6話 外の刺激に触れて②
そうして意図せず自分のとこに回ってきた、運び荷の紙袋。
今日の昼食の事をまだ考えていなかったし、飲食店の荷なら丁度いい、と思っての受け取り。
落ち着ける場所まで持ってくるまで、特に何も考えず流れでこなしていた。
けど、いざという所になって、ちょっと手が止まる。
もしかして、緊張してるのか? さっき縁遠いと思ってた下層のそれが、今手元にある事に。
…そんな躊躇しても仕方ない。紙袋の中にあった箱のひとつを開ける。
中には6つの肉団子。白いものに包まれてるのは遠方の様式だろうか?
包み紙という訳でもなく、それも料理の一部のようだ。けど、そうと理屈では分かってても、やっぱり躊躇は否めない。
それでも、小串で1つを取り、噛り付く。
中から飛び出す熱い肉汁。
いや、思った以上に熱を持っていただけで、熱いと言う程ではない。けど、そう思わせるだけの熱は保ってる。
次いで来る肉感。家柄上、高い肉は飽きる程食べてきたが、「肉を食べている」という感覚に至ってはこちらの方が上かもしれない。
集中して味わうと、なるほど僅かに辛さが効かせてある。例え素材で劣ろうとも、それを補って余りある加工技術。
これまで食べた肉の調理師は、確かにその肉の旨さを十全に引き出していた。けどこれはそれ以上に……。
…その調理技術もだけど、それをおいしくいただける熱の内に、形を崩さず済ませたあの運び屋は大胆でありつつ、思った以上に繊細な仕事ぶり。
後で評価を上に改めるよう、伝えておかねば。




