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異世界彼女は純和風  作者: 凪沙一人
守れるのは自分
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拾参葉 ‡ 色葉の妹

複雑な筝葉の胸中

「いいの? 」

 何故か、筝葉の態度が申し訳なさそうに見える。

「どうして? 」

「お姉ちゃんたちの邪魔かなぁって・・・ 」

「子供が、そんな心配しなくても大丈夫だって。」

 すると急に筝葉が怒りだした。

「子供、子供って、あんただって、まだ書生でしょ!? 」

「よく学生だって分かったね? 」

「見りゃ分かるわよ。魔法も使えない劣等種が… 」

「筝葉っ! 」

 この時の色葉は、怒りと哀しみの同居したような複雑な表情をしていた。

「ふん、何よっ! お姉ちゃんの馬鹿ぁっ! 」

 叫ぶが早いか、筝葉は飛び出して行った。色葉は筝葉が僕を差別した事が堪らなかったのだろう。筝葉は大好きだった姉が僕の事で怒った事、自分の所為で哀しませた事が堪らなかったのだろう。

「すみません。あたし、追いかけてきます。」

「僕も行く。」

「でも、今、直が行ったら逆効果に… 。」

「さっきの奴らが居たら、筝葉じゃ太刀打ち出来ないだろ? 」

 僕がそう言うと、色葉も頷いてくれて二人で後を追った。



「痛ぇてててて。くそ、あのガキ、何を… 。」

「えっ!? 」

 吹き飛ばされた大男と出会してしまった筝葉は思わず声をあげてしまった。

「手前ぇは、さっきの小娘っ! 今度こそ逃がしゃしねぇぞっ! 」

 筝葉も一所懸命に走ったが、子供の足、それも着物姿では、こちらの世界で目立たぬよう、洋服に着替えた大男。多少、裾が邪魔臭くも思えたが子供一人を追うのに支障は無かった。右も左も分からない異世界の中華街。筝葉にとっては見慣れぬ風景と違和感の半端ない日本語に囲まれて、不安しかなかった。

「追い詰めたぞ、小娘っ! 」

 筝葉は行き止まりの路地に追い詰められていた。

「お巡りさ~ん、ここで変態ロリコン大男が、いたいけで可憐な美少女を襲ってまぁ~すっ! 」

「お巡り!? この世界の町方か。くそっ。」

 大男は慌てて走り去って行った。

「大丈夫? 怪我は無い? 」

「あ、はい。ありがとうございます。その、お巡りさんって? 」

「あれ? あれは嘘。」

「どうして助けてくれたんですか? 」

「そりゃ、こんな、いたいけで可憐な美少女が襲われていたら助けるでしょ? 可愛いは正義っ! それに色葉ちゃんに似てたし… あ、色葉ちゃんっていうのは、お姉さんのお友達。」

「えっ!? お姉ちゃんのお友達ですか!? 」

「えっ!? 色葉ちゃんの妹!? どうりで似てる訳だ。私は北条美雲。色葉ちゃんは一緒じゃないの? 」

「お姉ちゃんは… 多分、あいつと一緒に… 。」

「あいつ? あぁ、鍋島さんの事か。… そっか、色葉ちゃんを鍋島さんに取られたと思ったんだ? 」

「だ・・・だって、お姉ちゃん… お姉ちゃんったら… うぇ~ん 」

 筝葉は北条さんに泣きついた。

「大友っ。鍋島さんに連絡っ! 」

「えっ!? あ、俺? 何て? 」

 この時、遅れてやって来た大友には、状況が飲み込めていなかったらしい。

「色葉ちゃんの妹さん、見つけたって。場所も知らせるの、忘れないでね。」

 こうして大友から連絡を貰った僕は、急いで色葉と駆けつけた。

「筝葉っ! 」

「お姉ちゃんっ! 」

 筝葉は一直線に色葉の胸に飛び込んだ。北条さんの話しでは、どうやら予想通り、また奴らに狙われたらしい。

「ねぇ、警察に相談した方がいいんじゃない? 」

「それダメっ! 」

 北条さんの提案を真っ先に否定したのは当の筝葉だった。恐らく、これ以上この世界を巻き込んではいけないと思ったのだろう。

「あ、北条さん、あたしたちは… 直が、直が守ってくれるから大丈夫です。」

 色葉はフォローしたつもりなのだろうが、全然フォローになっていない。

「はいはい。色葉ちゃんは鍋島さんが居れば大丈夫なのよねぇ。私も気をつけておくから。」

「ありがとうございます。」

 色葉が深々と頭を下げた。北条さんは何とか誤魔化されてくれたのだろうか? 実際に警察に動かれたら、話しが僕の手に負えなくなってしまうだろう。

「んじゃ、俺も見回りとか… 」

大友あんたはストーカーとかと間違われて、話しが面倒になるからいいわ。」

 いつも通り、大友は全てを言い終わる前に北条さんに遮られた。そんな様子を筝葉は驚きと羨望の眼差しで見ていた。

「美雲お姉さまっ! 」

「えっ!? 」

 突然、筝葉に手を握られて、さすがの北条さんも驚いていた。

「殿方を相手に、その毅然とした振る舞い。筝葉、感動いたしました。是非、お姉さまと呼ばせてくださいっ! 」

 察するに、O.E.D.O.では家の中ではともかく、外の、それも他人の前で女性が男性を嗜める事は皆無なのではないだろうか。北条さんが戸惑ったのは一瞬だった。すぐさま、筝葉の事を抱き締めていた。

「うんうん、呼んで呼んで。私も、こんな可愛い妹が欲しかったのっ! 」

 なんとも、色葉といい、筝葉といい、北条さんは女子受けがいいらしい。ただ、これで北条さんまで奴らに狙われたりは、しないだろうか? こちらの世界の人間だからといって、狙われないとは限らない。さすがに三人を同時に守り抜くのは大変だし、北条さんは僕と常に一緒に居る訳じゃない。それに北条さんに魔法を見られた時に何と説明をすればいいのやら。

頼れる美雲姉様

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