「目が…世界が回ってる…おのれぇセリナ…」


リコはフラフラしながら、ゆっくり向かっている。


その途中、

ドンッ

誰かと肩がぶつかってしまった。


「あっすみません!大丈夫ですか?」


リコが少しよろけた。


ぶつかってしまった相手に謝ろうと振り返るが、同じ目線に人がいない。

もしや転けてしまったのかと下に目を落とすと、信じられないものを見た。


「も、申し訳ございません!!赤の御方になんて無礼を!!」


なんと、相手は全く悪くないのにリコに向かって土下座をしていたのだ。

黒い忍者のような服を着た、若い男性だった。


「え!?いやいや、悪いのはこっちですから!」

どうして土下座をされたか分からずに、困ってしまうリコ。


一連の流れを見ていたユキミ、ミキ、セリナも困惑していた。


「ぶつかったのはリコだよね?」

「うん、なんであの人が土下座を…?」


ミキとユキミがコソコソ話をしていると、


「私にも原因あるし、ちょっと行ってくるね。」

セリナがリコと男性の元へ走った。


「あの、すいません。私達がふざけていたからぶつかってしまったんです。すいませんでした。」


セリナも謝る。

だが、何故か男性は萎縮するばかりだ。


リコとセリナが首を傾げていると突然、怒鳴り声が響いた。


「黒が赤の御方にぶつかったという話は本当かぁぁあぁ!?!?」


大音量の怒声にびっくりしていると、緑色の軍服を着た男が現れた。鬼の形相。

精悍で耽美な顔立ちの男前だが、怒っていてかなり怖い顔になっている。


「お前か!黒の分際で赤の御方にぶつかったという愚か者はぁあ!」


軍服の男性は土下座をしている黒服の男性を見下ろす。




そして..……



「ゴフゥッ」



なんといきなり脇腹を蹴りつけたのだ!


当然、苦しそうな黒服の男性。

「うっ...も、申し訳ございませんっ...」


黒服の男性は蹴られたのに、何故かまた謝る。


「すいません!この人からじゃなくて、私がぶつかったんです!」


目の前で起きた暴挙に驚きながらも、リコが間に入った。


「黒が赤の御方にぶつかったと通報が入りました!それで駆けつけた次第です!ご安心を!ここは私が全て片付けさせていただきます!」


リコにはビシッと敬礼をする軍服の男性。

カッコよくキメてはいるが、話が通じていないことは明らかである。


「あの...私達がふざけてぶつかったんです。この方は悪くありません。」


セリナも混じって黒服の男性の弁解をする。今回ははっきり「悪くない」と言った。さすがに通じるだろう。


「これは青の御方!!お怪我はありませんか!この黒は私が責任もって処分します!ご安心を!」

全く通じなかった。思わずセリナの目が点になる。


そんな事はよそに、軍服の男性はさらに吠えた。


「そこの黒!赤の御方に隠れてないで前に出て来い!青と赤の御方は温情をかけてくださった!!銃で即死させてやる!!」


かなりとんでもないことを言い出した。

どうやらリコとセリナが黒服の男性を庇っていたことは認識していたようだが、それで銃殺だなんてとんでもない。


「はい...かしこまりました...」


さらに信じられないことに、黒服の男性が言われるがままに軍服の男性の前へ這い出ようとしている。


もちろん、そんなことはさせられない。


「なんでですか!銃殺だなんてやめてください!」

「出て来ないでくださいぃ...!」


セリナが軍服の男性に訴え、リコは前に這い出てくる黒服の男性を抑える。


そんな2人を軍服の男性は不思議そうに見た。


「...どうしてそこまでこの無礼者の黒を?も、もしや脅されているのですか!この黒になにを言われましたか!」


そして的外れな解釈でどんどん顔が怖くなっていく。


「だから!どうして!そうなるんです!?」


セリナはこめかみを押さえながら叫んだ。

頭が痛くなったらしい。ふたつの意味で。


そんなやり取りをしていると、自分たちが帰るドアの方からも叫び声が。


「リコ!セリナ!もうすぐ14時になっちゃう!」


ミキだった。いつでも飛び込めるよう合言葉を唱え、ドアを開いて準備している。

ユキミは顔を青くして待っていた。


まずい!と焦るリコとセリナ。

だがこのまま黒服の男性を置いていけるはずもない。


(どうしよう...このまま放っておけないけど...残ったとして私達はどうしよう...)

セリナが悩んでいるとリコから声をかけられた。


「セリナ。ウチら残ろう。」


その提案に驚きはしなかった。だが簡単に認めてはいけないことぐらいは今のセリナにも分かる。


「リコ、ここは異世界だよ?どこか全く分からない。知らない場所だよ。」

「でも死ぬよ?この人。ウチらのせいで。」


それを言われると痛い。

だが、決断できる一言だった。


「.........そうだね。残ろうか。まぁ当然だよね。」


この世界の誰かを救わなきゃいけないのに、誰かを見捨てては何の意味もない。

しかも、自分達がまいた種なのだ。自分たちで何とかしなくては。

2人ともそう思っての選択なのだ。


セリナも覚悟を決める。

そして叫ぶ。


「ミキ!ユキミ!先に帰って佐々木さんに知らせて!私らは明日の11時に戻る!ように頑張る!」


「「え!?!?」」

セリナの叫びに混乱するミキとユキミ。


「え!?...うぅん...分かった!あっそうだこれ!」

ミキが何かを投げてリコがキャッチ


「ちゃんと知らせてくる!ユキミ、早くこっち!」

「え?でもっ...」

まだ戸惑っているユキミをミキが力ずくでドアに引っ張る。


「ユッキー!なんとかする、まかせろー!」

そんなユキミを見てリコはピースサイン。



まだ不安な表情のままのユキミだが、ミキに連れられドアの中に消えていくのだった...。





そうしてユキミ、ミキはドアを通じて自分たちの世界へ帰還。


リコ、セリナは異世界に残留。





果たして4人は、初回からこの調子で大丈夫なのだろうか...……

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