28話 次の一歩へと段階を進め③
注文をニメージュに任せ、しばしの待ち時間で店内観察。
広く落ち着いた雰囲気は、主張を強める必要のあった外装よりも、更に上層の店に近い雰囲気。
それを思い出す度に今回の目的何だっけとは思うけど、多少はこの近辺の知見を深められると思えば話は進展している、と自分に言い聞かせる。
むしろニメージュの方が落ち着きが無いくらい。
「…なんか慣れねーな、こういう雰囲気の店って。」
その言葉とは裏腹に、その様子を身振りに大きくは映さず、相対してる自分以外にはそうは見えないだろう。
「自分でも薄々思い始めていましたけど、この店選びは見誤りだったでしょうか。」
「いや、任せたのは私だ、選択に文句は言わない。
ただ、当初の目的は叶うのかな、とは思うが。」
やはり基本を知るという目的なら、普遍的な店を選ぶべきだったか。
「全く来た事が無い…という事ではないようでしたが。」
「まぁ、たまーにな。店長が料理研究だとかで色々食べに行くのに、ついでで連れてかれた事はあってな。
その中にここに似た雰囲気の店はあったけど、何か深い事考えて行った訳じゃないから、ただ飯はうめーなとか、そんな調子だったよその頃は。」
「いい仲だったんですね、その店長とは。」
「まぁな。きっかけこそ仕事由来だったけど、シントでの実家みたいなもんだったからな、最早。」
…書面上では避難民だった、なんて簡潔に書かれてただけだったから失念してたけど、その言葉の奥に境遇の重さが垣間見えて、言葉を選ぶ思考が挟まる。
「その──」
「お待たせしました。ご注文のレッジェロッソです。」
しかし間の悪さ。割り込みテーブルに置かれた2皿のパスタに、その先の言葉は阻まれた。




