4話 飽きていた日常は③
「つまり、その配達人の身体能力を見定める、と。」
テムスが本来の業務に戻って、少し経って。
待ち合わせの今回の仕事相手が来て、一通りの説明を受けた上で、確認を返す。
「はい、そのように。」
「何故そのような回りくどい手段を?」
過去に何度か募兵審査に参加した事はあった。
けど、それは直接人を集めて戦闘技能を見るというもの。個人単位で、こんな形式でやるのは見た事が無い。
「理由はいくらかに分かれます、が、根本的なところとしては『下層には募兵が馴染みがない』でしょうか。」
「具体的には?」
「兵団が無い事に伴い戦闘技術を身に着けている者も少なく、見定めるべきは即戦力でなく、これから技術を習得する者。
なので、各々の特技の中で見定める、というのが此度の審査となります。」
「して、審査対象は?」
手渡される写真、映っているのは濃い桃色髪の徒人の女。歳は…15かそこらだろうか。
「東門地区在住、飲食店所属の運び屋。構築中の新しい移動ルートの試用も兼ねて、その荷の運搬が審査対象です。」
新しい移動ルート、以前ヘルプに入った先で少しそんな話を聞いた事があった。下層なんて縁遠いし、と忘却の中に置いてた記憶だけど。
「その移動ルートというのは?」
「建物の屋根を均して、その上を特設の移動経路とする、といったものです。」
そんな滑稽な、なんて一瞬思ったけど、下層の街並みを見下ろしてみると納得した。まだ全てがではないが、屋根の高さが均一に整えられてるエリアが見える。
実用の様子は想像しがたいけど、理屈では分かった気にはなった。
「なるほど、承った。」




