25話 再び見た姿に縋り⑨
食器を片付け、復路でフリードリンクを持って席に戻り。
防衛団一番隊の手厚さには驚くばかり。普段からこうだったのか、それとも兵団設立にそれだけ力が入れられているのだろうか?
他の利用者でもドリンク片手に雑談してるとこも多く、そういう交流の場としての役割にもなっているのだろう。
そして戻った席に着くや否や、ニメージュから切り出す。
「で、どういう事情なわけ? 今ならいくらでも聞けるぞ。」
「そうですね、ではまず前提の話からいきましょうか。
私の家、ロンドラーレ家の事からです。」
ニメージュは食べながらもじっくり聞く構え、話を続ける。
「ロンドラーレ家は昔、シント創立の時に関わっていたそうです。
外敵や賊を鎮圧する武力として重要な役割を果たし、その功績から高い地位となった、そう聞いてます。
しかし今となってはそのような武力は不要、過去の名声にばかり重きのある貴族として、相対的に立場として大きく衰退しました。
壁の近くという住居は、上層としては僻地のような扱いでもありました。」
「僻地ねぇ。例えといえど、上層にもあるんだな、そういうの。」
合間に挟まるニメージュの一言。
「下層の知見はまだ浅いながら、階層意識は上層の方が顕著だと思います。
兄はそれが嫌だから、と行方をくらまし、今はどこに行った事かも分からず。
…今となって思えば、それで良かったのかもしれません。」
「なんでさ。」
「上層の外へと憧れる気持ちも、今は分かりますから。とはいっても連絡も無く失踪するのは論外ですが。
それでその下層への興味の最後の一押しになったのが、あの配達料理だったんです。」
「…あの上層に配達しろ、ってやつ?」
「そう、その審査担当が私だったんです。」
「…つまり思いつきで下層まで来てはみたけど、下層の事何も知らな過ぎて身動き取れない貴族様、って事か。」
「…恥ずかしながら。」
試行の間ののち、ニメージュからの返答。
「まぁ事情は分かった。
とはいえスケジュール問題はあるから、まずは来週の予定表が出てから……。」
それは仕方ない事だし、じれったいけど気長に待つ事にしよう。そう覚悟したが、ニメージュが続ける。
「ただまぁ、目的が分かれば他にやれる事もあるし、それなら明日にでも。」
「一体何を?」
「ぶっちゃけ私も出かける余裕あんま無くて、この辺りに慣れてねぇんだ。
だから事のついでだ、探索する理由として利用されろ。」




