にげるぜっ
直方体の艦体の後部左右に、柱でつけられた二基のエンジンユニット。
艦体中央部にはリング状の、多目的ウエポンランチャー。
それに乗るのは、艦の半分より大きい宇宙最強の砲塔。
46サンチ宇宙戦艦大和型主砲。
宇宙戦艦、”やまとん”の平型艦橋の四角い外には沢山の小惑星が漂っていた。
海賊都市、”サルベージ”で最低限の補給を終えた。
一時装甲まで破棄された益荒男は、サクラギとマリアの手により、改めて五層の装甲をつけられ全体的に丸みを帯びた女性的な姿になっていた。
シャルロッテ姫が乗るために白く塗られている。
益荒男は、シャルロッテ専用宇宙戦闘機、撫子に生まれ変わったのだ。
ツツーツー・トン・ツツーツー
ダークマター通信機がモールス信号を叩く。
「アルフレッド第一王子が、”ベーリン”から出た様じゃノウ」
シャルロッテ第二王女が、風魔のシノビから《《リアルタイムで》》送られてくる通信内容を言った。
「臆病者の王子が変じゃノ」
戦争中は後方から一切出てこなかったのだ。
「ふむ、戦艦、”テルピッツ”と、”ドイッチェランド”級装甲艦二隻ジャ」
「……ふむふむ、二隻とも第一王妃の派閥の中心貴族じゃないカ」
いま、宇宙戦艦、”やまとん”は海賊都市、”サルベージ”を出港し、ガーゴイルルートを航行中だ。
入ってきた方の反対側。
東和領の主都、”トーキオ”を目指している。
シャルロッテの祖父に助けを求めるためである。
「でも」
マリアがコスモレーダーを操りながら言う。
「追いつかれるわよ」
レーダー上に四つの丸。
後ろの三つが前の丸に追いついた。
前がやまとんで後ろが王子たちだ。
戦艦、”文福茶釜”にも連絡を入れた。
東和の領主軍にも助けを求めた。
だが、”やまとん”は、戦艦と名乗っていても小型の輸送船に過ぎない。
(本物の)戦艦の船足にはかなわず、合流する前に追いつかれてしまう。
「ここに逃げ込みましょう」
サカイがメインのモニターに映像を映す。
バー、”パルチザン”で手に入れたものだ。
青い地球型惑星が映った。
「no.753、戦争の影響で植民されなかった無人惑星です」
「”穴熊”作戦か?」
海野九三艦長が重々しく言った。
元々は昔、旧東和軍が超大国、”アメリゴ”に対して行った作戦である。
基本的に、宇宙戦艦には大気圏突入能力は無い。
その前で、大気圏内で活動可能な船で大気圏内に逃げこみ、玉砕覚悟の足止めをする作戦。
それが、”穴熊”作戦の内容である。
地上に逃げた船は、惑星軌道上からの艦砲射撃から逃げ続けなければならないのだ。
「助けが来るまでここで粘りましょう」
元ガチのゲリラ兵であるサカイが誇らしげに言った。
「…………」
「あ~、師匠はこういう状況下でよく戦っていたのジャヨ」
サカイの発言に少し引き気味のレイカに、シャルロッテが言い訳するように言った。




