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キラキラネーム魔王の俺、魔王になってみた。  作者: 耀悟


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国王の護衛を引き受ける

ラプトルモンスターによる王都襲撃から、数日が経った。


王都では、あちこちで修復作業が続いていた。


壊れた門は修理され、傷ついた城壁には新しい石が積まれている。


道路も少しずつ元に戻り、商店や食堂も営業を再開していた。


人々の表情にも、ようやく日常が戻り始めている。


そんなある日のこと。


魔王軍が王都で便利屋の仕事をしていると、一人の兵士が走ってきた。


「魔王様!」


魔王が振り返る。


「はい?」


「国王様がお呼びです」


魔王軍全員が顔を見合わせた。


昆布が言う。


「王都防衛についての話でしょうか」


魔王。


「たぶんね」


便意。


「またモンスターが来るんじゃないですよね?」


魔王。


「それだったら、数日前に来たばかりだよ」


殴打。


「行ってみれば分かります」


魔王。


「そうだね」


こうして魔王軍は国王の城へ向かった。


---


国王の城・謁見の間


大きな扉が開く。


ギィィィ……。


その奥には国王がいた。


国王は魔王軍を見ると、笑顔で立ち上がった。


「よく来てくれた」


魔王軍は一礼する。


国王は言った。


「まずは礼を言わせてほしい」


「モンスターから王都を守ってくれてありがとう」


魔王軍全員が笑顔になる。


魔王。


「いえいえ、こちらこそ」


母も笑う。


「みんなで頑張りましたからね」


勇気。


「はい!」


殴打。


「王都を守れてよかったです」


五利武。


「無事に終わって何よりです」


鍋。


「料理も無事でした」


魔王。


「鍋さん、そこなの?」


鍋。


「大事です」


国王は笑った。


「そなたたちらしいのう」


そして国王は少し昔を思い出すように言った。


「最初は、魔王軍が王都に来ると聞いた時は、魔王軍との戦争かと思ったがのう」


魔王軍。


「……」


国王。


「ところが実際には、商人を護衛してきた」


魔王。


「はい」


国王。


「そして王都も守ってくれるとはのう」


魔王軍は笑った。


魔王が頭をかく。


「名前が魔王なだけです」


国王。


「紛らわしいのう」


魔王軍全員が笑う。


魔王。


「よく言われます」


昆布。


「実際、名前だけを見ると誤解されやすいです」


国王。


「魔王軍と名乗っておるのに、便利屋をしておるからな」


魔王。


「魔王軍便利屋です」


国王。


「さらに紛らわしい」


---


国王は笑いながら玉座に座り直した。


「さて、今日はもう一つ話がある」


魔王軍が姿勢を正す。


国王。


「わしは国王じゃ」


「王都だけではなく、他の町や村のことも考えなければならない」


魔王は頷いた。


国王。


「そこで、はじまりの村へ行こうと思っておる」


昆布。


「はじまりの村ですか」


国王。


「うむ」


「実際に町や村を見て、どのような状況なのか、この目で確認したいのじゃ」


魔王。


「それは大切ですね」


国王。


「じゃが、王都の外にはモンスターもいる」


昆布がすぐに察する。


「護衛ですね」


国王。


「その通りじゃ」


「そなた達に、わしの護衛を頼みたい」


魔王は仲間を見る。


昆布が頷く。


魔王。


「便利屋なので、護衛ももちろん承ります」


国王。


「おお!」


「引き受けてくれるか!」


魔王。


「はい」


勇気。


「国王様を安全にお送りします!」


殴打。


「任せてください」


五利武。


「しっかり護衛します」


昆布。


「移動ルートと警戒地点を確認しておきます」


鍋。


「食事も準備します」


母。


「怪我をしたら治しますね」


父。


「精神的な防御も任せてください」


ゴプリン。


「……プリン……守る」


国王。


「頼もしいのう」


---


国王はさらに続けた。


「それから、そなた達には王都で自由に使ってよいものも用意しておる」


魔王。


「自由に使っていいもの?」


国王。


「王都の宿屋じゃ」


「宿泊する時は好きに使ってよい」


魔王軍。


「おお!」


鍋。


「助かります」


国王。


「それから武器屋にある物も、必要なら好きに使ってよいぞ」


殴打が目を輝かせる。


「武器屋もですか?」


国王。


「うむ」


五利武。


「ゴルフクラブも?」


国王。


「必要ならな」


五利武。


「ありがとうございます」


便意も嬉しそうにする。


「杖も?」


国王。


「使ってよい」


便意。


「ありがとうございます!」


魔王。


「それはありがたいですね」


昆布。


「王都を守った報酬という意味でも、非常に助かります」


