彼女の行ってみたいトコ
校舎裏から体育館、部活棟に南校舎・北校舎…思いつく限りの美晴が行きそうな所を
俺と沙都子と修二、三人で探したが…見つけることができなかった。
「駄目ね、本当に見つからない。靴を履かないで行ける場所は全部探したのに…」
沙都子が多少疲れた顔でぽつりと言った。
「いや…上履きのままフラッとどっかに行ってるとか?」
修二が真面目な顔で考えこむ。
「「追い詰めたからね…」」
二人がじろりと俺を睨んできた。
「んなっ……。」俺は声を一瞬あげて…黙り込んだ。
いや…その通りなんだけどさ。
今回の美晴失踪は100%俺のせいだ。
彼女に酷い言葉を吐き、傷つけた。
かっこつけてばかりで素直になれなかった…俺のせい。
「ねえ、ここにいても仕方ないし私幼稚舎のほう見てくる。修二…あんたは中学のほう見てきてよ。」
沙都子が窓の外を見ながらそう言った。
外は薄暗くなってきていて、日没までもう少しというところだ。
これ以上見つからないなら大事になるかもしれないが
先生とか大人に相談しないといけない。
どこにいるんだよ…美晴。
俺は必死に思い出そうとした。
最近話した彼女との会話…ニコニコと笑う美晴はなんと言ってたっけ。
『なぁ…行ってみたいとことかねえの?』
弁当作って貰ってるし…って事をダシにして、美晴とどっかに出かけたかった。
こんな自販機前で喋るだけじゃなくて、デート…しかったんだよな。
それなのに…
『行ってみたいところですか…?うーん、そうですね…あると言えば1つだけ…』
『なに?どこ?』
『笑わないでくださいね…?』
『笑わないから…どこよ』
『それはですね…屋上です!知ってました?あそこ実は鍵が壊れてて入れるらしいんです!そこから見える景色が絶景だとか。でも…立ち入り禁止なんですよね…うーん。校則違反になっちゃうし…』
真剣に悩む彼女を見て笑ったのは仕方なかったと思う。
だって屋上の鍵が壊れてるのなんて先生方も知ってるし、なんなら喫煙者の先生数名はこっそり屋上を使ってたりしてる。校則違反だ!なんて怒る人は誰も居ないのに。
真面目な美晴が可愛くて…笑うのを止められなかった。
彼女は少しむくれて、『そんなに笑わなくてもいいじゃないですか…』ってしょんぼりしたんだ。
「そうだよ…探してない…!!!」
俺は居てもたってもいられずに、走り出した。
美晴…美晴…お願いだからそこにいて。
今度こそ素直になるから…俺の話を聞いて欲しい。
ちゃんと言うから
好きっていうから。
数年ぶりに更新かけます。まだ読んでくれる人いるんでしょうか?時代も変わって作中にあるメールなんて日常会話で使わねーwwとか思うので不自然な箇所は修正します^^;




