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キラキラネーム魔王の俺、魔王になってみた。  作者: 耀悟


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メンタルアタックネクタイの恐怖

父さんは構えた。


「メンタルガード!」


父さんの精神力が高まる。


リーマンが目を丸くする。


「またそれですか?」


父さんは堂々と答えた。


「俺の得意技だ」


リーマンはネクタイを握り直した。


「では、私も自分の得意技でいきます」


魔王が嫌な予感を覚えた。


「何をするんだ?」


リーマンはネクタイを持ち上げた。


そして――。


ブンッ!


振り上げる。


父さんが目を見開いた。


「ネクタイを振り上げたぞ」


次の瞬間。


バシンッ!


ネクタイが伸びた。


まるでムチのようにしなりながら、父さんの体に叩きつけられた。


「うっ!」


父さんが一歩下がった。


魔王軍が驚く。


「伸びた!」


「ネクタイって伸びるんですか?」


昆布が冷静に観察する。


「どうやら魔法のネクタイのようですね」


父さんが胸元を見る。


服が切れている。


「痛い……」


魔王が叫んだ。


「父さん、大丈夫?」


父さんは立ち直った。


「大丈夫だ」


そして再び、


「メンタルガード!」


しかし。


リーマンは止まらなかった。


「いきます!」


ブンッ!


バシン!


「うっ!」


ブンッ!


バシン!


「痛い!」


ブンッ!


バシン!


「メンタルガード!」


ブンッ!


バシン!


「メンタルガード!」


ブンッ!


バシン!


「メンタルガード!」


父さんが何度も精神防御を発動する。


しかし、ネクタイによる物理攻撃は容赦なく続いた。


バシン!


バシン!


バシン!


バシン!