すると――。


父が手を挙げた。


「質問があります」


国王。


「なんじゃ?」


父。


「酒場のビールは飲み放題ですか?」


謁見の間が静まり返った。


魔王。


「父さん?」


母。


「パパ?」


殴打。


「そこを聞くんですか?」


五利武。


「確かに気になりますけど……」


昆布。


「私は想定していませんでした」


国王は少し考えた。


「……酒場のビールか」


父。


「はい」


国王。


「それは自分で払ってくれ」


父。


「そうですか……」


少し肩を落とす。


その瞬間。


父の首元から声がした。


「何でも奢ってもらえると思うなよ」


父。


「……」


魔王。


「出た」


メンタルアタックネクタイだった。


ネクタイ。


「宿屋と武器屋を好きに使わせてもらえるだけでも十分だろ」


父。


「はい」


ネクタイ。


「ビールくらい自分で払え」


父。


「はい……」


国王が笑い出した。


「そのネクタイ、随分と厳しいのう」


魔王。


「最近よくしゃべるんですよ」


ネクタイ。


「俺は何でも知っている」


魔王。


「それは言い過ぎだと思う」


ネクタイ。


「酒場の料金も知っている」


父。


「そこは教えてくれ」


ネクタイ。


「自分で確認しろ」


父。


「厳しいな……」


母が笑う。


「パパ、頑張って」


父。


「ありがとう」


---


国王はしばらく笑った後、ふと思い出したように言った。


「そうじゃ」


魔王軍が振り向く。


国王。


「王都防衛の報酬もやろう」


魔王。


「えっ?」


国王。


「王都を守ってくれたのじゃ」


「何も報いないわけにはいかん」


魔王。


「でも、宿屋や武器屋も使わせてもらえるんですよね?」


国王。


「それとは別じゃ」


魔王軍がざわつく。


殴打。


「報酬……」


五利武。


「ありがたいですね」


鍋。


「食材が買えます」


便意。


「魔法の道具も……」


昆布。


「今後の活動資金にもできます」


母。


「村の人たちにも何か買ってあげられますね」


ゴプリン。


「……プリン」


魔王。


「ゴプリンさん、報酬でプリンを買うつもり?」


ゴプリン。


「……うん」


魔王。


「即答だね」


国王。


「報酬については、準備が整い次第渡そう」


魔王。


「ありがとうございます」


国王。


「王都を守ってくれた礼じゃ。遠慮することはない」


魔王軍全員が頭を下げた。


「ありがとうございます!」


父だけが小さく呟く。


「これでビールが……」


ネクタイ。


「仕事が終わってから飲め」


父。


「はい」


魔王。


「父さん、ネクタイに管理されてるね」


母。


「パパ、頑張って」


父。


「うん」


---


国王は立ち上がった。


「では、明日から準備を始めよう」


昆布。


「はい」


「まずは王都からはじまりの村までのルートを確認します」


国王。


「頼むぞ、軍師」


昆布。


「お任せください」


魔王。


「今回は王都防衛戦みたいな大きな戦いにならないといいね」


昆布。


「そう願いたいですね」


便意。


「モンスターが出たらどうします?」


魔王。


「できるだけ戦わずに進もう」


殴打。


「でも襲われたら?」


魔王。


「その時は……」


魔王は仲間を見る。


殴打は魔法のバット。


五利武はよく飛ぶゴルフクラブ。


便意は瞬間移動の杖。


母は巨人のしゃもじ。


鍋はヘル鍋。


昆布は光る靴。


勇気は指向性メガホン。


ゴプリンは鋼鉄のプリンカップ。


父は不思議なスーツ。


そして魔王は魔じいちゃんの膝サポーター。


魔王は少し考えた。


「……まあ、何とかなるでしょう」


昆布。


「かなり楽観的ですね」


魔王。


「便利屋だからね」


国王が笑う。


「実に頼もしい便利屋じゃ」


魔王軍も笑った。


こうして――。


魔王軍便利屋に新しい依頼が入った。


依頼主は国王。


依頼内容は、


国王をはじまりの村まで護衛すること。


王都防衛戦とは違う、新たな旅が始まろうとしていた。


ただし――。


魔王軍にはまだ知らされていない。


王都からはじまりの村までの道には、いくつもの危険な地域が存在していることを。


そして、その道中には――。


「次の魔王」を名乗るモンスターたちもいることを。


魔王はそんなことを忘れて、作業服のポケットを確認した。


「安全第一で行こう」


昆布。


「はい」


父。


「酒場にも寄れるかな」


ネクタイ。


「自分で払え」


父。


「分かってるよ」


母。


「パパ、頑張って」


父。


「うん」


ゴプリン。


「……プリン」


魔王。


「プリンも忘れずにね」


こうして、国王護衛の旅が始まる。

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