父さんの服が少しずつ裂けていく。


魔王が青ざめる。


「父さんの服が!」


勇気が叫ぶ。


「頑張ってください!」


五利武が言った。


「避けたほうがいいんじゃないですか?」


昆布が頷く。


「私もそう思います」


魔王が父さんを見る。


「父さん、避けて!」


父さんは真剣な顔で答えた。


「いや……」


「?」


「メンタルガードで耐える」


魔王が頭を抱えた。


「いや、それは精神攻撃を防ぐ技だから!」


父さんは黙っていた。


そのときだった。


父さんの首元に巻かれている赤いネクタイが突然しゃべった。


「それ、暴力ですよ」


シーン……。


リーマンの動きが止まった。


「……え?」


魔王軍も固まった。


「しゃべった」


勇気が呟く。


「またしゃべりましたね」


昆布が冷静に言った。


「メンタルアタックネクタイですから」


父さんは自分のネクタイを見た。


「お前、今しゃべったな」


ネクタイは当然のように答えた。


「はい」


リーマンが困惑する。


「ネクタイが……」


ネクタイは続けた。


「今、暴力ふるいましたよね」


リーマンが青ざめる。


「いや……これは試合で……」


「暴力ですよ」


「……」


「警察沙汰ですよ」


リーマンの顔が引きつった。


「うっ……」


ネクタイはさらに追い打ちをかける。


「あなたの会社は、そういう会社なんですか?」


リーマンが目を見開いた。


「え?」


ネクタイ。


「ブラックですね」


「何で知っているんだ!」


リーマンが叫んだ。


魔王軍が一斉にネクタイを見る。


魔王が小声で言った。


「何で分かるんだ……」


昆布も少し驚いている。


「情報収集能力が高いですね」


ネクタイが胸を張った。


「俺は何でも知っている」


魔王。


「怖いな!」


父さんは冷静だった。


リーマンが言い返した。


「そっちだってブラックだろ」


父さんが答える。


「ブラックだぞ」


魔王が驚く。


「父さん、自分から言った!」


父さんは続けた。


「でも俺は会社が好きだ」


リーマンの顔から血の気が引いた。


「……」


そして突然、胃のあたりを押さえた。


「うっ……」


魔王が心配する。


「大丈夫ですか?」


リーマン。


「胃が……」


ネクタイが追撃する。


「明日からもう来なくていいぞ」


「うっ……」


リーマンがさらに胃を押さえる。


「やめてくれ……」


父さんが心配そうに言う。


「大丈夫か?」


リーマンは震えながら答えた。


「……明日から来なくていいぞ」


今度は父さんが固まった。


「え?」


魔王軍も固まる。


父さんは少し考えた。


そして真面目な顔で答えた。


「明日から30分早く来ます」


リーマンが膝から崩れそうになった。


「なぜだ……」


魔王が頭を抱える。


「父さん、それは違う!」


メンタルアタックネクタイが怒った。


「お前、何様のつもりだ!」


リーマンはさらに辛そうだ。


ネクタイ。


「お前、何様のつもりだ!」


リーマンも同じ言葉を叫んだ。


「お前、何様のつもりだ!」


父さんが答えた。


「私は、万年平社員のつもりです」


リーマンが完全に固まった。


「……」


ネクタイも固まった。


そして数秒後。


「なんだその偉そうな態度は!」


ネクタイが叫んだ。


リーマンも叫ぶ。


「なんだその偉そうな態度は!」


父さんは深々と頭を下げた。


「申し訳ありません」


そしてさらに頭を下げる。


「もっと低姿勢を心がけます」


リーマンの顔が真っ青になった。


「……」


そして。


ドサッ。


リーマンが倒れた。


主審が慌てて駆け寄る。


「リーマン選手、大丈夫ですか!」


リーマンは床に倒れたまま、小さな声で言った。


「……もう……会社に戻りたくない……」


主審が父さんを見る。


そして、試合を終わらせることを決めた。


「試合終了!」


会場に声が響いた。


魔王軍から拍手が起きる。


「おおー!」


父さんは勝った。


しかし――。


服はボロボロだった。


シャツは何ヶ所も裂けている。


ジャケットも傷だらけ。


それでも父さんは堂々と歩いて戻ってきた。


魔王が駆け寄る。


「父さん!」


父さんは胸を張った。


「なかなか良い試合だった」


魔王は父さんの服を見る。


「いや、服が全然良くないよ!」


父さんは自分の服を見た。


「そうか?」


勇気も言う。


「かなり破れています」


父さんは頷く。


「でも、メンタルは無傷だ」


昆布が静かに言った。


「それは確かに勝利ですね」


便意が言った。


「でも、次の試合もこういう感じなんですか?」


魔王が試験会場を見る。


「二回戦は無さそうな気がする」


周囲には、まだたくさんの勇者候補がいる。


剣を持った者。


杖を持った者。


巨大な斧を持った者。


魔法を使えそうな者。


そして――。


会社員らしき人も何人かいる。


魔王が呟いた。


「勇者になる試験ですよね?」


父さんが頷いた。


「ああ」


そして真剣な顔で言った。


「メンタルだけは勇者だ」


魔王軍が黙った。


少しして。


ゴプリンが頷いた。


「……勇者」


鍋も頷く。


「……確かに」


殴打が腕を組む。


「精神力はすごいな」


五利武も言う。


「でも服はボロボロです」


母さんが父さんの服を見ながら言った。


「パパ、あとで直してあげるわ」


父さん。


「ありがとう」


魔王がほっとする。


「よかった……」


そのとき。


会場の奥から、再び主審の声が響いた。


「それでは、次の試合に移ります!」


魔王軍が振り返る。


「次は誰だ?」


主審が対戦表を確認する。


「次の試合は――」


全員が息をのむ。


便意が瞬間移動の杖を握る。


五利武がゴルフクラブを持つ。


昆布は光る靴を確認する。


鍋はヘル鍋を頭にかぶる。


ゴプリンは鋼鉄のプリンカップを押さえる。


勇気も一歩前に出る。


「次は誰が戦うんでしょう?」


主審が大声で叫ぶ。


「次の試合は――」


会場中が静かになった。

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